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自分しか知らない自分、自分以外しか知らない自分

よく、自分のことなのに他者の方がよく知っているということがあります。性格や価値観、癖など、自分自身では気づけないことも多いですよね。もちろん、他者の目に自分がどう映っているか、そればかり気にすると自分を見失ってしまいますが、やはり教えてくれることは多いと思います。

一方で、自分しか知らない自分もあります。個人的な経験上、この国では、他者からの評価に注目するあまり、自己評価を著しくないがしろにする傾向があるように感じています。同調圧力に屈しているとも言えるかもしれません。それほど、学生・社会人問わず、自分の心の声に鈍感な人は多い。そして得てして、鈍感すぎるとあまり幸せそうではありません。

今日はその「自分しか知らない自分」について。大切な誰か、あるいは自分自身のの成長と変化を望むすべての人に向けて書きます。


心の声を聴く

昨日、新しく1on1 collegeに参加することになった学生との1on1が立て続けにありました。年齢や育った環境・地域も異なる学生たちですが、それぞれに共通していることがありました。それは、自分の心の声に、耳を傾けていなかったことです。原因は違えど、みな一様に自身の心を尊重していませんでした。

ちなみに、心の声は、ほとんどのケースで存在します。1on1 collegeでは、よく「やりたいことが見つからない」という動機で参加する学生と出会いますが、大抵既にあります。命をかけたくなるほどのものをいきなり探しているので、それはやってみないと命をかけたくなるかどうかもわからないんじゃないかと、まずはやってみることを促すことが多いです。


例えばAさんは、コロナによって外出やオフラインでのコミュニケーションのほとんどすべてを自ら制限していました。寮に住んでいて、家族など同居人もいない環境です。周囲には(ほどほどに)外出したり、おしゃべりしたりしている友人もいるようですが、寮で感染者を出してしまったら大勢に迷惑をかけてしまうと思い、強めに自粛していました。

この環境下で、責任ある行動をしようとするAさんの姿勢は立派です。しかし、持続可能性が全くない状況で、日に日にストレスに蝕まれていくような状況にも関わらず、Aさんはそれに気づいていませんでした。そこで、質問を通して、持続可能性がないことには気づいてもらい、加えて今やりたいことを列挙してもらったところ、ちょっと気をつければ今すぐにできることばかりだったんですね。それこそ「人ともっとオフラインで話したい」と挙がりましたが、それも要は三密を回避すれば、感染リスクを抑えて実現できるわけですよね。端から見ると、そんなことで、と思うかもしれませんが、本人がそれくらい冷静じゃなくなり、視野が狭くなることはよくあることです。


Bさんは、新たにやってみたいことがあり、前から思っているものの、それなりにまとまった時間が必要なこともあり、忙しさを理由に、やりはじめることを自ら遠ざけていました。そこで、忙しくさせていることを聴くと、それらはどれもBさんにとって大切なことではなく、しかもやらなくてもいいことだったんですね。

そのことに気づいたBさんは、早速行動することにしました。今抱えている活動を最短で終わらせ、落ち着き始めるときから、新たな挑戦を始めると言っていました。加えて、当初は「どう始めていいかわからない」と話していたのですが、よくよく聴いてみると、身近にその熟練者がいることがわかり、相談できることもわかりました。さらに、その新しい挑戦が、今自分を忙しくさせているそこまで大切じゃないことに活用できるかもしれない可能性があることに気づきました。いい紐付けかもしれません。次の1on1が楽しみです。

ちなみにこの、大切じゃないことに時間を使っているパタンはよくあります。始めてしまったから、去年もやっていたから、友達もやっているから、今もやっている。高校生・大学生という有限で貴重な時期に、他のもっと大切にしたいことがあるにも関わらず、あまり大切じゃないことに時間を割いている。1on1を通じて、これに気づく学生は多いです。
結果論ですが、1on1を通じて部活や団体を辞めたり、新しく入ったりする学生は多いです。もちろんこちらから促すことはしませんが、対話を通じて自分の心の声に気づき、時に勇気を持って、決断する姿をよく見させてもらっています。


もう1人、Cさんは、コロナによって学校がオンライン化し、活動も制限され、時間を持て余していました。段々とその状況への不満が募り、有意義に使わねばと思い、1on1 collegeに参加してくれました。

しかしよくよく聴いてみると、もう既にやってみたいことがかなり明確にあるんです。ただ、持て余す時間の使い方として、やってみたいことを実践できていなかった。なんとなく過ぎていく日々を前にしながら、自分の心の声を聴けなかったんですね。でももう気づけたので、コロナのおかげで生まれた時間を有効に活用し始めるんだと思います。


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自分にとって何が大切か。1on1している学生たちも、かつて採用のための面接で出会った方々も、その答えは僕の中にありません。彼ら/彼女らの中にしかありません。冷静に文章にするとあたりまえなんですが、この自分の中にしかない心の声こそ、悩みを解決する大きな一助になります。

だからもっと声を聴いてほしい。自分で聴きづらいのであれば、誰かを使って確かめてほしい。


この仕事をしていて、過去最高に共感し、似てることやっているなと感じたのは、片づけコンサルタントとしてアメリカを中心に人気を博している「こんまり」こと近藤麻理恵さんでした。いっぱい捨てさせるんですよね、こんまりさん。部活辞めさせたりしてる僕も、同じだと思います。彼女風に言えば、ときめくものだけ残す。そうじゃないものは、例え高価なものであっても、感謝を伝えて捨てる。ぼーっとVOGUEの動画を観ていて出会い、あまりに自分のやっていることと似ていたのでびっくりしました。

話を聴く人は、ぜひこんまりさんの「ときめき片づけ術」も参考にしてみてください。


今日もありがとうございました。

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