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夢百夜(13)赤いグラウンド 水色のランニング

(けさみたとれたての夢。けさは眠りが浅くて夢が二篇。2分でよめます)

赤いグラウンド


僕がいるところは大きな平屋の縁側みたいなところ。

そしてガラスのむこうが校舎のグラウンド。

夕ぐれどきみたいに赤っぽくみえる。

でもいまはあさ。

これから学校に行くところ。

ぼくはずっとひとりの女の子を待っている。

その女の子がきたらあいさつしようと待ってる。

ちょっとからかってやろう、なんてことも思いながら。

ガラスのむこうのグラウンドはかわらず赤っぽい。

音もなく、風も吹いてなく、景色はぴたっと止まったまま。

ぼくもその女の子がはやくこないかな、ガラスの手前の縁側でぐるぐる回ったりしてる。

はやくこないかな。口に出してみるけど、ぼくには自分の言葉がきこえない。

待っても待っても女の子はやってこない。

女の子だけじゃなく、誰もやってこない。

でもぼくは遠足のまえみたいにこころを踊らせながら、

縁側でぶらぶらしながら、ずっと女の子を待っている。


水色のランニング


彼女といっしょにランニングしている。

あさの街。

空気がまだきれいでひんやりしておいしく感じる。

ハッハッハッと彼女と呼吸をあわせて走る。

そのリズムも無理なくでもテンポよく心地いい。

「やっぱり山手線内じゃなきゃね」

笑いながら彼女はいう。


ぼくたちはいっしょに暮らす物件を探している。

やっぱり山手線内かな、とぼくはこたえる。

朝の街はすこし水色っぽくみえる。

すこしモヤがかっていて水彩画で書いたように淡い色にみえる。

「わたしは山手線内じゃなきゃだめ。

だって、こうやって山手線内一周のランニングに便利じゃない」

いま、どうやら山手線内を走ってるようだ。

そしてランニングで一周しようとしている。

たしかに。ぼくは彼女にみじかくこたえる。


それからふたりはしばらくだまって走りつづける。

景色は外国の風景みたいで、建物も鉄塔も公園もきれい。

どの景色も水色っぽい色をしていた。そこにいる人たちも。

気づいたら走っているぼくたちもまた全身水色っぽい色をしている。

自転車に乗っているときくらいのスピードで走りつづけているのに、呼吸はまったく苦しくない。

からだで走る、というよりはこのくらいのスピードですすむ、と思い浮かべるだけで走ってる気分。

走りながらしゃべっても、全然くるしくはない。

でもそれからぼくたちはときどきアイコンタクトをとっては笑いながら、走りつづける。

ひとこともしゃべらず、まるで外国のような街を走りぬけていく。

うちの子ノエルにちゅ〜るをあげます。