見出し画像

SNSチーミングについて-後編(企業編)-

前編で燃え尽きて静かに終わると思っていたこの記事の後編。自分でもまさか「書きあげられるとは」という謎の驚きの中書き上げました。良かったら読んであげて下さい。

SNSチーミングについて - 前編はこちら

前回の続きから

SNSチーミングと言うSNS上でこっそりチームを組んでお互いの各数値(いいねやインプレッションやエンゲージメント等々)を上げる活動を行うことです。小規模なものからそこそこの規模のものがあることまで確認しています。

しかし、思い返してみて下さい。
FacebookやLINE、古くはmixiまでコミュニティのようなものは存在していました。

何故かTwitterだけ公式にそういうものが存在しないんですよね。
気付く人は気付くはずです。

「チーム運用した方が伸びるんじゃね?」

ということを。

それで言うならYoutubeとかも同じかもしれませんね。
ゲーム配信者とかは各プラットフォーム上(PS4やSwitch)のフレンドやグループ、コミュニティを介して普通にチーミングが行われています。

ただゲームの中でも競い合う性質を持っているゲーム内でチーミングを行うと悪質行為としてみなされるのは前回書きましたし、ネット上でも様々な事例が書かれており、晒されたりもしています。

ゲームの世界でのチーミング例

1つ例を出させて頂くと、通常4人で1チームの対戦ゲームがあるとします。
その世界には100人のプレイヤーがいて、単純に割ると25チーム居る計算になります。

しかしそのうちの2チームが裏で手を組むことで、そのチームだけ8人となり、4人で組んでいる通常のプレイヤーの単純計算で2倍の戦力になるため、ことごとく不利になるわけです。(ゲームの腕が拮抗していることが前提です。)

たまに明らかにそれらしき集団を見かけた場合、ゲームの運営次第では違反行為とみなされ、報告があった場合になんらかのペナルティ(そのゲームに参加することができなくなる)がなります。またTwitter同様に個別にブロックをすることでも一応の対処が出来ます。一応と書いたのは相手が複数アカウントを持っていたりすれば余り意味がない、というのは他のSNSと一緒です。

ちょっとゲームの例が長くなりましたのでこの項はここで一旦〆ます。


企業におけるチーミング例 その1

ここまで、SNS及びゲームにおけるチーミングについて書かせて頂きましたが、企業の「人事採用」もう少しカッコつけた言い方をすると、「人材戦略」(経営戦略とも言って良いです)に携わる人間としていくつか事例を紹介します。

ここまではSNSやゲームといったプライベート寄りの世界についてのチーミング活動について書かせていただきましたが、企業でもチーミングは行われています。

前編で「サクラ」「ステマ」の話を書きましたが、某大手企業がかなり前ですが、思いっきりサクラ行為やステマをしていたことがニュースになったことがありましたね。

では早速1つ目の事例です。

「会社の評判」関連のサイトをご存知でしょうか?

「皆さんの会社名+評判」で検索をかけると出てくるアレです。
企業の内情がそのサイトのポリシーに触れない範囲で生々しく書かれており、働きやすさに関する各ステータスがグラフ化されているアレです。

転職活動したことがある方で見たことない人はいないと思うので、既知であることを前提で進めさせて頂きます。

まぁ実際に見てみると多くの企業のネガティブな内情が書かれています。
逆に「素晴らしい企業である!」と誇らしげに書いてあることもあります。
多くはバランスの取れた書き方で「良い部分」「要改善の部分」という感じで、ContinueConsiderの視点で書かれているものが多いのですが、中には罵詈雑言で溢れている会社さんもあります。あと、退職者の方が書かれていることが多いのでそういったバイアス(不満層)傾向にあることも念頭に置いて読んだ方が良いかもしれません。

具体名は出しませんが、よくブラック企業ランキングとかで上位に出てくる会社さんとかの内情は読んでてゾクゾクします。少し早めの夏の怪談を楽しみたい方は見てみては如何でしょうか?

さて本題。

これって、みんな正直に書いているのでしょうか?
何度か書いていますが、就職活動中の人が見るので「サクラ」を使ってでも良いことが載っていた方(書いておいた方)が、企業さんにとっては一見良さそうですよね?

