【ショートショート】境目探し
子どもの頃、私は県境の近くに住んでいました。
今考えると別段珍しいものでも、特別なものでも、何でもないのですが、まだ何も知らなかった無垢な私には、とてもおごそかな神聖なもののように思え、私はなるべく県境に近づかないように登校していました。
そんなある日、同じ組のQちゃんという女の子が(Qちゃんは良家のお嬢様で、容姿端麗、成績優秀の絵に描いたような才色兼備の女の子でした)、突然、「アキちゃん、境目探ししましょ」と誘ってきたのです。
私は面食らいました。「境目探し」。私は、