(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)
世界が変わるのに必要な要素の示唆がこの1冊に。
14~15世紀、ヨーロッパで起きた歴史的転換、ルネサンス。しかし、それに勝るとも劣らないくらい重要なヨーロッパの歴史的転換期が12世紀にもあった、と識者の間では言われているようです。
それが”十二世紀ルネサンス”。それに焦点をあてた1冊が本書となります。
元々、読書家としても有名な起業家・経営者、五条・アンド・カンパニーの慎泰俊さんオススメの中にあったことから手に取りました。
この方の推薦図書は過去にも参考になる本ばかりでしたが、今回もその選書の質が例に違わず素晴らしいものでした。
現在では文化的にも経済的にも先進国の中心となる西欧諸国も、中世では世界のまったくの辺境にうずくまっていた、と筆者は述べます。
そこから現代の覇権国としての兆しが生まれたのが、本書のテーマとなる12世紀ルネサンスによる文明・文化の変遷でした。
上記にある通り、閉鎖的であった中世の西欧ヨーロッパ世界。ローマ帝国の衰退に伴い暗黒時代とも呼ばれ、世界の中でも実は後進国でした。その中で12世紀に入り、アラビア・ギリシアの学術・文化を取り入れることにより、異なる文明が遭遇・移転し、そして、開化していきました(日本の歴史で言うと、明治時代の文明開花かそれ以上の歴史的な転換でした)。
異なる知が交わることにより、新たな世界が拓けていくことは、古今東西の事例に触れていく中で、この世界の原理の一つにように感じてなりません。
その上で、本書での最大の示唆は、異なる知が新しい種子だとすれば、花開かせるためには、その土壌も不可欠であるという考察です。
つまり、アラビアやギリシアには、既に優れた知・文化が存在していたのにも関わらず、12世紀に至るまで西欧が取り入れられなかったのは、それを受け取ることも、育てることも出来きない状況であったからです。
その状況から、12世紀に入り、様々な事象が複合的に発生・絡み合ったことにより、新しい種子(イスラム文明)を取り入れることができ、そこから西欧文化・文明の飛躍が成されていったと。
世の中で運びるダイバーシティ(女性や若手、外国人の登用等)が、結果に結びつかないケースは枚挙に遑がありません。おそらく、その理由は新しい種子を育てる土壌に意識が向けられていないからだろう、と本書を読むと思わざるを得ません。
冒頭リンクの慎さんのコメントにもある通り、文化や文明の変遷を考えるために、極めて重要な示唆を得られる1冊でした(そして、きっと、それは文化や文明規模だけではなく、組織や個人規模でも同様に)。
新しい”種子”、そして、それを育て、花開かせるための”土壌”。自分が関わる世界を動かす・変えるためにも、その2つに向き合い続けよう。
P.S.
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