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「夢を描き、志高く生きる」 大学特別講演スピーチ

2019.03.07

私はあるご縁があり、大学でスピーチをすることになりました。

受講生は大学2〜4年生で就活を控える学生さんたち・OB、OGの方々や他の特別講師の方々。

「どの職業を選べば良いかわからない」
「将来が不安」
「夢や目標が、定まらない」


高度情報社会の中、いまの若い人たちは様々なことに悩んでいるんです。
僕の哲学は職人的だしある意味で古くさい考え方なのかもしれない。
"好きなことだけして生きろ!"
"自分のことだけ考えろ!"
そんなビジネス書や考え方が世に溢れ、個にフォーカスされ過ぎていることに
僕は疑問を感じています。

人間の三大欲求は"食欲" "睡眠欲"
そして"向上欲"だと思います。
だからいつの時代も不変的な「夢」「志」「努力」について語りました。
20分間燃える情熱で語り
涙を流す方がたくさんいらっしゃいました。
今回はそのスピーチの全文を掲載します。

ぜひご一読くださいませ。

【スピーチ全文】

まず初めに、美容師を代表して本日こうして皆様にお話しすることができることは名誉であり、心から深く御礼申し上げます。

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今まで、美容師さんや美容学生さんに話す機会はたくさんありました。
でも僕と皆様の間に、技術のスキルなどの職能的共通点はほぼありません。
そこで、僕が見出した1番の共通点は
「夢」 「志」
今日皆様にお話しするテーマは

『夢を描き、志高く生きる』です。

僕は、自分の思い描いた夢に相応しい職を選び、意義を持って働くことが人生を輝かせると信じています。

まず、僕の仕事との出会いから今日までの日々について少しお話ししましょうか。

15歳のとき、母に連れられて初めて訪れた美容室が全ての始まりでした。
あの夏の日のことは今でも鮮明に思い出せます。
千葉から出たことがなかった田舎の子どもが、130坪の原宿の美容室へ...
全てが輝いて見えた。
いつ来るか知れない"憧れの時"はまさにその時。
天命に導かれるように、迷わずその道を選んだ。


20歳のとき、ちょうど僕が皆様と同じくらいの年齢のとき
倍率が数十倍の厳しい入社テストを突破し
15歳のときに憧れたあのお店に就職。
オープンしたばかりの銀座店だった。
あの街に、あのサロンに、憧れて飛び込んだ。

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(20歳の時の唯一残っている写真)


だが現実そう甘くない。厳しい修行の日々の始まりだった。
何百回も挫折した。
苦しんでもがき続けた。
「才能がない」と毎日言われ続け
悔しくて毎晩泣いて帰った。
でも、人を幸せにできるこの仕事が大好きだから。
20歳のときに決めたから。
『世界一の美容師になり、業界を正しく導く』という大きな夢を。
この厳しい場所こそ、現実こそ、自分を成長させてくれると信じていた。
だから文字通り死ぬほど練習した。
朝の4時半から夜は深夜1時まで。
"誰にも負けない努力"を厳しく自分に課した。

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苦しかったけど、なんだか幸せだった。
夢への階段をゆっくりと上がっていくようで...


でも徐々に、心の前に身体が壊れていった。
身体の限界なんて遥かに超えていて、呼吸困難を引き起こし救急搬送。
医師から告げられた
「このままこの仕事を続ければ身体が持たない」
22歳の11月、今日まで泣いたのはあの日が最後。
「先生..僕さ、頑張ったんだよ。一生分頑張った...」
衰弱で昏睡に陥るまで泣いていた。
憧れのお店に居れたのは3年。
あまりに壮絶な日々で、脳にも激しく負荷がかかり20歳までの記憶の大部分を失った。
人生懸けて戦ったんです。
もはや美容師以外の道は選べない。


約半年、体力を戻すため地元で美容師のアルバイトをしながら
3年間私財の全てを投じて集めた資料を基にしたカット理論の構築に尽力。
その後、銀座の街へ戻り世界的カラーリストの元で半年間修行させて頂き
現在の会社(当時。今はフリーです)にヘッドハンティングされ移籍。
決死の努力で手にした技術は自分を裏切らなかった。
入社半年で指名売上100万達成。
「運命が変わった」「魔法の手」と嬉しいことに口コミが広がり
その後も指名は月間250〜300名まで伸び続け、24歳で史上最年少で社内最高位のアートディレクターに昇格。
戦略参謀として閑散店だった当時の所属店舗を予約困難の人気店へと導きました。
2019年1月、悲願の東京 日本橋にサロンをOPEN。
6月には取締役への就任が内定しています。
(※繰り上げで4月に取締役に就任。しかし翌年2月フリーに転向)


ここまでを聞いて、きっと何かのサクセスストーリーに思えたでしょう。
でもそれは違う。
まだ僕は何も成し遂げていないから。
そうだな、いまは巨大な夢の10%といったところ。
今がたまたま上昇しているだけ。
人生は常に上昇と下降のジグザグなグラフを描くから。
だから上がっている時は感謝。
逆境にも感謝。
常に感謝だよ。

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ここからが大切。
自らの経験からのある意味で哲学を伝えたい。
"人生は自分の描く夢の大きさに概ね比例する結果を生む"
孫正義氏が言っていた言葉ですが僕も全く同感です。
そして僕が思うに、自分のためーつまりfor meーの夢はだいたい小さな夢。
利己的になれば全の中の1しか見れない。
ただ、世のため人のためーつまりfor youーで描く夢は大きくて、そして人生を輝かせるのではないかと思う。
だから夢を描くとき、職業を選ぶときはfor meではない、for youの精神を持ってほしい。
大きな夢を笑う人間はきっといる。
僕も何十、何百回と夢を語り笑われてきた。
でも気にしないで。そういう人間は現実の世界から逃れられなくて、夢を持つ貴方を羨ましく思っているだけだから。
お金を追い続ける人生なんて悲しい。
だって世の中にはお金以上に価値あるものがたくさんあるから。

25歳になったいま、人に求められることが死ぬほど嬉しいことに気づいた。
「貴方でなければ私の髪は任せられない」
「美容室に来て、こんな幸せな気持ちになるのは初めて」
今日までお客様からたくさんのお褒めの言葉を頂戴して来ました。


カットが大好きだった。
上手くなりたくて死ぬほど練習してきた。
上手くなることで道が拓けると信じて。
そして全てはお客様の笑顔に繋がった。
こんなに幸せなことはない。


僕は今日も、【お客様の人生に寄り添う】
そんな美容師になれるよう願い続けています。

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人生や仕事の結果は
才能×熱量×考え方


才能は熱量で補える。
だから特に必要なのは考え方。
世のため人のために、考えてみなよ。夢を見てみなよ。志を持ってみなよ。
それが必ず未来に繋がるから。
必ず人生を価値あるものに輝かせるから。

だからどうか大きな夢を描いてほしい。
燃える闘魂と溢れる情熱、そして誰にも負けない努力でその夢を追って気高く生きてほしい。


志高く。


友野龍太

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