美しい手紙
美しい手紙が届く。
そのあまりの美しさに、何でもない一日が“非日常”となった。そうそう、こういうこと。人柄とことばの力。たった一度でも、相手のこころに残る手紙を届けることができたなら、その関係性はかけがえのないものとなる。欠けることも、替えることもできない、一つだけの関係性。わたしは、その力を信じてみたい。
だから、今日も対話について考えと想いを巡らせる。
*
関係性を育むとき、それは手紙を送る行為に似ていると感じる。
感謝の気持ちを伝えたり、お祝いのことばを添えたり、感想をつづったり、あるいは、お願い事を提案してみたり。いずれにしても、相手の気分について想像して、“あなた”についてどう感じているかを伝え、“わたし”のこともそれとなくお伝えする。
“わたし”の話ばかりでは退屈だけれど、そこに“わたし”が見えないと“あなた”もやはり不安になる。やさしさとは、倒れたときに手を差し伸ばすだけじゃない。心配させないこともまた、大人のやさしさ。その辺りの塩梅を調整しながら、ことばを吟味してゆく。
「手紙を送る」という営みの、その小さなスケールのことが日々あらゆるコミュニケーションの中に息づいている。それらのにぎわいが、わたしが“対話”と呼ぶものの構成要素になっている。
*
対話には、日常を“非日常”にかえる力がある。対話を通して、目の前の時間を特別なものにしつらえてゆく。
関係性を築いていゆくこと。それは、毎日、練習できる。対話を通して、わたしたちは、“非日常”が散りばめられた日常を生きることができる。日常の中のファンタジー。それは、誰かを想い、手紙を書くように。
今日、わたしの手元に届いた手紙は、まさしくファンタジーを閉じ込めたことばの箱だった。
*
手紙が返って来ないことがある。
「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。