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外資マーケティング流「1ページ戦略設計図」の教科書 (フォーマット付き)

「戦略」に関わる、すべてのビジネスパーソンへ

元ネスレ、WeWorkブランドマーケ責任者、リチカCMOの田岡です。現在は、大企業・スタートアップに、マーケティング戦略・実行・組織づくりのご支援をしております。

この「ドキュメントフォーマット」シリーズでは、マーケティングに限らず、すべてのビジネスパーソンに、役に立つ情報をお届けできたらと思います。

前回は「1ページ企画書」について記載し、MeetyやDMでも大変ご好評いただきました。


改めてですが、グローバルでの最前線で活躍する一流人材は、ドキュメント力が圧倒的です。
戦略、企画、プロジェクトあらゆることをドキュメントに落とし込み、国も文化も時差も越え、周囲を巻き込んでプロジェクトを進めていく力があります。ぜひそのノウハウを多くの方に共有し、経営・業務推進のヒントになればと思います。

今回は「戦略設計」にフォーカスして、具体的に中身を紹介したいと思います。ちなみに今回のドキュメントはMBO、OKRの目標設計にも活用できるものになっています。


まず戦略策定に関わる人に使って欲しい


タイトルのサムネイルで「誰でも今日から使える」と書きましたが、特に経営戦略、マーケティング戦略、営業戦略の立案、策定に携わる方に活用して欲しいと思っています。

特にこのような方におすすめ
事業戦略を立案・策定するCOO、事業責任者
マーケティング戦略を立案・策定するCMO、マーケ責任者、マネージャー
営業を統括する営業責任者、営業責任者、マネージャー

【公開】1ページ戦略図フォーマット

1ページ戦略図フォーマット


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ドキュメントリンクにアクセスしてご確認、コピーしてご活用ください!!


【重要】 1ページ戦略図 8つのポイント


1.この戦略図は「会社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)、経営戦略を踏まえて、自事業、自部署の目的、ゴール、戦略を明確にすること」を目的としています。この戦略図により、自部署が何を達成すべきか?フォーカスすべきか?が言語化され、クリアになります。頻度としては、3ヶ月に1回、各部署単位で作成していくことをおすすめします。また、各部署の戦略図に合わせて、各個人でも作成することができます。


2.企業のマネジメントで最重要要素のひとつが、MVVの浸透、戦略のアラインです。この戦略図は、チーム目標はチームマネージャーが作成し、それに紐づく形で個人目標を個人が作成します。単に作成して終わりではなく、各上長と背景や意図を丁寧に対話していくことでMVVの浸透、戦略の認識共有をすることを目指します。


3.フォーマットの活用方法として、3ヶ月に1回、それぞれのチームや個人で、このシートを作成してください。順番として、経営チーム→各チーム→個人となりますので、各クオーターの前月の1週目から、それぞれ1週間ごとに確定、共有させていくといった進め方で取り組みます。チームの規模感などに応じて、スケジュールや進め方は柔軟に変更いただいて構いません。


4.“パート1.目的”では、MVVや経営戦略、チームの戦略を踏まえ、自分や自分のチームが何をフォーカスして実現すべきか、一言で記載します。ここでは、定量的である必要はありません。(定量値は、2.ゴールにて記載します)


5.“パート2.ゴール”では、”パート1”の目的について、どのような状態になったら達成と言えるのか、具体的かつ定量的に記載します。誰がみても、達成したか判断できるものになっているかが重要です。また、これらの目的やゴールが達成されれば、より上位レイヤーの戦略に貢献するのかという観点で、確認しましょう。


6.“パート3.戦略”、“パート4.施策”、“パート5.KPI”では、戦略、それに紐づく施策、KPIを設計します。“パート3”は戦略です。戦略とは、目的・ゴールを達成するために、リソース(予算・人員)を何にフォーカスするか?ということです。

戦略 = ビジネス目的を達成するために、リソースをどうアロケーションし、どう実装するか?

