新型ことばウイルス

SNSが普及し、人と人とが繋がる可能性は一気に広がった。
それと同時に我々はコミュニケーションの困難を抱えるようになった。
無数の「ことば」によって相手を傷つけたり、逆に傷つけられたりする。
また、「ことば」は一瞬のうちに拡散されて、瞬く間に多くの人によって共有される。
たとえその「ことば」が「正しくない・ネガティブ」なことでも・・・。

総務省が発表しているデータによると、2002年のインターネット全体の情報量を10とすると、2020年は6000倍の6万。
今後も加速度的に増えていくだろう。
情報を取捨選択できる時代は終わり、「ことば」に乗って我々の目の前に現れる。
そして、感染していくのだ。
何が大事で、何が正しいのかも判らぬまま、目の前の情報に翻弄され、時間だけが過ぎていく。

こんなことを思案している最中、ある一冊の本を見つけた。
「ことば」に殺される前に 著者:高橋源一郎

本書は、プロの作家として「ことば」を作り、送り、届けている著者による世の中への挑戦であり、メッセージだ。
著者はツイッターを使い、世の中に「ことば」を投げかける。
プロとして、通り過ぎる人々の足を止めてみたい、と。

即興で書き、肯定的であり、最高のことば送る。
これは「午前0時の小説ラジオ」と題され、前代未聞の即興連続ツイートとして話題になった。
それが書籍化されたものだ。

(本文より)

「ことば」によって相手を否定しようとする者は、やがて、自らの、その否定の「ことば」によって、自身が蝕まれてゆくのである。

否定の「ことば」に感染し、分断された日本社会にとって大切な『ことば』
とはなんだろう。
本書はその一助になる一冊だ。


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