勢と節〜孫子3分クッキング〜
「激水の疾(はや)くして、石を漂わすに至る者は、勢(せい)なり。鷙鳥(しちょう)の撃ちて毀折(きせつ)に至る者は、節なり。是(こ)の故に善く戦う者は、其の勢は険にして、その節は短なり。勢は弩(ど)を張るが如く、節は機を発するが如し。」
孫子兵法、勢編である。
ラフに訳すと
大きい岩石を流す程の水の流れとは「勢い」のことである。
タカのような鳥が獲物的確に一瞬で捉えるのは「節」つまり、タイミングが絶妙だからである。
戦いが上手な者は「勢い」を貯めておいて、「タイミング」を捉えて一点集中させる。
例えれば、
「勢い」とは弓矢の弦を一杯にひっぱったものであり、
「節」とはその弦を離すタイミングのことである。
要は何かをする時にはタイミングと一点集中した勢いを考えよう!ということですね。
例えば、
光本勇介氏の「実験思考」にはカーシェアリングのサービスについての事例が書かれています。
現在では当たり前になり、どんどん増え続けているCtoCのサービス。
10年前は個人で発信ができるSNSは普及していなかったし、
そもそも個人が個人に私物を貸し出すという概念が希薄でした。
その時代にソーシャルのカーシェアリングサービスをはじめたが世間はついてこなかった。
しかし、10年後の現在には当たり前のようにビジネス化されています、
光本氏にとっても確信があったそうですが、リリースして初めて「早すぎたな」と思ったそうです。
大切なのは「市場選択」と「タイミング」だと語っています。
自分の中に秘めたアイデア、つまり「勢」をどのタイミング、「節」で出すかが重要だということです。
世の中の常識を変えるにはタイミングがものすごく重要なのです。
タイミング次第だなんていったらなんとでもいえると思うかもしれませんが、光本氏は繰り返すうちにタイミングを半歩手前くらいに調整できるようになったそうです。
もちろん才能もあるかもしれませんが、
実はそれはアウトプットしている回数が少ないだけなのかもしれません。
回数を増やすことで「節」、タイミングの掴み方が分かるようになるかもしれません。
次は私がこの勢と節を学び活かせた事例です。
以前は部下に特にタイミングを考えずに、教えられるだけ教えとこうと詰め込んでいました。
しかし、タイミングが合ってないと効果は半減してしまいます。
やはり、部下自身がなぜこうなってしまったのだろうと考え意識をもったときこそ一番心に響いているのだなと実感することができました。
物事には頭では理解できても体感は難しいということがあるのです。
その身をもって感じているときこそが「節」であり、私の言葉加減が「勢」なのだと気がつくことができました。
部下だけではなく私自身も大きく成長した瞬間でした。
偉人には節が合わないため辛い生涯を送った人たちが多くいます。
地動説のガリレオ・ガリレイやひまわりで有名な絵画のゴッホ、芥川龍之介など
彼らの人生を私たちが学んでみることで、勢と節への理解を深めることがもしかしたらできるかもしれません。

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