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より良い〈対話〉のヒントは、ノンバーバルの表現に~なめらかなコミュニケーションとは~

ダイアログ・デザイナーの嶋津です。

「ダイアログ・デザイナー」とは、ダイアログ(対話)をデザインする人という意味です。〈対話〉というのは、基本的にはことばによるコミュニケーションですが、相手の話を引き出すために重要な要素は、意外にもノンバーバルの領域です。今回はそのことについて少しだけ。

〈対話〉は「聴く」からはじまります。仮に二人の人間が互いに話していたとしても、「聴く」を抜きに話している状況では、そこには独り言が二つあるだけに過ぎません。「聴く」がなければ、建設的なコミュニケーションは成立しません。

「聴く」という技術を磨けば、それはより良い人間関係を築く助力となります。クリエイティブな対話を引き出すことだってできます。そこでは必ずしも「話す」が上手である必要はありません。

コミュニケーションについての理解を深めようとする時、多くの人は「話す」を鍛錬しようとします。上手に話すことができれば、自分の想いが相手に伝わると思っているからです。それが間違いとは言いませんが、あなたが有名人でない限り、それはずいぶんと遠回りの手段になるでしょう。

確かに、立て板に水の語り口に惹かれますね。芸人さんや講演家の口上やスピーチにはうっとりします。その技術さえあれば、相手のこころを一瞬で掴むことができると考えることもわかります。ただ、それは「語り」だけの要素ではありません。「伝える」ためには、先に「伝わる」空気をしつらえておく必要がある。そこまで意識できている人はそれほど多くありません。

もっと言うと、より良い関係性について考えた時、「話す」は邪魔になることさえあります。大事なことは「聴く」というスタンスにあります。

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ただ「聴く」と言っても、その姿勢は様々です。

ことばを発しないだけに、「何もしていない」と思われがちですが、当然そんなことはありません。心地良い相槌、程度なリアクション、適切な問い。それらによって、話は豊かに展開していきます。

さらに言えば、沈黙さえも武器になる。相手の思考を「待つ」んです。頭の回転が速い人がやってしまいがちのパターンが、「それって〇〇ということですよね」と相手の代わりに答えてしまう。あるいは、相手が困っていると思って別の話題を用意してしまう。

それをしてしまっては終始、表層的な話で完結してしまいます。それは非常にもったいない。自分が何かを言いたくても、あえてそこはぐっと我慢して、相手に気付かせる。それが実現できた瞬間、フレキシブルな空気に満ちていくことがわかります。人は誰かに教わりたいのではない。自分で発見したいのです。それをアシストできる技術が「聴く」にはある。

「沈黙」を覚えた時、新しい扉が開きます。

優れた「聴く」姿勢のポイントはノンバーバルの表現にあります。

視線の送る先はどこか、声を出さない頷き、驚きや喜びの表情、紙にペンを走らせる動き。

〈対話〉の空気は、そのような一つひとつの小さなノンバーバルの所作から構築されていきます。インタラクティブな関係性によって空気をつくり上げていく。そこに適切な「問い」と、貴い「沈黙」を織り交ぜていく。

その空間を共有し、互いに〈対話〉へ没頭することによって、かけがえのない体験が訪れます。新しい発想、新しい問い、新しい気分が波のように押し寄せる。

ぼくは、その空間、時間、体験を「クリエイティブ・ダイアログ」と提唱しています。

今回は、〈対話〉におけるノンバーバルの領域について書きました。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。また、別のお話で〈対話〉のコツを紹介しようと思います。それでは、また!


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「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。