ですので、当然何にフォーカスしないか?とセットになってきます。何にフォーカスするか?について考える時に、ヒントになるのは、WHO/WHAT/HOW(4P)です。戦略策定する前に、WHO/WHAT/HOW(4P)を定義しているはずですが、それぞれどの要素における何にフォーカスするかを考えることで、フォーカスする領域定義のヒントになるはずです。詳細は以下のnoteも参考にしてみてください。


7.“パート4.施策”では、戦略に紐づく施策を設計します。当然、施策においてもフォーカスが求められます。戦略を実行するために具体的に何が実現できれたら達成できるのかを検討します。"パート5.KPI"では、その施策がうまく行ったと言える指標や目標は何なのかを定義します。この時、KPIは、遅行指標(結果として達成される指標)だけでなく、先行指標(自分たちでコントロールできる指標)を入れ、かつ5つの要件を満たしている必要があります。

KPIが満たすべき要件"SMART"とは
Specific(具体的に)
誰にとっても明確かつ解釈の余地がないこと
Measurable(測定可能な)
目標の達成度が明確に測定・判断できること
Achievable(達成可能な)
目標がチャレンジングかつ達成可能性があること
Related(戦略に関連した)
マーケティング戦略にアラインしていること
Time-bound(期限がある)
目標の期限が明確になっていること


8.1〜5について、5→1という形で各要素が上位要素に紐づいているか、下位要素が達成されたら上位要素が達成されるか、を確認しましょう。特に、KPIが達成されたらゴールが達成できると言えそうか、という部分については要注意です。特に以下のポイントには注意深く確認します。

戦略設計 よくある落とし穴
1. ビジネス背景の認識が誤っておりために目的が適切ではない
2. ゴールとKPIが結びついておらず、KPIが達成されてもゴールできない
3. 戦略や施策が多すぎて、フォーカスできない
4. 戦略が施策と効果的に紐づいていない
5. KPIに先行指標がなく、コントロールできない
6. KPIがSMARTになっていない


9.“パート6”では、バリューへの取り組みを記載します。単に戦略や施策が実現できれば良いのかと言うと、そうではありません。組織としては、各メンバーがバリューを体現した行動をとること、組織文化に貢献していくことが重要です。これから3ヶ月の取り組みとして、どのようなバリューに沿った行動をとっていきたいか、記載します。


【記載例】 営業マネージャーが、1ページ戦略設計図を書いてみた…


この戦略設計フォーマットを活用してどのような戦略を考えられるでしょうか?出来るだけ多くの方にイメージいただきたいので、あえて営業領域で例に挙げてみます。(私が専門でないので、実務との乖離があることご容赦ください!)

<事例>
ビジネス系記事メディアの営業(セールス、インサイドセールス)責任者をしている山田さんは、頭を悩ませていた。2022年は新規獲得が最重要と号令が下りる中、新しい顧客開拓が進んでいない。2Q時点で目標3,000万円受注に対し実績2,000万円と遅れが生じている。今までの顧客は、大手やベンチャーのマーケティング部門がメインだったが、この不況下の中、費用削減の影響があり、契約が決まらない。一方、1,500万円の50%は、(今まではあまりニーズのなかった)採用記事が占めており、採用コンテンツのニーズが上がってきている。今回、経営戦略会議で、コアターゲットはコンサル、スタートアップの採用人事と定めた。山田さんがこのプロジェクト責任者となり、ここからマーケティングから営業までの一気通貫した戦略を、具体的に書いていく必要がある。

戦略設計図1stドラフト

山田さんは、「採用コンテンツ」のプロジェクト責任者として、「ダイレクトリクルーティング」の市場啓蒙を行いながら、採用を強化しいており採用コンテンツの需要の大きい企業にフォーカスしてアプローチする戦略を策定しました。ターゲット企業をTier分けするのみならず、大手コンサルへのパッケージ提案の検証を行うことで、更なる大きな需要創造の検証を行っています。

いかがでしたでしょうか?今回は、戦略設計について、具体的なフォーマットも含めご紹介しました。


もし何かご質問などございましたら、ぜひMeetyにてお話できればと思います!よろしくお願いいたします。

田岡 凌

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