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他人事

「いなくなっちゃった」と他人事の私は、大切な人を失っても、いつも涙を流せない。なくなった実感がないのかもしれない。そして、虚無感は1人の夜を過ごしているあの瞬間に、突然やってくるのだ。2人のお別れが他人事であればいいと願う夜。もし他人事だったら私は涙を流すことなく、日常生活に溶け込むことができるのに。

「大切な人の大切さは一緒にいるときはわからない」と、世間はよく言っている。この言葉が事実だと、頭では理解しているものの、考えていることとは真逆の行動を起こしてしまうのが心の厄介なところだ。

世間のありがたい声に耳を貸さず、大切な人を無碍にした結果が、失うに繋がった。いままで何度後悔したことだろうか。後悔の数を数えると途端にじぶんのことが嫌いになってしまう。殺した思いを殺さずにいられればいいのに。そして、また君がなにもなかったかのように、戻って来ればいいのに。

とはいえ、どんな問題もどちらか片方が一方的に悪いというわけではない。問題が起きるときは、いつだって両者に原因があるものだ。あれ?他責にしているからうまくいかないのかな。でも、じぶんでじぶんを庇ってあげなきゃじぶんの心が死んでしまうでしょ?どこにも味方なんていないんだし、じぶんのことはじぶんで守るしかないの。

とはいえ、同じ過ちを繰り返している私はじぶんの悪いところを見直して、次に繋げなければいけない。過ちを反省して、改善点を洗い出し、次に繋げるが学習のセオリーだ。

じぶんの過ちを学習したはずが、あいも変わらず同じ過ちを繰り返し続けている。じぶんをかばい続けた結果がこのざまだ。要はじぶんが可愛くて仕方ないんだろう。他人事にすることで、じぶんの心をかばい続けるこのさまは、実に滑稽である。

じぶんの感情を他人事にし続けた結果、大切な人を失った。少し前に進めたかと思えば、ずっと後ろに進んでいる。前向きに進めれば、私は少しは成長したと言えるのかな。

君が私と別れた後の物語が、良いものではないことを期待しているじぶんがいる。そして、その物語は直接君から聞くのではなく、他人から聞きたい。君が不幸になっていれば、あなたの選択が間違っていたと証明することができるはず。

私は明日、この街を後にする。そうすればもう君との思い出を思い出すこともないし、きっともう会うことはないでしょう。それにもし再会したとしても、どんな顔をすればいいかわからないもの。2人の関係が修復しないのであれば、もう2度と会わなくて良いし、会わないほうがいい。

それはあなたも同じ気持ちでしょう?ばったり街で遭遇しても、気まずくなるだけならもう会わないほうがいいはず。私はあなたの「綺麗になった」とか「可愛くなった」とかを求めていないし、私の「かっこよくなった」をあなたも求めていないでしょう。

褒め言葉をもらったとしても、関係が元に戻るわけでもないし、「2度と会わない」が2人にとっての最適解だと思うの。花は咲いたら散る。私とあなたの関係は1度咲いて、そして、枯れた。枯れた花はもう咲かないし、忘れ去られるだけ。

君が笑ったときのくしゃっとなる目が好きだった。2人の関係は終わったけれど、私はちゃんとあなたを好きだったし、これから先もずっと好きのままだよ。


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