【ショートコント】潜入社員

〔登場人物〕
面：面接官
忍：忍者

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面：応募者、来ないな。もう面接の時間なのに。
忍：いるぞ。
面：え？
忍：もう、来ているぞ。
面：え？　どこです？
忍：姿を現すことは出来ぬ。
面：なんでですか？
忍：忍者だからな。
面：それじゃあ、面接はできないですね。
忍：何！　拙者ほどの適任はおらぬぞ。
面：言い切りますね。なにか、売りが？
忍：おぬしらの募集を見た。潜入社員が必要なのだろう。
面：え？
忍：潜入社員だ。
面：新入社員です。
忍：潜入するのではないのか？
面：ですから、新入社員ですって。なんですか、その潜入社員って。
忍：潜入するのだ。産業スパイとか。
面：違法ですよ。
忍：だから、姿を現さないのだ。
面：そう言われても。募集しているのは新入社員ですから。
忍：確かに、それなら堂々と姿を現す必要があるな。
面：分かったら、出てくるか出ていくかしてくださいよ。
忍：おぬしの言いたいことは分かったが、違法性は変わらぬと思うが。
面：どこが違法なんですか？
忍：侵入する社員を募集しておるのだろう。
面：字が違う！
忍：違うのか！
面：新入社員だって。
忍：なるほど！　心許せる友を求めているのか！
面：親友じゃない！　分かって言ってるでしょ。
忍：煙に巻こうとしているな、と思っただろう。忍者だけに。
面：思ってない！　もう、不採用なんで、帰ってください。
忍：そんな、煙たがること無かろう。
面：忍者だって言うなら、煙でも出して、とっとと消えてくださいよ。
忍：そうはいかぬ。
面：そんなこと言われてもね。
忍：拙者は、この会社に潜入するために来たのだ。
面：え？　うちに潜入する社員を募集してると思ったってこと？　……バカなの？
忍：忍者をつかまえて、バカとは何ごとだ。
面：潜入するってばれちゃったら、潜入にならないでしょ。
忍：問題ない。潜入の事実を知っているのは、おぬしだけだからな。
面：あっ。
忍：さて、応募者は時間になっても現れなかった、と。

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