狂った時代の心の保ち方～後編～

　私自身、SNSで、心ない言葉やそれを通り越した罵詈雑言を目にすると、特に自分に向けられたわけでなくても大きく気持ちが揺さぶられます。気分を持ち直すのに時間がかかることもあります。

　でもどうにか持ち直して、毎日を過ごしています。

　必要なのは、折れない心ではなく、倒れそうになっても戻って来られる、弓のようにしなる心です。前編にも書いた言葉ですが、これを私は、患者さんによく「心の基礎体力」と説明しています。
　基礎体力、つまり土台がないのにどんな健康法を実施してもサプリメントを飲んでも、効果は期待できません。

　基礎体力をつけるために何を置いても取るべきなのが睡眠です。

　睡眠だけで何冊もの本がありますし短い文章では語り切れませんが、ほんの少し説明します。

　睡眠中に脳は記憶の整理を行います。不要な記憶は洗い流し、必要な記憶を保存ボックスに入れるようなイメージです。SNSやネットから昼間大量に流れ込んできた情報の大半は不要で不快な情報。それを洗い流すための最も効果があり安価で副作用ゼロの方法が、睡眠なのです。必要で価値のある情報を、脳が自動的に選別してくれるのです。
　
　質のいい睡眠には朝活が大事であることも、良く知られてきました。朝起きたときから、その夜の睡眠の準備は始まっています。メンタルに不調を感じたときこそ朝活を実践してください。起きてなるべくすぐに、窓を開ける、ベランダに出るなどして朝日をしっかり浴びてしっかり覚醒しましょう。

　自然に触れることのリラックス効果、リセット効果も忘れがちですが、非常に大事です。遠出して大自然の中に行かなくても、都会でも実は簡単です。空を見上げる。ぼんやり遠くを眺める。公園の緑でも十分に癒しになります。副交感神経を優位にしてリラックスする時間を意識的にとりましょう。

　スマホを伏せる時間を作る。今さらですが、絶対です。特に布団に入ってまでスマホを見続けるのは脳が覚醒しっぱなしになり、睡眠の質が著しく低下します。やめましょう。

　強いストレスを感じたときには注意を転換する必要があります。本業に集中したり、同僚と雑談したりする。当たり前の日常を意識しましょう。

　全て、特殊なことではありません。繰り返しますが、これらの基本がおろそかになると、メンタル不調になったときに坂道を転がり落ちるように本格的な不調に落ちてしまうことが多いのです。
　
　コロナ社会に振り回されて、本来の人生のミッションすら優先度が落ちてしまっている人がどれだけいるでしょう。私もその一人です。
　早くこんなバカ騒ぎが終わり、一日でも早く、それぞれの人生のミッションに戻るために、一人一人が自分のココロを守りつつ、社会への正答な怒りを持ち続けることが大事かと思います。

　あなたのココロを整えるのは、あなただけなのです。