見出し画像

男女の友情は成立する

今日は春夏秋冬ぜんぶ詰まったような気候だ。街には半袖を着た人もいれば、コートを着た人もいる。今日は半袖でも十分いける気温。コートを着た人は天気予報をきちんと確認しなかったのだろうか。答えを知る由もないし、興味すらない。季節に合わない服装をした人たち。半袖を着た人は夜のことを考えず、コートを着た人は夜のことを考えているのかもしれないね。きっと前者は今が楽しければいいタイプで、後者は後先を考えて行動するタイプだ。

女友達と公園のベンチに腰掛けて、意味のない話を延々と繰り広げる。好きな人のタイプや今はまっている趣味の話。お互いに共通点があまりない僕らは会話があまり続かない。それでもこうして時間を過ごすのは、居心地が良いからだ。自販機で買ったコーヒーを片手に、他愛のない話を繰り広げているうちに、あたりは暗くなっていた。公園でボール遊びをしていた子どもたちはすっかりいなくなり、公園の中は僕ら2人だけの世界を映し出している。

2人きりになったからといって、何かが変わるわけではない。僕らはただのお友達で、それ以上でも以下でもない。前に進むにはお互いに魅力がなさすぎて、お別れをするには、大きな理由がなさすぎる。お互いに変化を求めていないのだからこのままの方がきっと良い。今回もいつも通り記憶に残るような衝撃の大きい話はなにもしていない。途切れそうな話を2人で、なんとか繋ぎとめようとしていた。もともと会話の続かない2人だから、話題作りに躍起になっていたのかもしれない。でも、話題提供をお互いにしようと頭を捻るさまは、人間らしくて愛を感じてしまう。

すっかり暗くなった空。本格的な夜がまもなく始まる。移りゆく空に、「時間は止まらないよ」と言われているようだった。時計を破壊しても、時間はテンポを変えることなく、進み続ける。家に帰り、明かりをつけたとしても、時間は戻らないし、止めることもできない。赤く塗られたマニキュア。赤く塗られた口紅。どうやら赤い色は女性をセクシーに見せる色らしい。でも僕はきみの赤を見ても、きみに唆られることはなかった。

「今日も楽しかったよ。またね。」

いつも通り笑顔で手を振りながら、「またね」の言葉とともに、きみは夜道へと消え去ってしまう。きちんと家に帰れたかどうかの連絡なんて僕らには必要ない。お互いに友達としてしか見れない関係性。「男女の友情は成立するか?」と問われれば、僕は2人の関係性について話をするだろう。男女の友情は、どちらかの我慢があって成立するとよく言われるが、僕らには男女の友情についての質問は愚問だ。前にも後ろにも進まない関係性があっても良いじゃないか。それ以上に一体なにを求める。僕ら2人には友達という関係性がちょうど良いのだ。いつも通りコンビニに寄って、缶ビールと酒の肴を購入する。そして、ひとり帰路につく21時をお知らせします。

ありがとうございます٩( 'ω' )و活動資金に充てさせて頂きます!あなたに良いことがありますように!