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第23節 サンフレッチェ広島戦 レビュー

首位広島に勝ち点を1試合未消化だが、9と離されていた川崎フロンターレ。

是が非でも勝ち点を持って帰りたかったが、先制点を献上してしまった。それでも選手たちの中に『焦りはなかった。』(阿部浩之)

そして、アウェイの地でもエース小林の2得点で逆転勝利。勝ち点3を持ち帰ることに成功した。

優勝争いとまではまだ行かないが、着実に勝ち点を積み上げる大切さを昨季味わった。この勝利がシーズン後に1つのターニングポイントになることは間違いない。

さて、今回のラインナップはこちら。

①『それで2点取ったのは偶然じゃないと思う。』(中村憲剛)。中村憲剛が語る試合を決めた”それ”。意外にも堅守広島を攻略したのは基本的な崩し方から。そして試合のキーワード【中村憲剛】。

②『ある程度、出過ぎても追いつける自信があった。』(車屋紳太郎)。パトリック封じは失敗も確立しつつある熊本ツーバック。

では。

①『それで2点取ったのは偶然じゃないと思う。』(中村憲剛)。中村憲剛が語る試合を決めた”それ”。意外にも堅守広島を攻略したのは基本的な崩し方から。そして試合のキーワード【中村憲剛】。

ボールに強く来る相手に対して、フロンターレは自分たちのペースで試合を組み立てていた。そこの部分で言えばいつも通りといったところであった。

ただ、前半の広島の強度はかなりのもので中々難しい局面もあった。

だが、そんな中でも『前半の最後から相手が捕まえにくそうにしていて、少しバテてきていた。』と阿部が言うように前半終了間際からこちらが完璧にペースを握っていた。

しかし、56分にパトリックにゴールを割らせてしまったのはチームとして予想外な結果になった。ペースを握っていても先制点を献上してしまえば、広島は重心を後ろにかけてくる。

中央を締め、ボールに来る広島に対してどう攻めて行くのか。

キーワードは【中村憲剛】であった。

なぜ、中村憲剛なのか。それを中村自身がこう振り返る。

『2トップに、中盤の一人が出てくるので、後ろ3枚で回しても同数になって、息ができない状態になる。それなら自分がヘルプにいったほうがいい。』

ここ最近の試合では中村・大島・守田が場所に固定されないプレーが目立っていたが、この試合でもこれが目立っていた。

数的優位を作ることはポッゼッションをする上でアドバンテージになり、あまりデメリットがない。あるとすれば、前線の枚数が1枚少なくなるだけだ。

だが、今のフロンターレにはこの問題はあまり関係ない。

中村が落ちれば『相手のボランチがくっついてくる』、そして、『アベちゃん(阿部浩之)とアキ(家長昭博)が背中をつけた。そこでサイドの二人を中に入れさせて、エウソン(エウシーニョ)とノボリ(登里享平)に高い位置を取らせる。』。

中村が言う″それ″というのはこのことだ。

阿部と家長は真ん中でも十分にプレーすることができる。そこで、2人が中央にスライドした際に攻撃的なサイドバックであるエウシーニョや登里が相手陣内の深いところに入って行くことができる。

実際、同点弾が生まれたシーンは阿部が中央にスライドしたと同時に相手のサイドバックがボールにプレッシャーをかけにきた。それによって、エウシーニョに付くべきマークが付かなくなりあのようなシチュエーションになった。

フロンターレ”らしい”点の取り方ができればチームとしても波を作ることができ、それは相手にとっても非常に厄介になる。

PKを得たシーンも同様に、同じような崩しからPKを獲得できた。結果論での話だが、広島攻略の答えは決して新しいことだけからではなく、既存する崩し方から生まれた。

『経験値を増やしながら、今日は勝てた。』と中村が言うように、首位相手にアウェイの地で逆転勝利できたことは勝点3に加え、戦いの部分で成長できたはずだ。

②『ある程度、出過ぎても追いつける自信があった。』(車屋紳太郎)。パトリック封じは失敗も確立しつつある熊本ツーバック。

ここ最近の試合は谷口・車屋がセンターバックを務めている。スピードに対して強い耐久力を持つが、それに加え彼らはコミュニケーションでも魅せてくれる。

広島がパトリックを軸に攻撃を展開してくるのは承知の事実だったので、そこをどう潰していくかというところであった。

ただ、『相手のストロングのところ』(大島僚太)から先制点を献上してしまった。

エウシーニョが体を当てて対抗するもそれを弾く形で奪われてしまった。パトリックの破壊力が勝ってしまったが、それ以前にクロスを入れさせない守備をしたかったところだった。

そんなパトリックに対して『センターバックとサイドバックの関係で対応していた』とは谷口。

彼は決して空中戦だけでなく、地上戦にも優れている。なので、ただクロスに警戒してるだけでは簡単にゴールを奪われかねない。

そこで、『ボールに触れなくてもプレッシャーをかけるとかそういう風には言われていた。』と登里が指示の内容を話していた。

フィジカルで止めるよりも間合いで止めることが彼に対しては最適であったに違いない。

同点弾を奪った直後、広島はティーラシンを投入して前線の攻撃力と速さを強化してきた。

カウンターを狙いにきていたが、『自分とショウゴさん(谷口彰悟)のスピードは強みなので、ある程度、出過ぎても追いつける自信があった。』(車屋紳太郎)と全くもって冷静に対応していた。

PKで逆転してからは守りきらなくてはならない。

城福監督は『点を取りに行かなければいけない』とのことで攻撃の能力が高い川辺を投入した。そこで、前線にボールを放り込んでくる相手にいかに水漏れをしないように守るかというところで選手全員が最後まで集中してプレーできていた。

今のフロンターレの守備面での成果の背景には熊本コンビが健在している。

フロンターレは1試合未消化ではあるが、総失点が17と1番少ない。ただ、総得点では1位ではなく、本来のフロンターレがいなければいけない順位ではない。

今シーズンは守備での結果は出ているが、攻撃が少し物足りなさを感じている。

得点を奪って勝つのがフロンターレ。

もっとゴールネットを揺らすシーンが増えることに期待したい。

(RYUJI.I)

参照:

・川崎フロンターレHP

・Jリーグ公式サイト


サッカーライターを目指し投稿中。 更新頻度は異なりますが、思ったことを投稿していければ。 川崎フロンターレを応援しています。