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言葉はこころを顕現し、こころ変われば会話が変わる。


「人は話し方が9割」

著者:永松茂久
大分県中津市生まれ。日商平均25万円を売るたこ焼き屋として、メディアで大反響になる。「一流の人材を集めるのではなく、今いる人間を一流にする」というコンセプトのユニークな人財育成には定評があり、「人の在り方」を伝えるニューリーダーとして多くの若者から圧倒的な支持、累積動員数は述べ25万人にのぼる。
経営、講演だけではなく執筆、人財育成、出版スタジオ、イベント主催、映像編集、コンサルティングなど数々の事業展開をこなす、メイドイン九州の実業家である。


叙分


「いい話し方」は時代によって変わる。

欧米人に比べ、日本人はコミュニケーションが苦手な民族と言われてきた。


以心伝心、言語を超えて行間を読み取る。

これが日本人の美徳であり誇りであったのだが、
デジタル化が進み、それを養う土壌を失った現代においては見る影もない。


それではコミュニケーションの卓越した人間はどのような手法を持っているのか。

本書で挙げられているいくつかのポイントをご紹介します。


話している相手を否定しない


否定のない空間を作る。

話している相手を否定しない、自分も否定させない。
いわば全肯定の状態を維持する。

人は自分を肯定する人を肯定するようにできています。
否定のない会話や対話は前向きかつ建設的な人間関係をもたらすでしょう。


は話し方に表れる


自分の言いたいことしか言わない、言いたくないタイプの人間がいます。
自分の喋りたいことをマシンガンのように喋り、誰かの話はいつ終わるのかと上の空。


口論大歓迎、相手を論破するスタイルの戦闘民族。
いわば典型的な我の塊。

これでは誰も会話をしてくれなくなるし、他社の意見を入手できなくなってしまいます。


必要なのは聞く力。

うまい話し方は聞くことから始まります。
相手の立場になって、相手の反応や気持ちに心配りをしながら言葉を選ぶ。

そんな人が、慕われるプレイヤーとなっていきます。


聞き上手の達人がやっている3つの表情


では、聞き上手の定義とはなんなんでしょう。

アップル創業者のスティーブ・ジョブズはこう言いました。

美しい女性を口説こうと思った時、
ライバルの男性がバラの花を10本送ったら、君は15本贈るかい?
そう思った時点で君の負けだ。
ライバルが何をしようと関係ない。
その女性が本当に何を望んでいるのかを見極めることが重要なんだ。

相手を観察し、相手が何を求めているかを真剣に探す。
こうした人間の欲求に対する飽くなき好奇心がアップルを育てたとも言えます。


人間は、自分自身に一番興味を持つ生き物です。

ですから、自分の話を聞いてくれる人を大切にしたいと思うようにできています。

では、話し相手に興味を持っていることをどのようにして伝えるか。

それは「顔の表情」「声の表情」「体全体の表情」の3つを効果的に活用すること。

「笑顔で聞き、自分の感情を言葉に乗せ、身振り手振りを使って相手にリアクションする」ということです。

うまくいってる人は、このようにしてまず相手の心を開きます。



対話の達人は、拡張話法を使う


相手の心を開いたうえで、相手の情報や意見をどんどん引き出していくには。
拡張話法を使ってみましょう。


拡張話法とは、

〈感嘆 ➡ 反復 ➡ 共感 ➡ 賞賛 ➡ 質問〉 

の順に応対することで、「またこの人に会いたいな」と相手に思わせる技法です。


感嘆… 相手の話を聞いた時に受ける感銘の表現
反復… 相手の話を繰り返す
共感… 相手の話に感情を込めて理解を示す
称賛… 相手を評価する
質問… 相手の話を中心に展開させていくためにその後を追いかけて聞く


