りゅうこころ ryukokoro

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会社経営の傍ら、心理カウンセリング・コンサルタント講演・コンプライアンスに基づく講義なども行っています、りゅうです。(^^)/ 何度も挫折しうつ病から半身麻痺になり、何度も死にたいと思った。でも今は復活してここまできました。そんな僕だから寄り添えることを発信するブログです。

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    講演や会社講義、カウンセリングなどでよく訊かれる事を詳しく書いています。その他、なるべくタイムリーな話題にも触れていきたいと考えています。

  • 私がヘレンケラーを殺した

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うえすぎくんは放置厳禁! 第十五話

第十五話 いいなぁ  高見澤さんは現在の女子部員の中では頭一つとびぬけて上手いから、今回の混合ダブルスに指名された。その彼女が『走ってこい』と言われているのに、ペアを組む僕が呑気に座っていることなどできなかったので、顧問に神谷さんの指導をお願いして僕もランニングシューズに履き替えて並走する。 「ナニ?哀れみのつもり?」 「違うよ。これから混合ダブルスで一緒に切磋琢磨していかなければならないんだから、ペアである僕も一緒に走りたいって思ってさ」 「しかしよくここまで変わっ

    • うえすぎくんは放置厳禁! 第十四話

      第十四話 これで逆点だね 「大丈夫だよ、絶対に負けない。神谷さんは僕を信じて出来ることを一生懸命やってくれればそれでいい、混合ダブルスとはお互いの信頼関係だから。いつも僕の左手と一緒に戦ってくれているこのリストバンド、つけてくれるかな?これで僕たちの信頼関係は絶対だ!確かに顧問と高見澤さんのペアは強敵だけれど、信頼関係のないペアの脆さを高見澤さんに教えてあげるから大丈夫!それにもし負けちゃったとしても君を背負って走れるのなら僕は嬉しいよ」  最後の一言が柚子葉ちゃんの言っ

      • うえすぎくんは放置厳禁! 第十三話

        第十三話 逃げるんですか?  どんなサーブにも対応できるようにちゃんとラケットを構えていればキッチリ返せなくとも当てるくらいはできるものを、構えの段階からラケットが下がっていたので反応できないであろう顔面を狙ったのだ。 「キャッ!」 という声とともにおでこに当たったシャトルはポトリと床に落ち、彼女も尻もちをついた。野球のデッドボールに比べたらたかだか水鳥の軽い羽根がコツンとあたった程度、しかもスマッシュではなくサーブなのだから痛みなんて感じる程でもない。 「クォラア、

        • うえすぎくんは放置厳禁! 第十二話

          第十二話 ねえ、舐めてるでしょ? 「どうだ、自分との違いが少しは見えてきたか?オマエのフットワークみたいに、本当に地面ギリギリのシャトルを拾わなきゃならん時もあるが、それよりも早く反応してなるべく前で余裕を持ってシャトルを裁いてしまえばいい。そうすりゃあ、あんなドタンバタンと余計な力の入ったフットワークはいらないし、実際にコート上でも軽く動けるっていうもんだ。リューセーのことだから『気合が入ってない』とか『体重が乗ってない』なんて思ったのかもしれんが、力の入れどころが違うん

        うえすぎくんは放置厳禁! 第十五話

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        • 私がヘレンケラーを殺した
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          うえすぎくんは放置厳禁! 第十一話

          第十一話 抜刀ですか? (フェイントは通じないってわけか、それならコントロール勝負といこうじゃないの) ドロップショットをネットギリギリに打ち、彼女が苦し紛れにこちらのコートに返したところを叩き落とそうと前に突っ込むと、パーンと後方へクリアが上げられる。前のめりになった体重をバネのように無理矢理伸ばしながら後ろに飛んで、着地と同時に膝でショックを吸収しながらハイクリアを返すと、今度は向こうからドロップショット。何とか態勢を整えてネット前に走りシャトルを上げるとパン!と叩き

