見出し画像

(悲報)ベンチャー企業ってどうしてロゴ付きのTシャツを着てるの?

ヒャハハハ、皆さんこんにちは。とあるベンチャー企業の代表取締役をやっている者です。上のタイトル、気になりません? 僕はずっと気になってたんですよね。

いや、だって、小っ恥ずかしいじゃないですか、自分の会社とかサービスのロゴとかつけて街を歩くのって。しかも、ベンチャー企業も最初の段階であればなおさらで、「なんだ、あの見たことも聞いたこともない名前???」ってなること、うけあい。

最初に気になり出したときは、オフィスで仲間同士で着ているのかなー。それってなんかちょっと嫌じゃね? てか、キショイ。てか、そんなこと強要する会社、ウザい。とか思ってました。

ってことで、自分の会社じゃ、なーんにもしなかったんですよ。ある日までは

ところがある日、転機が訪れたんです。

それは、いつものようにTwitterをチラチラと見ていた時のこと。誰かがネットのニュースをツイートしてたんですね。タイトルは正確には覚えていないけど、「毎日同じロゴのTシャツを着て歩いたら:きっかけは誤発注だった」みたいな感じ。

話を要約すると、ある若い女性社長の物語。間違って大量発注してしまった自分の会社のサービスのロゴ付きTシャツを、どうしようと考えた結果、「毎日自分で着ればいいじゃん」と思い、そうしてあくる日もあくる日も同じロゴのTシャツを着続けたら、周囲の人たちから次第に認知され、今じゃ有名になって事業も拡大、という話。

まあ、このお方、業界では有名な、飛ぶ鳥を落とす勢いの素晴らしい方です。

そのニュースは、とても良く書けていて、僕も「ほお、すごいなー。Tシャツを恥ずかしがらない、ってだけで自分は負けてるなー」と思ったんですよ。で、僕は、相当に単純な人間なんですね。ならば俺も負けてらんねー、いっちょTシャツ作って着てみるか、自分も勇気ださないとな、とか思っちゃった

考えてみれば、それが失敗の始まりだった。。。

まず、最近、印刷業界に革新をもたらしてるラク◯ルという企業がありますが、そこでTシャツを作れるとわかったので、よし、作るぞ、と。

そして、だが、ところが、そこでいきなりつまづいた。

まず、ウチの会社サービスのロゴはフルカラー仕様。金色のコインが反射しているようなデザインをあしらってるので、単色の印刷では表現出来ない。するとどうなるか? フルカラー印刷にすると余計にお金がかかる

しかも、背景の色に対して「ホワン」という感じで浮かび上がるような文字修飾(透明色へのグラデーションってやつです)をしてるので、白いTシャツだとものすごくインパクトが失われる。っていうか、濃い色のTシャツじゃないと、全くもってよく分からないことになる。

うああ、やっちまった。これじゃロゴを制作する時の失敗あるあるじゃないか。

まあ、僕も昔からいろいろな新規事業をいろいろな会社でやってきたので、そういうことぐらい、分かってたつもりだったのに、自分の会社ってなった瞬間、「ま、こんな感じでいっか」って作ってる。

オイオイ、自分、ダメじゃん。一番やっちゃいけないやつやん。自分、カッコわるー。てか、ロゴ、ダサくね? ヤバイって!

でも一度作って決定してしまったロゴはどんどん一人歩きして、これを別のものに変更するのなんて、アホみたいに大変。システムからチラシから広告から、全部変えるのにどんだけコストかかるんだって話になる。

で、しょーがないので、このままでロゴを作ることにして、それじゃ、Tシャツの色は何色にしようかと考える。うーん、どう考えても濃い色じゃないと合わない。でも、黒だと、なんか完全に怪しいカルト教団の雰囲気だ

こりゃ、自分じゃ決められないや。ということで、一般消費者代表としてウチの奥様に相談してみる。何色かサンプルを見せる。「うーん、黒だね。」うえぁ!? はあ? 黒? クロ? 紺じゃだめ? 「だって、いつも紺ばかり着てるじゃん。違う方がいいよ。」

チーン。はい、これはワタシの責任です。黒に決定。泣

んで、セキニンをとって、黒にして発注。黒いTシャツに金色のコインのマークが光ってるロゴなんて、もうタダの怪しい人レベル。これでお巡りさんとすれ違ったら職質されること間違いなし