人は自分のことを一番話したいものです。
拡張話法を使うことによって相手に満足感を与え、関心があることが伝われば自ずとあなたに向けらえる言葉は増えるでしょう。



自分の話したい話でなく、相手の求める話をする


皮肉なことだが、「うまく話そう」とすればするほど人は「もう会わなくていいかな」と感じてしまう。

人はただうまく話す相手に対して、
自分に取り入って”メリットを出そうとしている”という印象を抱くのだ。

お役に立ちたいという気持ちをもって話すことが大事で、それは言葉となって相手に届き、真摯に受け取ってもらえるようになる。


人を巻き込む話し方


人は勝手に楽しんでいる人に巻き込まれたくなる。

いくら熱い気持ちがあっても、無理やり人を動かそうとしては相手の気持ちは引いてしまいます。

こちらが勝手に楽しんでやっていると、自然と人は近寄ってくる。
楽しそうな人がいたら巻き込まれたくなるという人間心理からくるものです。


巻き込まれる人は徐々に増えていき、やがて大きなムーブメントへと変わる。


マイしくじリストを作る


会話や商談でうまくことを運ぼうとする際、
導入などちょっとしたタイミングでの雑談は非常に重要な場の流れを作る役割を担います。

出来れば笑って雰囲気の良い場を演出したいものですよね。


実はこれが一番難しい。

自分の話で話題を組み立てられない人が多くいます。
そんな時のためにマイしくじリストを作っておくと良いでしょう。


恥ずかしくなることや昔の失敗談をリスト化する。こうすることでいつでも小ネタを引き出すことができます。

失敗を武器とすることで、相手とオープンな環境が生まれ心を開くきっかけを作れます。

失敗談が相手を安心させる唯一の処方箋なのです。


嫌われる人の話し方


嫌われる人の話し方にも共通点がある。
まず浮かび挙がるのは、4Dワードを連発する人。

「でも」「だって」「どうせ」「ダメ」

これら4Dワードを連発する人はよく嫌われます。

その中でも特に気を付けなければいけないのが「でも」。
これを連発してしまうと、会話の流れはネガティブな方向に進んでしまいます。


どうしても違う見方が必要な場合は、
一度肯定した上で「ただ~」と切り返すと良い雰囲気になるかもしれません。



言葉の癖は人格の癖。
ネガティブな人だな、と思われないような会話を心がけましょう。



話をまとめてしまう人


これも嫌われてしまう話し方のひとつです。

会議や打ち合わせであれば制限時間内に結論に至る必要があるので構いません。


例えば、フリートークのような場でこれをしてしまうと、その人の結論で会話が結ばれてしまう。

本来、参加者全員の意見を引き出すことにメリットがあるはずなので、これは野暮な行為として受け止められてしまうのです。

とにかく、聞いて引き出してあげる。
これを心がけてみることで成長の兆しが見えるかもしれません。


跋文


最後、筆者が筆を進める中で新たな気付きを得たと書いていた。
それは、本書を書いていく中で「話し方」と「考え方」が融合していったこと。

「話し方は心の姿勢」
つまり、話し方のスキルを上げること=心を磨くこと。


外部からどう映るか、は「話し方」が大きな割合を占めてくる。
それは、年齢を重ねるほどに。

口から表現される人間味によって、図らずとも自分の環境は変化していってしまう。

スピリチュアルな表現でいう“言霊”って、あながち間違ってないんよな。



「自分の殻に閉じ籠ってるようにみえる」

昔テラスハウスに出ていたシンガーソングライターの女の子がこんな質問をされてた。

「言葉は私にとってものすごく大事。だからすごく大事に喋っていると心が追い付かない」



すごく丁寧な考え方だと感じた。

自分を理解してもらうのって面倒だし、難しい。誰かを傷つけることもある。

言葉を選んだり、伝達を諦めたり、嘘で塗り固めたり。
それが一番楽だし、穏やかでいられる。


「それだとさ、同じ時間に生きれないよ」


深い、深すぎる。。
まさかテラハでこんなに感慨深くなるとは。


孤独ってものすごく大事な行為だと思うし、必要なこと。
だけど、表現することや伝えることに臆病になりすぎてもいけない。

むしろ精神と時の部屋は、次の繋がりのための助走であるべきなのだ。


一度吐いた間違いを取り返すのは時間がかかると思う。
それでも聞いてくれる人はいるし、聞かせてくれる人もいる。


少しづつで良いじゃない。
心を磨きながら、スキルを上げながら。素敵な言葉をみつけよう。



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