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「幸せ」に働くとはどういうことか

「ニューノーマル」という言葉が世の中に普及し、私たちの生活は大きく変わりつつあります。

そして今回を機に「働くって何だ?」とか「あるべき働き方とは?」について考えた方も多いのではないでしょうか。

僕も「新しい働き方ってどうなるのかな〜」と考えるために、様々なニュースを見たり、たくさんの方とお話する機会があったのですが、そこで働き方以前に気になったことがありました。

それは「幸せに働く」という表現に対して抵抗を感じる人が一定数いらっしゃるということでした。これは僕が話をいろんな人に聞く中で感じた肌感でしかなく、明確なエビデンスはありません。

ただ、抵抗を感じるという方に話を聞くと共通の「べき論」をお持ちであることに気がつきます。

・仕事は歯を食いしばって頑張るものだ。
・大変だったり辛い経験こそ人を育てるんだ
・だから「幸せ」に働こうなんて甘えでしかない!

「幸せに働く」ことは本当に甘えなのでしょうか?

もちろん、年齢によって時代背景が異なるため「働く」ということに価値観の違いがあることは当たり前ですしその違いをどうこう言っても仕方ありません。

ただ、世の中が新しい働き方を模索する今、明らかに「働く」ということに対する捉え方が変わってきていることは事実です。

実際、今までは「在宅勤務なんてできっこないよ!出社しないでどうする!」と思っていた人が、いざ在宅勤務をしてみると「あれ、意外に仕事できちゃうじゃん。しかも悪くないじゃんこれ」と感じ方が180度変わったという事例が多くの在宅勤務導入企業で見られました。
(妻が飲食業関連なので日本全国そうではなく、まだまだ辛い日々を送られている方々が圧倒的に多いという前提も認識しつつ・・・)

今後はより一層、仕事と私生活の境界線は曖昧になってくるはずです。そうなった時、日々の生活や人生を幸せに過ごすために、多くの時間を割く仕事において「幸せに働く」とはどういうことなのかが議論の中心になると考えています。

「働く」ということに対する捉え方を全員で再考する時なのかもしれません。

では「幸せに働く」の「幸せ」とはどのような状態でしょうか。ここでは「精神的に充実、満たされた状態」と仮定してみます。

何が満たされているのか。「精神的に」と書きましたが「心が満たされる」という表現の方がイメージしやすいかもしれません。

次に「心が満たされた」状態とはどのような状態でしょう。人によって様々ですよね。

でもパッと湧くイメージって意外にシンプルな情景だったりしませんか? 家族や恋人と何気ない時間を過ごしている時、仕事がうまくいって褒められた時、誰かの手助けをした時・・・

色々考えてみると、実は心は「満ちる」のではなく、究極的に余計なものが削ぎ落とされることで「満たされる」のかもしれません。

「それ意外何もいらない、それだけで満足」という状態とも言い換えることができます。

私たちは日々いろんなことを望んでしまいます。できることなら、あれもやりたい、これもやらねば・・・なんて知らぬ間に自分で自分を追い込んで心のスペースにギュウギュウに詰め込んでしまう。

それではスペースは満たされているかもしれませんが、心は満ちないはず。むしろ何となく焦りや戸惑い、全てが中途半端になる自分への苛立ち、そんな感情が渦巻いてしまいます。

自分にとって本当に大切なもの、これだけは失ってはいけないものは明確ですか? それだけに集中し、無駄を省くことが逆説的だけど人生を豊かにする、仕事の幸福度が上がることに繋がるはずです。

不確実性や混迷を極める今だからこそ、海外でも近藤麻里恵さんの断捨離が爆発的に広まり、共感を得ているのだと思います。

必要最低限のことに意識を集中できれば、目の前の感情に正面から向き合うことができます。味わうことができるから楽しめる、楽しめるからやりがいも出てきて幸福度も高まる。

余計な感情に邪魔されることなく、一つひとつの感情を大切にできるような心の余白があるかどうか。

これまでの日本の経済発展を支えてきたのは、製造業を中心とした年功序列による男性中心の長時間労働とそれを支える女性という構図でした。だからこそ、モーレツに働く企業戦士が必要でした。

でも明らかに今は時代が違います。働き方は多様化し、ビジネスのライフサイクルも急激に加速しています。

様々な価値観が受容され、ITによってあらゆるものが繋がり、情報も溢れています。

複雑かつ不明瞭。まさにカオスです。

これまでのレールに乗っているだけでは人生どうなるかもわからない。そんな不安感から「ウェルビーイング」や「幸福度」という言葉が再注目されているのだと思います。

「幸せに働く」とは仕事を中途半端にやるということではありません。パフォーマンスを上げるには質と量が大切なことに違いない。

ですが「好きこそものの上手なれ」。「苦行」として働くのと心が満たされた状態で働くのとでは生産性は雲泥の差になります。

・あなたにとって「幸せに働く」とは具体的にどのような状態でしょうか。
・やらなくても良いはずなのに「やらなきゃ!」と心に抱えていることはありますか?
・それは本当に必要なものでしょうか。それをやらないことによって何が失われますか? 逆に何が得られるでしょうか。

世の中の働き方や価値観が変わる=生活者の価値観が変わるということであり、提供するサービスや商品も変わるはずです。

これからの時代、ビジネスモデルを進化させ生き残るためには、急がば回れ。

私たちビジネスパーソン一人ひとりが自分自身のことを棚卸しして既存の常識から抜け出せるかが勝負なのかもしれません。



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