【法律分野とIT分野の情報の違いを改めて考えてみる~前編】

10連休ですね。いよいよ平成も残すところあと1日となりました。連休前はかなり慌ただしくしておりましたが、ここ1週間は色々な人に会い日替わりで変わるような生活ですね。連休も楽しんでいこうと思います(後半の予定がまだ決まってないのが悩ましいですが。。。)

さて、最初のテーマとして契約法務について少し考えて来ました。まだまだ深掘りしていきたいところだらけですが、今回は少しテーマを変えてITを取り上げたいと思います。以前システム部門での業務経験がありましたが、大学は法学部出身、かつ社会人でも法務で基本的には法律漬けの頭で全くITに関する知識のない状態で、ITという大海へ飛び込みました。

自分なりにかなり勉強はしたつもりでしたが、結果的には肌には合わず専門的にやってきた方に比較して語れる程はありません(言い訳に近いですね汗)。ただシステムを始めとしたITはユーザーとしての視点で考えると、業務の効率化は言うまでもなく、法律との「情報」の扱い方の違いを知ることができ有用でした。ビッグデータやデータサイエンス等今後ますます情報やデータは大事になってくるものですし、「情報」にスポットを当てて、法律とITの違いを考えようと思います。
特に法務とシステム両部門を経験した人はそうそういないと思うので、一度頭の整理をしておこうと思っておりました。

法律とITが対象とする「情報」は、どちらも「ロジックが大事」で「難しい」「わからない」というイメージが先行しておりますが、感覚的にはかなり違ったものであると思います。なお、あくまで私自身が感じたことなので、必ずしも一般的に当てはまるものではないのでご留意のほど。


1. 法律分野とIT分野の情報の相違点

(1)扱う情報の対象の違い

法律分野は基本的に文字、情報(データ)の型っぽく言うと「文字列」のみですが(法律の条文、判例、教科書(いわゆる基本書)等法律に関するものは文字だらけ)、IT分野は「文字列」のみならず、「数値」、その他色々な型の情報を対象としています。

(2)情報の読み取り方(取り出し方)の違い

法律分野は書かれていないことは情報として読み取らないですし、書かれていない情報を推測することはしません(裁判で証拠により推測することはあるかもですが)。その意味で受動的に情報を読み取ると言えます。一方でIT分野は情報を指示した条件に基づきデータベースから取り出してきて、能動的に情報を取り出すことになります。

(3)情報の動作性

法律はそれそのもので一定の情報を表示するにとどまり、動作性はありません。一方でIT分野はソースコードに基づいて複雑な情報の処理を行うので、動作性があります。

(4)情報の表示の違い

法律分野は情報を明確に「常に」「できるだけ全て」表示させ、IT分野は「必要の都度」「最小限で」表示させる傾向があるかと思います。これはかなりの違いであり、ある意味衝撃を受けました。
法律自体は明確性を追求する指向ですが、必ずしも必要な情報だけを表示させるわけではなく、とりあえず必要かもという感じで情報を表示させていると思います(これは契約法務で触れた、リスクを感じて書き過ぎてしまうということにつながるかも知れません)。

2.シンプルな情報の体系と複雑な情報の体系

専攻や仕事がITの方が法律分野には行きやすいと思いますが、法律分野出身者がITの分野をやろうとするのは、結構厳しいかなと思います。というのは情報の体系が違うことに要因があると思います。

法律分野は基本的には条文や判例という大きな情報の体系があり、これに基づき契約を作ったり裁判で争うので、シンプルな世界と言えます。そして上記で挙げた通り情報が明確に常にあるものを相手にします。

一方、IT分野は普段使ってるパソコンの画面に現れるインターフェースの情報や言わばパソコンの裏側にあるデータベースやネットワーク等インフラに収まっている情報、その他それらを構築する環境等複雑に絡み合う体系であります。なので扱う情報が複雑さとどこに情報があるのか分からない一種の混乱に陥るので、絶対的な拠り所となるシンプルな法律の世界に慣れた人間にはかなり厳しいと思います。

(私も相当に苦労しました。。。Javaはユーザー多いけど挫折するじゃん。。。)

次回ももう少し情報の観点から法律とITとの関係を考えてみたいと思います。

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