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「褒める」は技術~マスターピースが生まれるきっかけをつくる~

最近、誰かを褒めましたか?

こんにちは、ダイアログ・デザイナーの嶋津です。ダイアログ・デザイナーとは〈対話〉を〈デザインする人〉という意味です。日々のコミュニケーションを観察していると、「褒める」が得意な人とそうでない人がいることに気付きます。 「褒める」が上手な人は、呼吸するように相手の良いところを伝えます。 得意でない人は、相手の良いところを見落としていたり、解釈を変えて相手をけなしたりしている。

当然、一緒にいて楽しいのは前者ですよね。 明るい気分になるし、発想も豊かになるし、仕事の生産性も上がります。 「褒める」が日常に自然と融け込んだ状態が理想です。 このようにことばにするとシンプルなのに、実際には「褒める」が得意でない人の方が多い。 それはなぜか。 「褒める」は高度な技術だからです。

一度、周りにいる誰かのことを褒めてみてください。 意外と難しいことに気付きます。 反対に、相手の粗探しをして批判しようとしてみてください(伝える必要はありません)。 どうでしょう、するするとことばが出てきませんか? 「褒める」は「批判する」よりも数倍難しいことに気付きます。

それは、ゆるやかなスロープを上っている感覚です。 意識的に「進もう」としなければ坂道を上ることはできません。 対照的に粗探しはスロープを下るイメージです。 力を作用させなければ、自然と下って行きます 。 つまり、ぼくたちは意識的に相手の美点を探し、それを言語化する必要があるのです。

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ダイアログ・デザイナーとして、たくさんの人とお話をしてきて気付いたことがあります。 それは、「褒める」が得意な人は、自分自身を褒めることも上手だということ。 これは逆も然りです。 つまり、「褒める」が苦手な人は、 自分自身を褒めることが苦手だということです。

日本では、「謙虚」は美徳だと言われます。 ただ勘違いしないでほしいのは、「褒める」と「自慢」は違うということです。 自分の良い点を認めてあげることは自己肯定感につながります。 そう考えると、他者を褒めることが苦手な人が自分自身を褒めていない理由もわかります。 自分に自信がなければ、他者を褒めることばを伝えることは難しいからです。 たとえ、言語化できていたとしても、それは相手に伝わりません。 自信のなさは、ことばにも表現にも現れます。

「自信がないこと」と「謙虚」は全く違う意味だということを、認識する必要があります。 「自信」と「謙虚」は両立できます。 その自信を表に出すか、出さないか。 それは品性の問題です。

「褒める」が上手な人は、自分の美点をよく知っています。 日頃から、上手に褒めてあげることができている。 だから、自分の「好き」という感情を大切にできる。 それは自分自身へ向けられたものだけではなく、外側へ向けられた「好き」にも同様です。 自分が「好き」なモノやコトや人を大切にできる。 だから、生きることが楽しい。

「褒める」というのは、寄せては返す波のようです。呼吸と言ってもいいかもしれない。引いた分だけ、押し寄せる。あるいは、吐いた分だけ、吸うことができる。返ってくる時には、少しだけ量が増えています。より良い人間関係や、クリエイティブな発想が生まれる空気。その下拵えは、「褒める」からはじまっていると言っても過言ではありません。より良い社会は、その小さな人間関係の構築がキーとなります。

「褒める」は技術です。 練習すれば誰でもできるようになります。 目に映るモノや人の美点を意識的にことばにしてみてください。何よりも先に、自分自身を褒めることからはじめてみてください。自分が納得できはじめたら、「伝える力」も育ってきている証拠です。

一つの「褒める」が、マスターピースの生まれるきっかけになり得ると考えるとドキドキしませんか?


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