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週末読書メモ117. 『瞬考 メカニズムを捉え、仮説を一瞬ではじき出す』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

量質転換。大きな「知の資産」の価値を知れる1冊。


「一を聞いて十を知る」の境地に至るための方法。
それは、「一を聞いて十を調べる」ことである。

5年、10年と「一を聞いて十を調べる」ことを継続する。
その努力によって累積したインプットは、大きな「知の資産」となる。
頭の中に、多数の事例や事象を累積して溜め込んで「知の資産」を作り、長期の時間軸を意識して思考すれば、仮説は一瞬ではじき出せる。

「一を聞いて十を知る」の境地に至るための方法とは。それは「一を聞いて十を調べる」…!

筆者は、コンサルティング会社ドリームインキュベータの元代表取締役の山川隆義さん。人並み以上に考えることを生業にされてきた筆者は言います、速く考えるためにも、膨大なインプットをせよと。


あいていに言えば、「単に知っているから」仮説が湧くのだ。
知っていることは、すぐに思いつける。
この重要性に気づくことが、瞬考ができるようになるための第一歩である。

『瞬考』というタイトルからは頭の回転数を上げるノウハウが書かれているかと思いきや一転、本書の根幹は絶え間ない膨大なインプットです。

筆者自身、30代前半に事業会社からコンサルティング会社へ転職した際、元々の頭の才能が際立つ同僚に差も感じたと言います。その環境の中で、自らの仮説・成果を生み出せた源泉は、『会社四季報』10年分を頭に突っ込んだ経験だったと。

本書には、思考法をテーマにした中でもロングセラーの『0秒思考』とは別の観点から、速く考えるための極意が詰められています。


知識の幅が、独自の発想を得る源泉になるのは、いくつかの書籍からも見聞きします。

その上で、発想の量や質だけでなく、速さすら、膨大なインプットによって生み出すことが出来るという主張は、本書の大きな魅力となります。


この本を読みながら、思い出したのは東大のとある教授の言葉です。

「お前は教習所の教科書を見ながら車を運転するつもりか。歩く速度ならそれで問題ないが、変化が速い時代に知識がないなど論外だ」

Googleをはじめとする検索エンジン、そして現在はChatGPTをはじめとする生成AI。人が学ばなくても、考えなくても、答えを得られるようになりつつある時代に。

そんな世界では、何となくインプットが軽視されつつあるようにも感じますが、本書もその風潮に一石を投じているように思えます。


素晴らしい経営者であり、ヤフー社長から東京都副都知事になられた宮坂学さんは、部下へ「本は1トン読め」とも言っています。

自らを振り返って、本を貪り読むという道を選んだのも、(それが正解/不正解以上に)地方・レガシーな産業の世界で自分が前を切り拓くには、それしかありませんでした。

しかし改めて、その道筋も未来に繋がっている可能性があることを感じされてくれる示唆と勇気をもらえる、そんな内容となっています。


【本の抜粋】
他の人と同じような目線や範囲で考えていては、面白い仮説は一ミリも出てこない。
時間軸を長く取り、かつ、広範囲な視点でものを考えることで、斬新な仮説がはじき出せる。
これは、言わば「一を聞いて十を知る」といった状態だ。

「一を聞いて十を知る」の境地に至るための方法。
それは、「一を聞いて十を調べる」ことである。
5年、10年と「一を聞いて十を調べる」ことを継続する。
その努力によって累積したインプットは、大きな「知の資産」となる。
頭の中に、多数の事例や事象を累積して溜め込んで「知の資産」を作り、長期の時間軸を意識して思考すれば、仮説は一瞬ではじき出せる。

どれだけ才能があるアーティストでも、自分の体験だけがアウトプットの源泉だと、やがてネタは枯渇する。
(中略)しかし、YOASOBIは、小説を原作としているため、無限に作品を生み出すことができる。

あいていに言えば、「単に知っているから」仮説が湧くのだ。
知っていることは、すぐに思いつける。
この重要性に気づくことが、瞬考ができるようになるための第一歩である。
さまざまなデータや事象をインプットして、そこから何らかのメカニズムを解明すると、仮説が湧き上がってくる。

仮説本や経営本を読んだだけで仮説が湧くようになったとはまったくもって思っていない。
それよりも、『会社四季報』を10年分丸暗記するとか、『日経ビジネス』や『日経コンピュータ』『日経エレクトロニクス』などのビジネス雑誌の記事や、そこに掲載されている広告を精読したほうが、はるかに仮説構築力の養成には役立っている。

要は、インプットをしていなかったため、「全体像が見えていない」状態だったのだ。
(中略)とにかくインプットを行う。そうすると、ぼんやりと全体像が見えてくるのだ。

「歴史の横軸を長く取る」「業界を幅広く見据える」ことに加えて大事なことは、さまざまな事例をインプットするときに、事例の背景について思考することである。
(中略)海面の下にも氷山は形を成している。また気候、海水の温度や海流などの「背景」が影響して、氷山の一角という「事象」を作り出している。

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