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冬が訪れるたびに、「大人」になった気分になる

小さい頃からずっと冬が好きだ。その気持ちは年々更新されていて、今が絶頂期である。春と秋も好きだけど、やっぱり冬には敵わない。

夏生まれの僕は、きっと夏が好きになると思っていた。でも、小学生の頃は夏が1番好きだった。理由は単純明快。夏休みがあるからだ。長期期間の中で、虫取りをしたり、花火をしたり、海で泳いだりもした。夏の思い出は今も色褪せないし、できることならあの頃に戻りたいとも思う。

でも、なぜか自分が生まれた季節が1番苦手になった。小学生の頃のように、仕事のことを考えずに遊ぶこともできていない。虫取りもしないし、海も滅多に行かない。花火はたまにやるけど、花火大会にはほとんど行かなくなった。そして何よりも夏は暑い。暑さにはとても敵わない。夏はできるだけクーラーの効いた部屋で涼んでいたいと思っている。そして、服を脱ぐのにも限界があるし、暑さを耐えるための術が少ない。

その点、冬は服を重ね着してしまえば、寒さの対策を打ててしまうからいい。重ね着でおしゃれをしてしまえるし、マフラーやスヌードもおしゃれへと変貌を遂げる。夏はTシャツとズボンとシンプルな服装になりがちだし、おしゃれというよりは、暑くないかが肝心となりがちだ。

夏は子どもの気持ちを思い出させてくれるけど、冬は大人になる試練をたくさん与えてくる。「きらめき」が夏だとしたら、冬は「耐える」という言葉がしっくりくる。夏と比べると冬は日照時間が圧倒的に少ない。乗り越えるべき夜の時間が長くなるし、凍てつくような寒さにもじっと耐えなければならない。

28歳になった今も冬が1番好きな理由は、なんだか大人になった気分になれるからだ。大人になれば耐えるシーンが増える。経験が増えるたびに痛みも増えるし、出会いと別れも増えてしまう。耐えるのが大人だとは思わないし、耐えられないなら耐える必要もない。でも、耐えなければならないときにぐっと耐える必要はあると思う。

たとえば仕事が辛いけど、乗り越えたら大きな成長に繋がるとか、好きな人に会えないけど、1週間後に会えるとかそういった耐えるは、自分のためになる。

そして、冬は寒さの代わりに空は綺麗になるし、月も綺麗に見える。空気も夏よりは綺麗な気がするから、深呼吸のしがいもある。雪が降れば、雪だるまを作って遊べるし、雪合戦だってできる。あったかい缶コーヒーが、異様に美味しく感じるのも冬ならではの話。夏に食べるアイスよりも冬に食べるアイスの方が美味しく感じてしまうのもなんだか不思議だ。冬に食べるおでんは美味しいし、粕汁だって飲めるし、お魚が美味しくなるのも冬の醍醐味だ。

恋人がいれば、吐息で手をあっためてあげられるよね。それに加えて「寒い」という理由で、君の冷えた左手を僕の右ポケットにお招きする理由になる。恋人を抱き寄せる理由にもなるし、イルミネーションを一緒に見に行く理由を簡単に見つけることができる。

冬はいろんなものを、綺麗にしてしまう魔法をかけてくれるのだ。それは春の憂いも夏のきらめきも、秋の彩りも冬の美しさには到底敵わない。冬が来るたびに物事の美しさを真摯に受け止められる自分と出会えるし、寒さや夜の長さに耐えることで、大人になった気分になる。

冬が1番好きだ。これからも冬の魅力に魅了され続ける自分でいたいし、冬が訪れるたびに大人の階段登る感覚を味わっていたい。

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