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旅・記録・創作-自己更新としての旅行-

私は20代前半の頃から旅行をするのが好きだ。
グループ旅行や家族旅行だけでなく、国内外問わず一人旅もする。

また旅行をするだけでなく、旅先の風景を写真に撮って記録している。最近は、旅先の体験をできるだけ文章にまとめるとともに、動画としても残すようにしている。


ふと考えることがある。私はなぜ旅をするのだろうか。また自分は旅から何かを得ているのか、あるいは旅先での体験は自分に何をもたらしてくれているのか、と。


自己更新としての旅行

もともと旅行をしていたのは、憧れの場所に行きたかったり、好奇心から知らない土地を感じたりしたいといった理由からだ。

ただ改めて考えてみると、それだけではないように思う。

私が旅行するのは、旅先で日々の暮らしから離れることで、日常を振り返り、見直すきっかけになるからだ。また旅を通じて、新しい体験や思考を得ることが、自分自身を更新することになり、より自分が豊かになるきっかけになるからではないだろうか。


日常から離れて自分を見直す

旅に出るとはどういうことか。それは普段の生活から離れて、違う場所・リズムで過ごすということだと思う。
住み慣れていない場所や環境に移動したり、また普段はしないようなことをするからだ。

そういった体験は、日常の自分を相対化してくれ、旅先で出会った何かが自分の琴線にふれることで、自分の暮らしに不足しがちだったものや、自分が本当に好きなものに気づかせてくれる。
また転地療養という治療方法があるように、移動すること自体が気分をスッキリさせてくれることもある。

日常では毎日の生活に追われていたり、惰性で時間を過ごしてしまいがちだ。
また日常の延長線にあるようなものしか関心が向かないことが多い。
しかし、日々の暮らしから離れる旅先だからこそ、日常を振り返り、見直すきっかけになる。

また、旅をしていると自分で時間をコントロールしている感覚をより感じられる。
旅先でのスケジュールをそのときの関心に合わせて自分で立てる、実際に足を運んで、やりたいこと見たいことをする。またその場その場で自分の直観に従いながら、行動する。アクシデントといったコントロールできないことすらも楽しみながら乗りこなせるようになる。その結果がいろいろな体験となって自分に返ってくる。
コントロールできないと感じることが多い毎日だからこそ、旅先でのコントロールしている感覚は自分を心地よくさせてくれる。

非日常を闇雲に求めるのではなく、日常から少し距離を置くことで、日常に戻る自分を気持ちよく後押ししてくれるのではないだろうか。そういう旅をすることで自分がリトリートされると感じる。


旅先の体験を記録する

そういった旅先で体験したことや、思い感じたことはできるならば目に見える形で残しておきたい。

私の場合は、旅先の風景や出来事は、写真や動画で撮ることにしている。

撮影をすることで、記録する対象を通して、自分の好きなものや気になったものを改めて感じ、その存在を肯定することができるからだ。
またカメラで撮るという行為そのものが、繰り返しの単純作業を生み、活動のなかに自分を没頭させることから得られる充足感は程よく気持ちいい。
ファインダーを覗いてシャッターを押すという行動を通じて、目の前の世界への没入感を感じさせてくれる。


旅先での体験をアーカイブする

せっかく旅に出て、様々なことを感じ、記録しているので、体験したものをそのままで終わらせるのではなく、それらを後から振り返られるようにしておきたい。

そのために私は、旅先で見聞きして、感じたことをできるだけ文章にまとめるようにしている。
文章といった形で考え直し、創作するという行為により、旅先での出来事を感じたままにせずに、言葉として捉え直して、自分の思考として整理することができるからだ。

記録した写真や自分の考えがすぐに自分の生活の役に立つかどうかはわからないが、そうした思考の積み重ねが、後から参照できるアーカイブになるとともに、創作を通じて、旅を経て新たな経験や思考を得た後の自分に大きな気づきを与えてくれることにつながるのではないだろうか。



旅→記録→創作というステップ

旅をすることは、未知の場所を訪れて、知らないものに触れるだけでももちろん楽しい。
しかし、旅先で経験したことを自分との対話を通じて記録・思考して、旅から帰った後もゆっくりと味わったり、普段の生活の中に取り入れていきながら、旅で得た体験を活かしていくのはもっと楽しいものではないだろうか。

旅に出かけ、その場所・時間を記録して、自分なりの思考を経て創作をするというこうしたサイクルが、自分を見つめ直すきっかけになる。

旅から日常を見つめ直すことで、日常は次の旅先という目的地に向かうまでのトランジットとなる。旅と日常を往復することで、自分は常に仮の状態で見つめ直される対象として、旅で得た経験や思考をもとに変化され続ける。
自分というものは固定したものではなく、旅を通じて、新しく置き換えられる実感があるからこそ、旅をしているという感覚は私を心地よくさせてくれるのだろう。

またそのようなサイクルを繰り返すことで、旅自体が体験・思考のインデックスとなり、旅行することが新たな思考の展開をもたらしてくれるとともに、ある旅を思い出すと、自分の更新の履歴に思いを馳せることができる。
ひいてはそれが今の自分を癒し、豊かにすることにつながることになるのではないだろうか。


そういった自己更新をもたらす旅は、自分の生活を鮮やかに彩ってくれると確信している。故にこれからも旅を続けていきたい。


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