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祖父の信心

父が子供の頃のお話。
父は小さい頃から扁桃腺が腫れやすく、よく熱を出していたらしい。
10歳くらいのある日、かかりつけのお医者さんから、「今度のはひどいからもう手術をしてしまおう」と言われ、東京のお医者さんを紹介され、祖父と祖母と父、親子三人で東京に行くことになったそうだ。

手術前夜は旅館に泊まったらしいのだが、そこで祖父は奇妙な夢を見た。
不動明王が刀を振りかざし、父の喉元を切りつける夢。
ハッと目覚めて父を見ると、なんと父が血を吐き、激しく咳き込んでいる。
慌てて病院に連絡をし、父を運び込む。
検査をしてもらうと、扁桃腺はすっかりきれいに治っていて、手術の必要は無いと聞かされた。

手術を免れた父は、それ以来、熱を出すこともなくなったとのこと。

祖父は信心深い人で、何かあると神社に参拝をし、近くの「おふどうさん」と呼ばれる神社?のような場所には季節の行事ごとに必ず顔を出して参加していた。幼い私に八百万の神の存在を教えてくれたりもした。

おふどうさん…お不動さん…?不動明王…?

「おふどうさん」は後継者がいないことでだいぶ前にもう辞めてしまっていて、事の真偽は分からないけれど、信心深い祖父が起こした奇跡のような話に思えた。

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