          うえすぎくんは放置厳禁! 第十一話

          うえすぎくんは放置厳禁! 第十話

          第十話 握手とか無理だから  僕からのサーブ。集中力を高めてエンドラインギリギリに高いサーブを打つと、アウトと確信したのか僕に背中を向けてシャトルを見ていた……と思いきや、ライン上ギリギリで頭の上をはるかに超えられるバックショット。 (ヤバイ!) 初動が遅れ、体を弓なりに反らせて後ろにジャンプしながらラケットを振るも届かない。ラケットが空を切って着地と同時にシャトルを見ると、エンドラインを超えていた。 「アウト」 肉体疲労ではない嫌な汗がドッと噴き出す。 (あんな

          うえすぎくんは放置厳禁! 第十話

          うえすぎくんは放置厳禁! 第九話

          第九話 気に入られちゃったみたい  遂に始まった第一試合。 (サーブはショートかロングか?ショートなら少しでも浮いたタイミングを見逃しちゃだめだ。ロングならバック方向に打たれてもフォアハンドで相手の逆側に返せるように、踵は少し浮かせてフットワークを軽くして) 最初のサーブ権はご婦人、僕が一生懸命戦略を立てている間にシャトルが手から放たれる。 (あれこれ考えるな。硬くならずにリラックスして最悪でもシャトルを落とさないように全部拾えば何とかなるかもしれない、もうやるしかな

          うえすぎくんは放置厳禁! 第九話

          うえすぎくんは放置厳禁! 第八話

          第八話 「パシーン」はナシね  中学二年生の集大成、とはいっても学校の授業でやってみたら他の競技よりも少し自分に合っていた程度で始めたバドミントンだけれど、これが楽しくて仕方が無くてクラブ活動のために学校に行っているというのが本当のところなわけで。『認められて褒められる』という今までの短い人生の中で記憶に無いくらい貴重な現象が毎日のように降り注がれるというのは、今までの『学校に行けばイジメられ、辛い思いしかない場所』という概念を一八〇度ひっくり返したようなものなのだから、そ

          うえすぎくんは放置厳禁! 第八話

          うえすぎくんは放置厳禁! 第七話

          第七話 泣いてる? 「あら、これからクラブ活動なの?チョコレート頂いた神谷さんにもお礼の電話しておいたからね。それから牛乳と卵、おつかいに行ってきてくれる時間あるかしら?」 背後から聞こえた母の声に少し動揺し、 「う、うん大丈夫!準備してただけだから」 元気よく答えておつかいへ。そして『どこも洗いたくない願望』は夕食後にあっさりと破られてしまったのだった。月曜日の朝、いつものようにランニングをして時間割を整え学校に向かい教室の扉を開けると、そこには普段通りメガネを掛け

          うえすぎくんは放置厳禁! 第七話

          うえすぎくんは放置厳禁! 第六話

          第六話 心が痛いよりはいい 「上杉君、大丈夫?痛いことされてない?」 畳に手をつき、ものすごく心配そうな顔をして僕を気遣ってくれている。 「ありがとう、大丈夫だよ!今ね、受け身というものを教えて戴いたんだけれど、僕にはこれが何の役に立つのかわからなかったのでお父様に訊いていたところだよ」 にこやかに答えると、彼女は厳しい表情で師範を見て口を開く。 「父上、道着も来ていない初心者の上杉君に……どういうことですか?」 お父様は柔和な表情のまま優しく答える。 「久しぶ

          うえすぎくんは放置厳禁! 第六話

          うえすぎくんは放置厳禁! 第五話

          第五話 おおきなこえで! 「明日土曜日じゃない?お花のお稽古が姫嶋さんのお家であるから、竜星も一緒に来る?柚子葉ちゃんもいると思うけど、柔道の練習しているのかもね」 最後のチョコを口に放り込んだところでこう言われ、あまり深く考えないままモグモグしながら首を縦に振った翌日、つい先日まで幼馴染だと知らなかった柚子葉ちゃんの家へ母と一緒に向かうと、お花の束を抱えた僕の耳に飛び込んできたのは併設された道場から聞こえる気合の入った声と竹刀の音、そしてドタンバタンと柔道特有とでもいう

