大人になって叱られた話
つい先日地元の友人とお酒を飲む機会があった。
中学からの付き合いなので、もう16年ぐらいの付き合いになるのかな。こんな自分とずっと仲良くしてくれているから本当にありがたい。
いつもクソみたいな話をして盛り上がるから今日もクソみたいな話をするんだろうなと楽しみにしていた。
ところが、友人が開口一番に「お前ほんまにしばくぞ」と僕を怒鳴りつけてきたのである。
いきなり怒鳴りつけられた僕は動揺を隠せずにいた。
友人は続けて「なんでお前難病なんかになってん!体大事にせぇへんからやぞ!お前が倒れたって知った時、俺らがどんな気持ちやったかわかるか!周りのこと考えてないお前にはなんもわからんかったやろ!」と言った。
そこで僕は難病で倒れた当時のことで叱られていると気づく。
そして、友人の言葉にハッとする自分もいて、僕は自分の体が自分1人のものではないことにも気づいた。確かに1年前の今頃は不眠不休で働き続けていた。自分の体の悲鳴を無視し、目の前の仕事を片付けることにただ必死だった。
そんな生活をずっと続けていたから、湿疹は出るわ、過労で倒れるわ、挙句の果てには難病になるわで本当に大変だった。あんな辛い思いは二度としたくない。
「良いか?お前が倒れてもお前の体にはお前にしか影響がないかもしれん。でもな俺らの飲み仲間であるお前がいなくなるかもしれんと思うとこっちは心配で夜も寝られへんかってんぞ。だからな心配してくれる人がいることをちゃんと理解せぇよ」
本当に申し訳ないことをしたと思った。
「でも今お前と飲みに行けるってことは難病がましになったってことやろ?お前の真面目な性格は良いところやけど、加減を知らんとあかん。何事もほどほどにや。仕事のために生きてるわけちゃうやろ?俺らと酒飲むために頑張るなら許すけど、お前のはどう考えても無茶でしかないぞ」
友人の本気の言葉に涙が溢れる。どうして当たり前のことに気づけなかったんだろうか。
僕は難病になっていろんな人に迷惑や心配を掛けた。だから今は働く時間をセーブして、睡眠も食事もきちんと取ることを心掛けている。そのおかげか体調不良にもなってないし、前よりも仕事で結果を出すことができている。
「お前はこれからも俺らと爺さんになるまで飲みに行かないとあかんねやから体には気をつけろよ。次倒れたって聞いたらほんまにしばき回すからな」と半分本気で笑いながらそう言った。
半年以上の時がたった今だからこそ、僕に伝わると思って、叱ってくれたんだろう。
大人になって自分のことを叱ってくれる人がいるのは貴重なこと。難病期間中も友人とは会ったんだけど、その時は叱るのではなく、僕に寄り添ってくれた。
ちなみに僕が友人に叱られたのは今回が初だ。普段はおちゃらけてしかない友人だったから友人の言葉は僕にとても力強く響いた。
友人はSNSをやっていなし、どうせ見てないだろうからあえてここで言わせておくれよ。
未熟な自分を叱ってありがとう。またいつでも飲みに行こうぜ。
そして、これからもよろしくね。
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