某大手企業のステマの例を書きましたが、それで他の企業全てがが懲りるわけではありません。

世の中は悲しいかな…。「バレない嘘は嘘ではない」という思考も根付いてしまっているのです。モラルというのは企業が人である以上その企業に所属する人に大きく起因します。

具体例で言うと自社の社員を使って複数アカウントで「サクラ」として「良い部分」を巧妙に書く、もちろん嘘っぽくならないように、ダメージの少ない範囲でマイナス点や改善点も書きつつ「でも、そこは今改善取り組んでいる最中なので安心だと思います!」とかネガティブ要素をちゃっかりフォローする書き方をしたりとかね。

…で、僕が何でこんなことを知っているかって?
弊社はそんなことはしません。人材戦略担当の僕が許しません。(僕の知らないところで行われてたらもちろん知りませんが…。)

そう、なんで知っているかについてですが、そういった「ステマ」「サクラ」を支援する会社もまたあるのです。

恐らく、こういった会社の評判サイトで悪評が書かれてしまっている会社にお勤めで、会社の「お問い合わせメール」なんかを見られる立場の方であれば、日々色んな売込みメールが舞い込んでくるのを目にしていると思います。メールだけでなく、電話での売込みもありますよね。

その中で「御社の悪評がネットに書かれています。それについての対策方法をお教えします。初回無料相談OK!」というような企業さんです。実際に居ます。決して違法性があるわけではないので、一応「さん」付けをしています。倫理的な話なので価値観は人それぞれ。藁にもすがりたい気持ちで、そういう企業さんにネット上の自社の悪評をどうにかしてもらいたくて依頼する会社さんもいらっしゃることでしょう。別に否定はしません。会社の予算の使い道は会社それぞれの決裁基準ですので。

ということで「会社の評判」関連のサイトに純粋に退職した人がボランティア精神(もしくは復讐や反骨精神)で書いているケースももちろんありますが(性善説)、そうでないケースもあるということです。これも一種の「チーミング」の事例かな?と思い、今回挙げさせて頂きました。


企業におけるチーミング例 その2

もう1つ事例です。

・リファラル採用
・タレントプール
・メモリーパレス

この辺りのキーワードは人事採用界隈の人は聞いたことがあると思いますが、そうでない方は余り耳慣れない言葉かもしれません。

リファラルは在籍社員の知り合いを紹介して自社への入社を案内する推薦制度のようなもの。

タレントプール・メモリーパレスは厳密には違いはあるんだけれども、簡単に言うとまだリファラル(紹介)までには至らないけど「いつか紹介できそうな人をデータベースとして記録」しておくこと。

これって、うまく軌道に乗れば、社員が新しい社員を呼び、またその新しい社員がそのまた新しい社員を呼び、と素敵なサイクルを生むんですよね。

もちろんメリデメがあって、メリットはもちろん知人の紹介ということで、事前に社内の雰囲気や状態が正しく伝わりやすく、その段階で紹介する/しないを選択でき、紹介経由で入社した場合に、入社後のギャップが起こりにくい。また紹介者が先に会社の先輩としているので、最低でも1人相談相手(メンターと言っても良いかも)がいる状態。採用担当としても、採用コスト含めた採用率以上に、離職率を気にしていたりする場合もあり、そこに四苦八苦していたりするので非常に助かるのである。

一方でデメリットリスクとしては「紹介」だからと言って安易に選考を緩めにしてしまうと、社員のスキルレベルの低下を招きかねない(なので選考自体はバイアスをかけずにしっかりと行う)、あとは入社後に何か問題が発生した場合、紹介者にある程度の責任がのしかかったり、また紹介されて入社された方も「紹介者に迷惑をかけられない」というプレッシャーが高めになる場合もある。もちろん個々人の個性にもよるので、能力的に問題がなくメンタル的にもポジティブな人であれば比較的フィットしやすい方法である。

ただ、そういう部分を双方の足枷になってしまうこともあるため、本当に大切にしたい親友などはあえて誘えない…という心理状態になることも多かったりする。

適度な距離感の人の方が万が一の時ドライに対応できるので、それぐらいの関係性の人を紹介するのが比較的良いのかもと思っています。「近所のパン屋さんで働く、いつも挨拶を交わし合う素敵なお兄さん」とかね。引き抜くことでパン屋さんの店長には恨まれるかもしれないけど…。

