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映画閉鎖病棟

(過去ブログの転載です)

2019.11.4
観てきました。

映画 閉鎖病棟

小林聡美さんが好きで

小林聡美さんが出演されてる映画なら、

という軽い気持ちで観に行ってしまいました。。


結果、かなりヘビーな内容で、

後半は涙が止まりませんでした。


以下、ネタバレになるかもしれませんので

映画館やDVDなどで初めて楽しみたい、

内容は知りたくない、という方は

ここまでで先に進まずお戻りすることをオススメします。






その他にも

性的な問題でトラウマを抱える方なども

ご注意下さい。







感想、疑問点などを述べていきますね。





鶴瓶さん演じる秀丸は妻と母親(+1)を殺した罪で死刑になります。


執行は行われたものの

秀丸は何故か息を吹き返し

そのまま蘇生してしまいます。


過去に一度同じことが起きた時は

放免となった、と話す警察関係者の人たち。


しかし今は時代が違う、となり

下半身に麻痺が残った秀丸さんは

精神病院の閉鎖病棟に収容され

余生をそこで過ごすことになりました。


ここで疑問点。

死刑囚の死刑が失敗したら

そのままもう一度死刑を執行してはいけないのか?


これがすごく疑問でした。

なぜそこで悩むのか。

過去なぜそこで放免にしたのか。


原作は読んでいないので

もしかしたら原作には

詳しく書かれているかもしれません。


映画を観ているだけですと


ここにはもしかして

人智を越えた

「神の思し召し」

的な発想があるのかな?


などと思いました。


そうでなければ粛々と

もう一度執行すれば良いだけの話です。


不思議な国にっぽん…

死刑制度のある他の国では

こういう場合どうなるのか、

なども気になりました。


話を戻します。


精神病院の閉鎖病棟には

様々な事情を抱えた人たちが

集まっています。


チュウさんと呼ばれる

綾野剛さん演じる青年は

パッと見には

なんの問題もないように見えますが

幻聴が原因で感情のコントロールを失い

暴れて発作を起こす病気の持ち主でした。


でも優しいんです。

他者をものすごく気遣えます。


他の入院患者さんたちも

みんな優しいんです。


誰かが誰かに心ないことを言われたりすると

「気にするな」と

必ず誰かが言ってくれるのです。。



車椅子に乗る秀丸さんは

陶芸に目覚め

陶芸室で土をこねる毎日。


チュウさんと秀丸さんは

お互いを気遣い

たまに看護師さんに叱られたりしながらも

穏やかに過ごす日々。


そこへ、義父による

性的虐待を受けた少女

由紀ちゃんが入院してきます。


実の母親は

その事実を知りながらも

夫との関係を悪くしたくなくて

むしろ娘を厄介払いするため

入院させたかったことが後に分かります。


小松菜奈さん演じる少女

由紀ちゃんは

そんな辛い現実の中でも

閉鎖病棟で自分の居場所を見つけ

秀丸さんやチュウさんたちと過ごしながら

穏やかさを取り戻しつつあった矢先


覚醒剤による薬物中毒で入院していた

粗暴な男から

誰もいない陶芸室で乱暴されてしまうのです…


あまりにもむごく酷い出来事でした。


ここでまた疑問点。


この薬物中毒の男、

普段から暴力的で

監視役の職員が

必ずついていたのですが

(事件はその隙をついて起きてしまった)

そもそも

このような暴力的な人間を、


大きな音などに怯えやすく

そうなると

自力で精神の安定を保つのが難しいような

心優しき人々と

一緒の施設に入れておいていいものなのか?


薬物というのは

本当に恐ろしいもので

特に覚醒剤は

一度でも使ってしまうと

脳の機能を破壊し

二度と元の自分には

戻れなくなってしまうものだと聞きます。


薬物を使うと幻覚や幻聴などが現れたり

人によって様々な症状が出ます。


すべての人が暴力的になるわけでは

ないのでしょうが

映画の中では

暴力性の高い

この男のような人を

隔離などもせず

他の人たちと同じ空間で

過ごさせていたこと、


その結果

由紀ちゃんが襲われてしまったことは

(映画はフィクションですが)

もし本当に起こっていたとしたら

病院側の管理問題

ということになってしまうのでは…


などと感じました。


小林聡美さん演じる

看護師長さんも

後の裁判で初めて

その事実を知り

驚愕したことでしょう…



裁判で由紀ちゃんは頑張りました。

頑張って証言しました。


裁判だけじゃなく

事件の後の生活も

あまり詳しく描かれてはいなかったけど

すごく頑張ったのだと思います。


日本中に、いえ世界中に

由紀ちゃんのように

ひどい目に遭っても

頑張って乗り越えて

生きている人たちが

たくさんいるのかと思うと

涙が止まりませんでした。

私には、

由紀ちゃんのモデルとなった女の子が

どこかに存在しているように思えて

仕方ありませんでした。


物語はフィクションですが、

薬物患者の中でも暴力性が強い人は

他の患者さんたちとは分けて

治療に専念できるような

そんなシステムが整っているといいなあと

思いました。


そしてそして、

映画の冒頭からずっと考えていたこと。


映画 閉鎖病棟の登場人物たちのように

精神に病を抱えて苦しんでいる人たちが

この地球上には本当に

たくさん存在しているということ。


この世は今

健常者と呼ばれる人たちと

障がい者と呼ばれる人たちが

いることになっていて

健常者と呼ばれる人たちが

主体となってこの社会を回している…

ように見えるけれど

それはこの社会の仕組みを作ったのが

「健常者」と呼ばれる人たちだったから、

というだけの話なのでは、と

常々思っていまして。


健常者と呼ばれる人たちの中に

本当に心身共に「健常」な人は

一体何割くらいいるのだろう、

とも思います。


障がい者と呼ばれる人たちと

自分との違いは何なのか

どこにあるのか、、


私だって

しかるべき病院で診察してもらったら

もしかしたら

何らかの病名かつくかもしれない。

(十中八九、付くでしょう)



そんなことを考えながら観ていたら

チュウさんの妹が

チュウさんが退院すると言い出した時に

「こんな狂った人を世に放って何かあったら誰がどう責任を取るのか」

というようなことを叫びます。


狂っているのは

果たして

どちらなのでしょうかね。。


イタリアには

「神様以外みんな障がい者」

という言葉があるそうです。


私はこの言葉に激しく納得しています。


この世には完璧な人なんていない。


みんな何かしら問題を抱えている。


すべての物事は

得意な人がいて

不得意な人がいる、

それだけなのだと思います。


映画の最後は

ほんの少し希望が持てるような

そんなシーンでした。


ネタバレした部分もありますが、

話していない内容もたくさんあります。


ここに書いてきたのは

私の感想なので

同じ映画を観て

全く違う感想を抱く方もいることでしょう。


色々考えるきっかけになる映画だと思います。


映画 閉鎖病棟―それぞれの朝―


ぜひ観に行っていただきたいです。

 

(私は一切出演していませんし、関係者でもありません)


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