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嬉野温泉へ-日常と旅の交差点-(西九州旅行①)

「西九州新幹線に乗って西九州に行きたい。」

普段使っているJRの駅で、開業したばかりの西九州新幹線や、新幹線が開通した西九州地区のプロモーションを見るうちに、そう思うようになっていた。
関西在住民にとっては、博多以西の九州は、ふらっと行くには少し距離があり、何か理由がないとなかなかいけない場所である。
そこで新しい新幹線に乗ることをよい口実に、西九州の長崎県・佐賀県に行くことにした。

西九州新幹線とは2022年9月に開通した、佐賀県・武雄温泉駅と長崎県・長崎駅を結ぶ新幹線だ。
せっかくならば全区間乗車するため、まずは終点・長崎駅をめざして、飛行機で長崎に向った。


3年ぶりの空港
飛行機の翼が見える席がいいなと思い予約すると、ちょうどいい場所に
長崎空港


長崎県大村市にある長崎空港から、シャトルバスで1時間程で長崎市内に到着した。
せっかくの長崎だが、初日は移動日と割り切っていたので、長崎駅近辺を中心に徒歩と路面電車で巡った。
長崎市内は、路面電車が各方面へ伸びており、中華街や大浦天主堂、今回は行けていないが平和祈念公園といった名所は路面電車で行くことができる。

長崎電気軌道・長崎駅前駅
大浦天主堂


長崎で一泊ののち、いよいよ西九州新幹線に乗る。

かもめ号
西九州新幹線・長崎駅の駅舎
ホームに滑り込む車体
2022
KAMOME


西九州新幹線でまずは嬉野温泉駅をめざすことにした。
長崎駅からわずか24分だ。
嬉野温泉駅は、西九州新幹線開業により新しくできた新幹線単独駅で、佐賀県嬉野市内で唯一のJRの駅になる。
新幹線ができたことで長崎や、博多からも手軽にアクセスできるようになった。

乗ってきた新幹線をお見送り
嬉野温泉駅前
駅前にある道の駅


嬉野市は九州有数の温泉街であるとともに、嬉野茶の栽培でも有名だ。
嬉野を滞在先に選んだのも、旅先でご当地のお茶を楽しむのが最近の旅の楽しみ方のひとつだからだ。
今回は、和多屋別荘という旅館に泊まった。

和多屋別荘


宿泊したのはタワー館という建物の上層階のお部屋で、客室の窓からのぞくと、嬉野市内が見渡せる。
窓際の椅子で長い間、外の風景を眺めていた。

嬉野市内を流れる嬉野川とすぐ近くにある山並み
窓から茶畑も見える
温かい緑茶で一服


館内には嬉野の茶農家「副島園」さんのお店があり、お茶の販売やカウンターでの喫茶スペースがある。


喫茶カウンターの隣にはお茶と読書を愉しむための書店「BOOKS&TEA 三服(さんぷく)」があり、お茶を飲みながら本を読むこともできる。
嬉野だけあってお茶に関する本が多くあるほか、学び・遊びといったようなコーナーもあり、本のラインナップが街中の本屋やオンラインショップとは一味違う。


もしかしたら、旅とは
「日々の暮らしから、すこし離れること」
ではないだろうか。
(中略)
「旅」と「日常」は、それぞれ別のものではなく、
ゆるやかにつながっていて、
いい旅をすることで、日常も輝き出すんだ。

「BOOKS&TEA 三服(さんぷく)」コンセプトムービー
書店|レストラン&スパ|佐賀県 嬉野温泉 - 和多屋別荘 (wataya.co.jp)


何も考えずにお茶だけを楽しんだり、普段は読まないような分野の本も手に取っていつもとは違う世界に思いを巡らせたりして、時間を過ごす。
私も急須にお茶を淹れて飲むのが好きだが、それでも日頃の生活の中では、なかなかゆっくりとお茶を飲む時間をとることは難しい。
また毎日の延長線にあるようなものしか関心が向かないことが多い。
しかし、日々の暮らしから離れる旅先だからこそ、日常を振り返り、見直すきっかけになることもある。
そして日々の疲れやストレスの発散を闇雲に求めるのではなく、旅の日常からの距離感も「すこし」だからこそ、日常に戻る自分を気持ちよく後押ししてくれる。そういう旅をすることで自分がリトリートされると感じる。
またよい日常があるからこそ旅がいっそう輝くこともあるだろう。たとえば日頃から関心を広げているからこそ、旅先でも自然といろいろなものを感じることができるように。
日常と旅は分離できるものではなく、相互的・パラレルなものだろう。
非日常を追い求めるだけではなく、日常とシームレスにつながっていく旅の感覚を大切にしたいと思った。

テイクアウトの緑茶



夕食は佐賀牛
嬉野は肥前吉田焼という焼物の産地でもある
お茶と焼物の産地が両方ともあるのは珍しい


温泉に浸かった後はバーに向かう。
副島園 the BARでは、お茶の旨味を存分に楽しめるお酒やデザートが味わえる。

副島園 the BAR
どれも気になるメニューが並ぶ
悩んだ末に茶ビールにした
ビールに嬉野茶が注がれる
温泉後のビールはこの上ない瞬間だ



嬉野では旅館での滞在のみで、その他の場所を訪れたりはしなかった。
しかし観光名所を巡るとき以上に旅先の魅力を感じることができた滞在だったように思う。
今回宿泊した旅館は、旅先で体力を回復することや快適な睡眠をとる目的のためだけにとどまらず、嬉野の自然や風景を堪能することができる場であるとともに、食をはじめとしたその土地が産む恵みを味わうことができる空間だったからだ。
また今回はGW中にもかかわらず、混雑を感じることはなく、快適に過ごすことができた。もともと旅館とは限られた空間で、一定数の対象にサービスを提供するものだからだろう。
そういった体験が楽しめる旅先探しに夢中になりそうだ。

客室から望む街と朝靄
足湯スペース


嬉野をあとにして、西九州旅行後半はさらに北に向かって佐賀県唐津市に向かう。

西九州旅行後編はこちら↓


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