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デザインだけじゃない建築

こんにちは。
建築学科で建築を学び始めて三年目になりますが、建築には、社会にはほとんど知られていない面白さがたくさんあるなと感じます。
今回は、その中でも建築の「分野」について少し書きたいなと思います

ニュースに乗るような建築や建築家は、ほとんどの場合、デザインやそれによる機能について言及されていますが、実は建築にはデザイン(意匠)以外にも様々な分野に分かれていて、今では専門分化しているため、有名な建築家の設計であても、他の構造建築家や環境建築家がかかわっていることもざらにあります。

具体的な分野としては、「意匠」「都市計画」「構造」「設備」「環境」「防災」「材料」「生産」など、いろいろあります。

  • 意匠では建築単体でのデザイン(具体的な建物の形や仕上げ材の選定、コンセプトなどの基本設計を受け持つ)を行います。

  • 都市計画では、建築を取りまとめたより大きな範囲でのデザインを考え、豊かなまちづくりや都市の在り方の実現に貢献します。

  • 構造では、意匠の建築家が考えた建物を実現するための具体的な躯体の組み方や、新しい構造形式の提案

  • 設備では、建物の室内環境を快適に保つための空調機や照明の導入

  • 環境では、より広い視点で、建築と地球環境、人の健康の関係についての研究を行い、そのための建築の在り方を考えます

  • 防災では、災害時に人々が安全に建物から脱出できるためのルールを考えます

  • 材料は、建築を構成する材料の特性について調べ、設計時に役立つ性能をまとめる

  • 生産では、建築の施工時の仕組みや、有効な組織体制、契約の方式など、実社会における建築業界の動きを研究する

など、おおざっぱな説明ですが様々な分野があるわけです。

そして、建築や都市ができるときには、紙面に載ることこそ少ないですが複数の分野の専門家が協力しているのが現代のスタンダードでしょう。

例えばArup という会社では建築のデザイン以外を幅広く受け持つ会社で、有名な建築家や大きな建物を数多く手がけています。

他にも、建築構造家は日本にもたくさんいて、実は多くの意匠建築家を支えています。
丹下健三氏の設計で有名な代々木の国立競技場も、実は坪井善勝氏という構造家がかかわっています。

そんな中でも、僕は最近「環境」分野に興味を持っています。
建築環境は、本来デザインとセットになっていました。空調説が充実する以前、窓の位置をどこに、どんな形でとるか、また、どんな素材でどんな屋根をかけるか、というデザインは、室内環境にほぼ直結していました。
(世界の集落は、その地によってデザインがバラバラですが、実はその地域でとれる素材をフル活用し、その地域の気候の中で快適さを保つための適した形に落ち着いているのです)

他にも、ガウディの建築は、その奇抜なデザインで有名ですが、彼のデザインも、実は採光や通風のことが緻密に考えられています。

たとえば、以下のカサ・バトリョでは、タイルの色を、窓から離れるにつれ明るくすることで、建築部の明るさを一定に保つといった工夫が凝らされています。

https://www.nta.co.jp/media/tripa/articles/9sdK4  より引用

その後、建築の空調設備の発達により、デザインと設備は分離されていきましたが、環境問題が深刻化する現代において、建築のデザインを好き勝手に行い、空調負荷を上げることで快適性を保つ、という方法は、徐々に時代にそぐわないものになっていくのではないか、と感じています。(もちろん、空調時に使う電力を減らしたり、再生エネルギーを使うことで、空調を使っても環境への負荷を減らすというアプローチも非常に有意義だと思います)

建築の形態自体を、より環境にやさしく、快適なものに変えていく事で、新しい建築の形態が生まれるという事が、非常におもしろいことではないかと感じます。

今後建築を学びながら、そうした環境のデザインについても学んでいきたいと思うので、そこで得たものも、今後また、発信していきたいと考えていますので、
興味のある方はぜひまた読んでいただけますと幸いです。

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