しょーがないので、恥ずかしいけど、翌日から毎日、同じTシャツを来て出勤。(いちおう断っておくけど、1枚だけ発注して臭いを発しながら毎日歩いてるわけではない。ちゃんと洗濯のルーティーンを考えて数枚発注しましたよ。でもね、怖くてそれこそ「数枚」しか発注できませんでした。。。)

はい、いちおう証拠写真。まるで犯罪者だな。てか、普通にさらし者だ。

画像1

でもラク◯ルさん(っていうか印刷業者さんか?)ってスゴい。変なロゴなのに文句も言わず、きちんと仕事してくれて、箱に入って届いた納品物を見たときに、一瞬だけだけど、「あれ? これ結構イケてるんちゃう?」とか見間違うクオリティ。さすがプロ。

でもロゴのデザインが素人なので、さらに悲劇が。

だいたい、黒のTシャツにボトムって何色を合わせりゃ良いのさ。いや、まあ、普通なら「なんでも合うんじゃない」とか優しい友人なら言ってくれるところだろうけど、こちとら、金色のコインが光る黒のTシャツですぜ。

ボトムの色を変えて、カーキのパンツにしても、オフホワイトのスラックスにしても、ただの変なオッサンが怪しいロゴの黒Tを着てるだけ。

ボトムを黒のデニムにして、上下とも黒にしてシックにまとめようとしても、そういうのって若い子たちがそれに合うアッシュの髪とかしてるから、お洒落なだけで、ただの髪の黒いオッサンがそれやっても、ただのヤバイ人にしか見えない。むしろグレーヘアー(白髪)になってるくらいの方がまだマシなのではというレベル。

ハイ、よく考えたら、どんなボトムだろうがただの怪しい人でした。世間では、僕も含め、マスク姿。本気で怪しいでしょ。すれ違う人々は、僕を見ると、目を合わさないようによけて行く...

もう悲劇を通り越して喜劇ですな。

なので、もう悩むのはやめにして、好き勝手何も考えずに手に取るボトムを選択。おお、これはもう、むしろコーデに悩まずにすむ、良い話なのではないか、とか自分に言い聞かせる

でも問題はそれだけじゃなかった。

この酷暑で、黒のTシャツなんて、死ぬほど熱いんだよー!!

陽が照りつけると、ジリジリと上半身が牛角の七輪で焼かれるような熱さ。暑いんじゃないですよ。熱いんですよ。俺はいつからハラミになったんだ!?

まあ、そんなこんなで、梅雨明けしたこの日本で、僕は今日も灼熱の炎に身を焼かれながら、仕事にいそしむのですが、そんな僕をさらに悲劇が襲う

最近、幼稚園の娘が「朝はお父さんに連れてってほしい」というので、朝の登園、つまり幼稚園まで娘を連れて行くのを、このTシャツを着てやってるのです。すると、当然、娘と妻をわかってるママ友たちから、質問責めにあうという報告が妻から。

「最近、ダンナさん、いつも黒い、まちコインっていうTシャツ着てるけど、まちコインってなに?」

あー、それ、一番聞いてほしくない質問です。だって、ウチのサービスをみんなして知らないよって公言してるようなもんじゃないですか。そして、みごとにウチの奥様も「まー、なんて言うかー、地域活性化とかに興味があるらしくー」という曖昧なご返事をされておられるらしい。

ぴえん。ですよねー。はい、知ってましたー。泣

まあ、せめて、サービス名で検索とかしてくれて、「ダンナさん、スゴい良い仕事してるんだね」くらいの反応があれば良いのですが、ハイ、無理ですよね、ハイ、わかってます、ハイ、ごめんなさい。泣

ハイ、ということで結論。

こういうことは、会社で実績作って、有名になってからやらないとアカンな。でないと、ただの恥ずい人になります。

じゃあ、冒頭に出てきた、若い女性社長の会社は? って話もあると思うんだけど、若くて元気でイケてる女性がやってる会社って、それだけで映えるじゃないですか。今じゃ、テレビ出演しまくってらっしゃる。何が違うか?

そう、そもそも被写体が違った。

それ、最初に気づこうよ。

でもこうなったら、意地でもスゴい会社にしてやろうじゃないの! どん底がら這い上がってやるぜ! こっちだって信念があってやってるんじゃあ!

...でもねえ、もとはと言えば、その女性社長さんの記事のせいなんですよねえ。あの記事書いた、記者さん、ちょっと責任とってもらえません?

あと、僕とすれ違う、見知らぬ方々、僕を見かけても静かに見守ってあげてください。

これでこの話はおしまい。ではまた! 明日も良い1日でありますように!

(Top Image Photo by DISRUPTIVO on Unsplash)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?