一生忘れられない、特別な夏
蝉の鳴き声を聞いて、本格的な夏の狼煙が上がったことに気づく。今年は例年よりも梅雨明けが遅かったため、蝉の鳴き声が聞こえてくるのも遅かったような気がする。
毎朝蝉の鳴き声に起こされるのは意外と嫌いじゃない。オスは新たな生を残すため、恥ずかしげもなく鳴き続ける。『草食系男子が増えた』と、言われているこの頃。彼らの勇ましい姿を、僕たちオスも、見習わなくてはならないのかもね。
落ちるのが遅くなった太陽に、輝く時間が短くなってしまったお月様。夏は夜の涼しさ以外は、どこにいても暑いため、なるべく外に出ないようにしたいってのが本音。
『夏なんて今すぐ終われば良いのに』と願う毎日。花火大会も海もない夏なんて、楽しみがまるでない。いまや、町のどこを見てもマスクの人がいる。『ソーシャルディスタンスを守りましょう』だなんて広告が、僕を今日も苛つかせる。
早くマスクのない世界線に移動したいと願えば願うほど、どんどん増えていく感染者。もうどこにも逃げ場はなく、自分が掛かってしまう可能性だって十分にある。
夏、高校球児と甲子園。夏と言えば、お家で甲子園を観るのが好きだった。他のスポーツも観るのは好きだけど、いつも放送されているのが野球ばかりなので、少しだけ寂しいような気もしていた。
甲子園を見るたびに、負けたチームの悔し涙についもらい泣きをしてしまう。朝から晩まで、真剣に泥臭い練習と向き合ってきた集大成。この夏のために3年間泥臭い練習に耐えたその事実がなにより尊い。
高校球児たちの勇姿を、観る機会を奪ってしまったこの夏。そして、高校球児だけでなく、頑張る人たちの集大成を奪ったこの状況がすごくもどかしい。だからと言ってなにかができるわけでもないから歯痒いよなって。
当事者以外にとっては、ただの1年なのかもしれない。でも彼らにとっては特別な1年で、もしかしたら一生忘れられない1年になる可能性だってあった。そんな素晴らしい機会が奪われてしまった彼らに、ただの1年を過ごす僕らがなんと声を掛けられるのだろうか。
言葉のすべてが空虚で、彼らの痛みは結局当事者にしかわからない。だから、なにか気の利いた言葉を投げ掛ける権利は今の僕にはない。
今年は、みんなにとって特別な夏。一生忘れられない夏になるのは、きっと間違いないんだろうね。そして、これほど早く終わってほしいと願った夏は、これまでに一度もなかった。
とはいえ夏はすぐには終わらないため、どうやって楽しむかを考えなくてはならない。
どんな人とどのように過ごすかは結局、その人次第。この状況下でも笑ってられる時間を増やせるようみんなで、試行錯誤していたいね。
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