見出し画像

「あの頃」がずっと続いてた。岩井俊二監督『チィファの手紙』をみて。


映画版『君に届け』を最近みてからふと思い出したのが、『四月物語』。


どちらもふとみたくなる映画。

BGMのように流しっぱなしにしたくなる。



岩井俊二監督の作品、昔よくみてたなと検索してみると、リリィシュシュの後もたくさんの作品が世に出てました。

今回はプライムビデオでこちらをみることに。


『チィファの手紙』。2020年製作。岩井監督初の中国映画。

姉のチィナンが亡くなり、そのことを伝えるために姉の同窓会に出席した妹チィファだったが、姉と間違えられてしまった。
彼女はそこで少女時代に憧れていたイン・チャンと再会し、ひょんな成り行きから姉のふりをしたままチャンと文通を始めることになる。

wikiより


中国上海(と周辺都市)のおはなし。


まずは岩井監督。

僕がよく作品をみていた頃から約20年経っているけど、岩井監督は変わらず初恋や思春期の情景を映像にしていた。

乳白色の光とか、キラキラひかる感じだとか。

舞台が中国でも、そして2020年になっても、どこかノスタルジックでみる人の思い出に引っかかる映像。

2000年前後みたあの時の映像だ。


登場人物の小説家の男性は長髪眼鏡で、まるで岩井俊二氏のよう。

そして彼は初恋の女性をいまだ求めており、彼女についての小説しかかけない。

20年以上「初恋」をテーマにした作品を作り続けている監督自身みたい。



ヒロインのジョウ・シュン。


どこか見覚えがあるって思ったら、ロウイエ監督の『ふたりの人魚』のヒロインの方でした。


ふたりの人魚をみた時の感想。


僕がみたロウイエ監督のほか2作品


どちらもほとばしるような性衝動が描かれていて、激しい。

岡本太郎氏のような根源的で爆発的なパワーのある作品。



一方で、ふたりの人魚は90年代の中国蘇州河をハンディカムで撮影した作品。


ハンディカム越しの映像は90年代っぽくて、でも街並みは日本の感覚だともっと昔の風景で、ノスタルジックな雰囲気。

どこか岩井俊二監督の映像と共通点があるようにもみえる。



『チィファの手紙』、じつはまだ観終わってない。

残り30分ほど。

観終わる前にブワッといろんな思いやらふたりの人魚のことやら思い出したので書き出してしまった。

しばらく岩井俊二監督の作品をみてみようと思う。



追記、観終えました。

全体的に上質な作品でした。

映像も音楽も余白がたっぷりあるのがいい。

初恋の人の死からはじまるストーリーだけど、ラストはそれぞれが一歩を踏み出していく。死から再生へ。

中国語って、ふだんSNSではみられない、優しい音の響きがあるんですね。


うちの子ノエルにちゅ〜るをあげます。