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唐津へ-旅と日常の接続点としてのやきもん巡り-(西九州旅行②)

「西九州新幹線に乗って西九州に行きたい。」

新しい新幹線に乗ることをよい口実に、西九州の長崎県・佐賀県に行くことにした。
長崎駅から佐賀県・嬉野温泉駅を旅行した後、西九州旅行後半はさらに北に向かって佐賀県唐津市をめざす。

西九州旅行前編はこちら↓


西九州新幹線・嬉野温泉駅から博多方面の新幹線に乗り、佐賀県側の終点、武雄温泉駅に到着した。これで西九州新幹線は全踏破だ。
といいつつ武雄温泉駅では息つく間もなく、向かいのホームで待っている特急列車に乗り換えをする。

リレー特急と対面乗り換え
特急列車から見た新幹線
特急列車ともお別れし、
ここからは在来線普通列車で唐津までめざす
JR唐津線西唐津行き

はじめて訪れる、自分の住む街とは全く違った土地の風景が車窓を流れる。音楽も聞かず、本も開かず、何もせずただ外を眺める。
流れゆく世界を前にして、その土地の暮らしを想像したり、自分の日常生活と重ね合わせたりして、思いを自由にめぐらす。
旅先の電車に乗って車窓を眺めている間は、さながら1本の映画を見ている気分だ。

移動時間の長さ=不便、と思われがちだが、
車窓からの風景は、旅行の醍醐味のひとつとして、旅に彩りを与えてくれる。


ホームのすぐ側に川が流れている
唐津駅

唐津駅に到着した。新幹線を降りてから、乗り換え含めて2時間ほどの旅程だった。

ホームに降りると、発車案内板をじっと見る。
旅先のはじめて降り立った駅で発車案内板を見るのは、今まさに旅していると実感する瞬間のひとつだ。


唐津で滞在したHOTEL KARAE
駅すぐの商店街のなかにあり、
街歩きの拠点としてピッタリ


訪問した時期はちょうど唐津市内で「唐津やきもん祭り」が開催されていた。私は焼き物の産地巡りをするのが好きだ。
同じ佐賀県でも有田焼・伊万里焼といった焼き物もあるが、こちらは素材が石でできた磁器。一方唐津焼は、素材が土でできた陶器だ。
同じ器でも素朴な感じがする陶器の方が好みのため、唐津焼を求めてやってきた。

唐津やきもん祭りHPhttps://karatsu-yakimon.com/yakimon/より

駅前の商店街周辺を中心に、好みの焼き物を探して街歩きをする。

実際に器を手に取って、大きさや重さ、色合い、さらには持ったときの手触り感を感じながら、見比べる。


またやきもん祭りの開催と合わせて、唐津市内の飲食店では、陶芸家とのコラボレーションにより、唐津焼で提供される特別メニューも楽しむことができる。
唐津焼を盛り上げようと、街全体が一体となっている感じがする。

HOTEL KARAE併設のレストラン
こちらでは自分で選んだ器に
コーヒーを淹れてくれる


いろいろな展示販売店を訪ね歩いて、熊本千治さんという作家さんのマグカップを選ばせていただいた。
器に土の風合いが特に感じられたのがよかったのと、持ったときに自然と指にフィットしてしっくりきたものだった。

熊本千治さん作のマグカップ
作家紹介文には、
「仕事を楽しむことが結果的には楽しい器につながるのではないかと。
伝統の風土の中で、自分なりの唐津焼を模索しています」とあった。


家で急須で淹れた緑茶を飲むのにも丁度よく、今ではこのマグカップでお茶を飲むたびに唐津への旅を思い出す。


消費のあり方として、モノ消費とコト消費といった対比がされることが多い。商品を購入してその所有に価値を見出すモノ消費と、体験に価値を見出すコト消費だ。
そして多くのモノが消費者に行き渡ったいま、モノ消費からコト消費へとニーズが変化しているとかなり前から言われている。確かに私も旅行やアウトドア体験にお金を使うことの方が多い。

しかし一方で、旅先で見た美しい風景を前にした感動や、日常とは違う体験をしたといったコトは、なかなか家には持って帰れない、ひいてはもしかすると、非日常でその場限りに終わってしまいかねないと感じることもよくある。
そこでせっかく享受したコトを、自分のなかに留めておくためには、何らかの形で残す作業が必要なのではないか。
そこでコトを残すために、たとえば、そのときの写真や動画を記録したり、その土地にまつわるモノを持って帰ったりすることは、そういった手段のひとつになるのではないだろうか。

その点、旅先で、その土地の土で作られた陶器を買って帰るということは、そこで体験したコトを薄れてゆくコトで終わらせず、モノとして手元に目に見える形で置いておくことができるとともに、普段使いすることでコトを思い返すきっかけになる。
非日常だったコトを日常につなぎとめてくれる媒介として、モノは体験したコトを鮮やかに蘇らせてくれるのだ。
そういった意味においては、モノとコトは対立するものではなく、混じりあった相補的なものだろう。

物があふれ、何でも簡単に手に入る時代には、闇雲にモノを消費したり、かといって過度にモノを少なくしすぎたりといった、そういった量に換算できるところだけでは豊かさは見出しにくい。
非日常で一過性になりがちだが、自分にとってかけがえのないコトがつめこまれた、思い入れのあるモノを日常で味わうことは、毎日の生活を少しだけ豊かにしてくれると思う。

旧唐津銀行
唐津城
唐津くんちのポスターと唐津観光タクシー


帰りの電車・JR筑肥線から
博多めざして海沿いを走る


旅の締めのラーメン@博多


同じく今回買った花瓶(吉永サダムさん作)
無骨な質感がお花を引き立ててくれる


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