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第21節 清水エスパルス戦 レビュー

連戦の始まりを勝利で飾った川崎イレブン。

試合開始早々に失点し、難しい展開が続いたが、『90分で勝てば良いと思ってやっていた。』とは家長の言葉。

結果的には2−1で勝利し、川崎に勝ち点を持ち帰ることに成功した。

さて、今回のラインナップはこちら。

①『相手は中を閉めてくる。ならば、外を使えばいい。』(中村憲剛)単純明快な”狙い”。そして変化し続ける川崎フロンターレのトライアングル。

②『清水は、クロスの多いチームだということはわかっていた。』(谷口彰悟)清水の時間を耐えきる力と【連続失点を避ける】というチームとしての共通認識。

では。

①『相手は中を閉めてくる。ならば、外を使えばいい。』(中村憲剛)単純明快な”狙い”。そして変化し続ける川崎フロンターレのトライアングル。

失点に関してを『予想外だった』と中村が振り返るようにあの早い時間帯での失点はチームにとって大きな誤算ではあった。

そこで、清水はこちらにボールを持たせ、後ろで構えるという形をとって来たが、『そこまでタイトに守備に来ているわけではなかった。』(谷口彰悟)ので攻めることはできていた。

試合率が70%を超える時間帯もあったが、そこを”持たされている”という認識ではなく”持っている”という認識でプレーできていたのがチームとして大きな勝因になったのではないだろうか。

この試合のキーワードは選手たちが口にするように「外の使い方」だった。

『相手は中を閉めてくる。ならば、外を使えばいい。あれだけ中を閉めてくれれば外が空くし、相手は閉めるときと空いているときのバランスもあまりよくなかった。』(中村憲剛)

フロンターレは真ん中を閉めてくる相手に苦労しやすいが今節はそこの部分をノーストレスでやれていた。その理由は『閉めるときと空いているときのバランス』だ。

実際、小林の同点弾は中村左サイドから逆サイドのエウシーニョに振って得点が生まれた。

清水のディフェンス陣はハイタワーということもあり、空中戦一本のみでやれば、中々勝ち目がないが、それでもある程度崩した後に、今回の得点のようなクロスが出せれば中はスクランブル状態になっているので非常に有効である。

『二人で外に張らないようにしながら』(家長昭博)。家長が中にスライドすることで相手のサイドバックは引っ張られる。それは中外両方に言うことができる。

使い分けに関してはこの試合は90分間通して非常に明確に出来た。

そして、もう一つ攻撃に関しては嬉しい要素がこの試合ではあった。

それは大島の得点である。特に得点パターンがミドルシュートではなく、エリア内でのシュートだったということだ。

あそこまでボランチの選手が侵入できる、行けるというのは今のフロンターレだからこそだろう。

『3人目の動きが中でできれば、相手にとっては中も外もできるという怖さが生まれると思う。』(大島僚太)

得点シーンを振り返れば、阿部が小林に当てるといういつもの形だが、その中で大島が絡んで来た。3人目の動きがトップ下の中村であれば相手はある程度の予想が立てることができるだろうが、ボランチである大島がここまで上がることができれば相手の陣形を壊すことができる。

オフ・ザ・ボールに「誰が・いつ・どのように」反応するかという部分で言えば、今回のような崩しは非常に良い例である。

今のフロンターレはこれが大島でも守田でも出来る。実際、先日のマリノス戦での小林の2点目は守田が相手選手を引っ張ったからこそ生まれた。

大島が中と外の関わり方に対して『どう関わっていくか。』と言っていたが、そのパターンは多種多様であり、『誰が出ても』このチームは成立する。縛られないというスタイルだからこそ、無限に相手を攻略する策が出てくる。

川崎のバンディエラ中村憲剛、川崎の10番であり心臓である大島僚太、そして、新生守田英正。彼が形成するこの形は相手にとって必ず脅威になっていくはずだ。

②『清水は、クロスの多いチームだということはわかっていた。』(谷口彰悟)清水の時間を耐えきる力と【連続失点を避ける】というチームとしての共通認識。そして試合巧者となっていく川崎フロンターレというチーム

この日の清水はミッチェル・デュークとドウグラスを配置して来ていて、谷口が言うように【クロス】が1つのポイントだったことは間違いない。

だが、献上してしまった先制点は”頭”ではなく”足”から生まれた。そして、ミスから生まれた失点だということをピッチ上の選手がしっかり割り切れたことが次に繋ぐことができた。

『先制されて難しい展開になったが、メンタル的にはきついが、連続して失点しないこと。』(登里享平)
ここが出来たということが浦和戦からの成長だろう。

展開としても相手は先制点を奪ってから後ろに重心をかけ始めていた。浦和戦ではここで自分たちのサッカーが中々出来ずに、ロスタイムにPKでトドメを刺された。

【連続失点】を仮にしていればこのような逆転劇は生まれなかっただろう。

チョン・ソンリョンは『ビハインドの状態でも自分たちのプレーを続けられたのがよかった。』とあくまでも”自分たちらしく”プレーすることの大切さを強調していた。

そして、清水もカウンターを繰り出すという明確な意図を持っていたので、あとは守備陣がどうしのぐかという部分になってくるが、そこは4枚とも集中力を持って対応していた。

後半になって、相手のボールの時間はあったが、『危ない場面はそんなになかった』(守田英正)

試合を振り返れば、ヒヤヒヤするような場面はなかった。それに加え守備陣がしっかりと相手の雰囲気に飲まれずにやれたということが勝利という結果に繋がったのではないだろうか。

『なるべく中にいて弾き返す。』(谷口彰悟)ことが徹底されていて、84分には長谷川が投入されたが、特にこれといった目立つような点はなかった。

耐久力が試合をするたびに向上しているのがひしひしと伝わってくる。

『守備も攻撃もバランスを崩さずに、相手が出てくるところがありましたので、その隙をしっかり突きながらということを考えていました。』(鬼木監督)

1点差だったが故に相手は攻め込んでくる。どうそこをいなしていくのかというところに関しては選手たちがクレバーにプレーしていて、有利にゲームを進めていた。

ボールを持っている時間帯がこの試合は長く、相手は多少なりとも疲れが出てくる。それでも同点に追いつこうとしてくる相手のパワーに耐えることが出来た。
 
それで、『カウンターなどで1本取れればよりもっともっといいゲームだったと思いますけど、しっかり我慢するところを含めてメリハリというところがチームとして出てきているかなと思っています。』と指揮官は振り返る。

攻めることが出来るシチュエーションであれば攻めにかかり、一方で耐えなければ行けないシュチュエーションでは耐えなければならない。鬼木監督が言う『メリハリ』という部分がしっかりとチームで体現できれば、この夏の戦いを乗り切ることが出来る。

(RYUJI.I)

参照:

・川崎フロンターレ

サッカーライターを目指し投稿中。 更新頻度は異なりますが、思ったことを投稿していければ。 川崎フロンターレを応援しています。