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森まゆみ著「暗い時代の人々」

言うまでもないが、谷根千の雑誌で著名な、私は漱石に関する著作などを拝読している森まゆみさんの本で、2017年に単行本、2023年9月に吉野作造の章を加筆して朝日新聞出版から文庫化された。
近代日本のリベラリストを取り上げていて、森さんの取材、検証、論述、記述に改めて感心した。
斎藤隆夫の圧巻の演説に引き込まれた。
特に印象深かったのは、山川菊栄など、社会主義活動家の連れ合いや家族でもあった女性の活動家たちの記述だった。古今東西、複数のマイノリティを背負う集団がある。
個人的には長く神近市子が創刊した文芸誌「婦人文芸」に投稿しているので、平塚らいてうらの記載のところも特に面白かった。
西村伊作の章では、以前に、「婦人文芸」の先輩の同人の方に御茶ノ水の文化学院に連れて行ってもらい、その方は西村先生を直接知っておられたのだが、公開講座に誘ってくださり、学舎を紹介してくださったことを懐かしく、嬉しく思い出した。

2023年2月27日の朝日新聞朝刊オピニオン&フォーラムの欄には新しいリベラルと題して立命館大学准教授の金澤悠介さんのインタビューがあった。同じ欄で中島岳志さんの「リベラル」と「パターナル」の解説も。ちなみに翌日の2月28日の文化欄には樋口陽一さんの記事もある。

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