もう1つのデメリットと言うかリスクとしては、特定の1人がどんどん紹介してその人の知り合いばかりの組織になってしまった場合、一種の「派閥」みたいなのが出来てしまう可能性もある。

昔聞いたとある会社の話だが「新卒同士が余り仲良くなり過ぎないように、適度に分けて体制を組むようにする。または競争心を出来るけ煽る」という新卒の扱いの話を聞いたことがある。例えば新卒のうち数人が会社になんらかの不満を持ち、10人が徒党を組んで会社に反乱を起こし辞めてしまったりした場合、大きな痛手になる。小さな会社であればあるほどダメージが大きいし、実際に「示し合わせての集団退職」は事例もある。もちろんそういったケースは会社側にも問題がある場合があるのだが…。

さて、ちょこちょこ話が逸れてしまったが、こういった社員同士…というか社員と外の繋がりによって採用の活性化に繋がるケースもある。これを「チーミング」と表現するのはいささか乱暴な気がしたので、これについては「美しき組織(チーム)の連携プレイ」と言いたい。

「SNSチーミング(久々に出て来たぞ!この言葉)」と無理やり話を結び付けるのであれば、上記の「示し合わせての集団退職」のように、SNSチーミングのチーム内でも、いづれなんらかの内紛や暴露が起きる日は来るだろうと思っている。というかそういうリスクをはらんでいると思う。(それについては最後の「総論」で少し触れます。)

もちろん紹介入社について、人事採用担当はデメリットやリスクも飲み込んで運用をすること。そうすることで他のどの採用手法より手間もかからず、得られる効果も大きい。(異論はもちろん認めます!)

ということで2つめの事例はどちらかというと「良い話」でまとめるつもりだったが、自然と書いている流れで「影の部分」にも触れてしまったのは僕が嘘を言えない性格だからだろうなぁ、ということを付け加えこの項は〆させて頂きます。

総論(ここまで長かった…)


「SNSチーミング」からだいぶ話が逸れて、ようやくここでまた話が回帰するわけですが、SNSチーミングは果たして…良いものなのか?悪いものなのか?皆さんはどうお考えでしょうか?

今回SNSでのチーム活動(SNSチーミング)を批判する記事ではないと冒頭で書きました。

1つ批判じみたことを書きます。
そういったお誘いをされてきた方の中の1人の方に、1つだけ質問しました。

「この活動はオープンなものなのですか?そうでない場合、チームの一員がそれを公にしてしまったりするリスクについてどう考えますか?」

答えは

「できればそういう活動をしていることは黙っていてほしい。お願いします!」

とのこと。

付け加えて「あなたのことを信じていますからね。」という一方的な信用の押し付けの言葉を頂いた。

僕はですね、何らかの具体的な交友関係を経て、相互理解が深まった段階で「信頼しています!」と言われるのはは嬉しいと感じるのですが、いきなりほぼ初対面の会ったことのないネット上の関係で「信じています」または「信用してください」と言われることに強い拒否感を覚えます。(微妙に言い回しが違うのだけど伝わるかな?)

これは少年時代に見たドラマ「家なき子」、この作品の一期を全話観て頂くと分かります。

…え?全話見るのめんどくさいって?笑
では要約というか抜粋だけさせて頂きます。

「簡単に人を信用するな。特に、自分を信用しろという人間をな。」

「同情するなら金をくれ」の方が有名ですが、僕は上の言葉の方が強く残っています。

すでにSNSチーミングをされている方は、この記事を読んで「なるほどねー」とか「こいつはぜってぇチームに誘っちゃダメなタイプだ」とか「察しのいいガキは嫌いだよ!」と自由に思って頂ければこれ幸いです。(煽りではありません。)

応援したいチーム活動ももちろんあります。
というかチーミングだな、と分かった上で応援させて頂けるような活動をSNSチーミングをされている方には是非心掛けてもらえたら嬉しいな♪ということを今回の記事で「激励」の意味を込めて書かせて頂きました。

SNSチーミングが良いか悪いかではなく、良いチーミングかそうでないか…そこを今後も見守りたいと思っています。

前編でも何度か書かせて頂きました。

世の中は選択の連続です。

どういった選択をするかはみんな自由です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?