拙い言葉でかまわないから

今から少し話をしよう。

伝えたい言葉をちゃんと伝えられるかどうかわからないけど、拙いながらもちゃんと自分の言葉で話をするからどうか聞いておくれよ。

自分の伝えたい言葉を文章化することができない。

こうなってしまうと手が止まって埒があかない。伝えたいものを言語化する行為は思ったよりも難しくて、「あーでもない、こーでもない」としている間に、時間だけが残酷に過ぎていく。

人は思ったよりも自分の見え方を気にしてしまう生き物。だから出来るだけ綺麗な言い回しを探してしまうんだけど、なかなか綺麗な言い回しが見つからなくて、途方に暮れてしまう。

答えのない問いに対して、際限なく時間を費やす。でも時間は有限だからタイムアップの笛が鳴った時に、言葉を探すこと自体をやめてしまうのだ。

綺麗な言い回しが、見つかった時は万々歳。でもどれだけ時間を費やしたとしても、自分の言葉が誰にも刺さらない場合だってある。だから相手に伝わる言い回しを見つけようと躍起になるんだけど、これが思ったよりもなかなか難しい。

そして、綺麗な言い回しが見つからなかった場合は、土俵に立つ前に自分自身の力不足を痛快し、嫌気が差してしまってゲームオーバー。

その結果、文章を書けなくなってしまう人もいるし、書く行為自体をやめてしまう人もいる。そんな人を見るたびに、「せっかく文章を好きになろうとしているのに、なんだかもったいないな」と思ってしまうし、切なくなってしまう。

だから拙くても良いから自分の思いを文章にしてほしいなって思うんだよ。拙い文章でもそれが今の自分のぜんぶだし、拙い文章だったとしても、その文章が誰かに伝わる場合もある。

語彙力はどれだけ経験を積んだかによって大きく変わっていく。もし拙い文章しか出てこないのなら、経験が少ないと判断すれば良い。そして経験値を積んでいけば、語彙力は自ずと増えていく。

拙い文章でかまわないから、今の自分の思いを自分の言葉で伝えよう。

それが今の現在地だから、ちゃんと受け入れて少しずつ前に進もう。