          うえすぎくんは放置厳禁! 第五話

          うえすぎくんは放置厳禁! 第四話

          第四話 コロコロの秘密  先生のありがたい言葉とシゴキにヘトヘトになってコートの横で四つん這いになり、汗だくになってゼーゼー言っていると、ラケットを持ったまま先生が近づいてきて目の前にしゃがむ。 「頭スッキリしたか?でもよかったな、ホワイトデーにはちゃんとお返しをしてやるんだぞ」 バフンと頭からタオルを掛けられ、僕はそのまま仰向けになってなかなか整わない呼吸と、目の前にチカチカ飛んでいる光が収まるまでしばらく動けなかった。まだフラフラする頭で何とか上体を起こして座ると、

          うえすぎくんは放置厳禁! 第四話

          うえすぎくんは放置厳禁! 第一話

          「あらすじ」 いじめられっ子の主人公「上杉竜星」は何をやってもうまくいかない。しかし突如現れた幼馴染「姫嶋柚子葉」をはじめとする様々な女の子に助けられ恋心を抱かれるも純粋無垢な超天然うえすぎくん。女子生徒達に支えられながら優しい男の子へと成長していく甘酸っぱい学園純愛青春ストーリー。 第一話 見えた?  スポーツバッグに雨除けのビニールカバーをかぶせて足元の水溜りを気にしながら、大きな透明の傘越しに前を見るようにしてポクポクと家に向かう。駅から家まではそんなに遠くないけ

          うえすぎくんは放置厳禁! 第一話

          うえすぎくんは放置厳禁! 第三話

          第三話 なきむしか! 通学して机の引き出しに教科書をしまおうとすると、なにかが引っ掛かる。 (なんだろう) 覗き込むと赤く四角い箱のようなものが。 (バ、バレンタインのチョコを貰ってしまった!) こんなの初めての経験だからどうしていいのかわからずに、オドオドキョロキョロしていると静かに柚子葉ちゃんが後ろからやってきて、 「気持ちだけど、受け取ってね」 恥ずかしそうに言って自分の席に戻っていった。まわりのイモみたいな男子たちが 「今日バレンタインだよなー、チョコ

          うえすぎくんは放置厳禁! 第三話

          うえすぎくんは放置厳禁! 第二話

          第二話 かわいいじゃん 「二年生からは各々クラブ活動に参加するように」 先生から言われてサッカーが得意な子はサッカー部、野球が得意な子は野球部とみんなが決まっていく中で、やせっぽちで運動音痴の僕は何も決められずにいた。  先日行われた運動能力テストでも、反復横跳びや立位体前屈などは良かったものの、ハンドボール投げや短距離走などはまるでダメ。体育の授業でもサッカーや水泳、ドッヂボールなんかは全くできなかったんだけれど、初めてやった割に唯一楽しいと思えたのが、雨の日に体育館

          うえすぎくんは放置厳禁! 第二話

          私のひだりをかえして・・・ 第一話   「完結長編小説」

          ー あらすじ  ー 日本における死刑制度及び「永山基準」が適用された未成年死刑執行を受けて執筆した社会に問題定義する作品。「未成年だから死刑にならない」と性暴力にあった友人に代わって粛清殺人を行い、裁判の際にもこれを盾にとって全く反省の色を見せなかった彼女だったが「永山基準」の存在を担当弁護士から知らされた事と左胸及び左腕を失ったことに絶望し、計十五名殺害による死刑判決を受け入れて留置される。一見残酷で可哀そうな少女の物語に感じるが、如何なる理由があろうとも他人の命を蹂躙す

          私のひだりをかえして・・・ 第一話   「完結長編小説」