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目が光る

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連載小説です。(あらすじ)ある日、眩しくて目覚めた男。鏡を見ると、なんと目が電球になっていた。ある病気だと診断された男は専門家の女医を訪ね、同じ病気を持つものたちとともにその謎の…
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2020年7月の記事一覧

目が光る(12)

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医務室から10分ほど歩いた所に、治療場はあった。

外側は白塗りのコンクリートに囲まれていて、中央の雛壇のような小階段を上がった先にある両開きの扉はあせた黄緑色をしており、ところどころメッキが剥げてさびた鉄が剥き出しになっている。どこか既視感のあるその外観は、まるで学校の講堂のようだった。

時計を見ると、13時を回っている。治療開始の時間はとっくに過ぎていた。

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