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TEDx でスピーチをして分かった、TEDが凄い3つの理由

みなさん、TEDって知ってますか? 同じ事を知人に聞いたら「あのクマの映画?」とか、「テッド?ギフテッドとか?」とか、僕から見たら、「あ、そっち?!」みたいなことになったので、あまり認知度がないことは認識してますが、特に英語圏の国では、いや、恐らく世界的にTEDという世界がスゴいことになっているんです。日本でも知ってる人は知ってて、「え?あのTEDに出たの?すごーい!」(※厳密にはTEDとTEDxは違います。内容は後述。)と言ってくれるくらい、スゴい世界なんです。

例えば、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ、元アメリカ副大統領アル・ゴアなど政財界の著名人だけでなく、世界的な俳優、モデル、タレント、研究者、各業界の専門家など多くの人がそこでスピーチをしています。スピーチは基本的に英語で、日本でも著名な伊藤穰一さんがTEDxで話をされています。TEDのコンセプトは「Ideas worth spreading (広げる価値のあるアイデア)」。だから、そこで著名人たちが発するメッセージも、それだけで非常に勉強になる内容だったり、考えさせられたり、心を揺さぶられたり(実際にあるスピーチを見て僕は泣いたことがある)、感動させられたりする、すごく濃密な価値ある時間なんです。

通常、ホールなどでリアルに観客が入りTEDがイベントとしてスピーチが行われ、しばらくするとYouTubeの公式チャンネル「TED(x) Talks」にその動画がアップされ、誰でもその価値ある時間を共有することができます。今、ちょっと調べてみたらビル・ゲイツの8年前のスピーチ再生数は3700万回以上。世界中の人が見ることができる、生きた学習教材のようなものなんです。英語が分からない人でも、YouTubeの翻訳機能があるので、日本語訳を見ながら何かを得ることができます。

テーマは人それぞれ。充実した生き方のヒントをくれる人もいれば、環境問題を語る人もいるし、教育について語る人もいれば、経済について語る人もいます。経営者の人にとって示唆に富んだ内容もあれば、政治家の人達に見てもらいたいような内容もあります。日本ではスピーチってあまり馴染みがないですが、その道の著名人が自分の口で語る情熱や熱意は、スゴいです。圧倒されます。時には感動や共感で泣かされることもあります。スピーチ中に会場の観客と瞑想してたのもあったな…

この世界的なスピーチの場、TED(x)には、ビル・ゲイツクラスの人がスピーチするTED「本家」と、各地域で触発され、自分の地域でTEDのライセンスを受けて開催するTEDx(言わば分家)があります。例えばTEDxTokyoとか、TEDxSapporoみたいな感じに。そしてたまたまのご縁で僕の考えに共感して頂いたTEDxOgikuboのオーガナイザーの方々のご支援によって、何と僕が、東京都杉並区の杉並公会堂で英語でのスピーチを3月に行いました! その時の様子はこちら(TEDx公式チャンネルより):

個人的な感想は、「これほど緊張した15分間は人生で初めてorz」「色々とセリフが飛んだorz」「自分、思ってたより太ってることに気づいたorz」とかいう、しょうもないことなんですが、不思議と会場やYouTubeで僕のスピーチを見てくれた人からネガティブな意見は出なかったんです。

で、気づいちゃったんです。TEDがスゴい秘密に。

この時のスピーカーは11人。僕は10番目でしたが、何と、タイムスケジュールがほとんど狂わない。つまり、トラブルや喋りすぎが起こらない。実は、個々人のスピーチの時間が事前のリハーサルの時に測定されていて、ほぼその通りに進行できるようにスタッフの方々がテキパキと動いている。そう、TEDの凄さの1つ目は、TED Talkという世界的イベントでミスれないというプレッシャーの中、必死に働いているスタッフの皆さんの頑張りによるものだったんです。

そして、上の動画を見て頂いても分かりますが、舞台が暗めの設定ですよね。そしてスピーカーの位置も決まっていて、スポットライトの範囲も決まっている。つまり、共通の舞台と雰囲気がどのTEDでも出るようになっている。あたかも、それが衣服のブランドであるかのように、決まった舞台とライティングで構成されていることで、TEDブランドを作っているんです。これが2つ目の凄さ。

そして喋っている内容(原稿)、アクション、服装に至るまで、事前にTEDのオーガナイザーによるチェックが行われ、商業的な広報部分がないか、倫理的な問題はないか、思想として偏った内容になっていないか、など様々な角度からのチェックが行われます。もちろん、伝えたいメッセージが明確であるか、それが価値のある内容か、というチェックが行われるのは大前提です。さらに、公式YouTubeチャンネルにアップされるまでにさらに厳密なチェックが行われます。この、非営利目的の「Ideas worth spreading (広げる価値のあるアイデア)」コンセプトの徹底的追求、これが3つ目の凄さなんです。

こうして見ると、TEDというブランドは偶然出来たものではなくて、そのブランドを一所懸命に守り、時代に沿って対応していくという長い期間をかけて作ってきた、プランナーであり、主催者であり、そして各スピーカーという、人の力の集合と蓄積によってできたということがすごく分かりました。

後になって主催者の人から聞いた話なんですが、「**万円でTEDに出演できますよ」と偽ってお金を騙し取ろうとする悪い輩もいるそうです。もしそんな話が来たら、決して騙されないでください。TEDもTEDxも、ブランドが毀損することを絶対にしないという決意とプライドがあります。だからこそ、スピーカーが出演料をもらうこともないし、スピーカーになるために出演料を払うことも決してありません。そして、その話された内容は等しく世界中の人々に届けられるわけです。

え? じゃあなんで僕なんかがそのTEDx Talkに出演できたのかって? それは僕にとっても謎です(笑)。ただ、自分の良さや凄さって自分では分からないものですよね。たまたまオーガナイザーの方と知り合いになり、僕の話をしたら、「出てほしい!」ってお願いされたんです。その意味では偶然に過ぎません。皆、一人ひとり、素晴らしい能力やアイデア、意見を持っていることは僕も良く知っていますから。

このスピーチ以来、僕自身に少し変化があったような気がします。なんというか、みんなに対する感謝の気持ちを持つようになったというか。たくさんの人の努力のおかげで自分が世界に対してプレゼンできる、なんて機会は人生であるかないかです。この偶然とTEDのコンセプトを脈々と守り続け、裏方としてイベントを主催したりボランティア参加した人々に心から感謝したいし、観衆としてスピーチを聞いていただいた人にも本当に感謝しかないです。

ではまた! もうすぐ2024年ですね。2024年も皆さんにとって良い年でありますように!


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