見出し画像

不透明な未来が、旅への動機になる

大学卒業から企業に就職し、終身雇用の下で昇進、結婚・子育てをしながらマイホームを持ち、定年後は年金でパートナーと余生を暮らす。この生き方を、経産省は『不安な個人、立ちすくむ国家(2017)』レポートの中で「昭和時代の人生すごろく」と表現した。真っ当であるとされてきた生き方は、今や”昔の標準的人生モデル”でしかなく、生き方の正解なき多様な時代において先の見えない不安な未来を抱えていると、レポートは指摘した。「液状化した社会」をどう乗り越えるか。社会は100年に一度の大きな変革期を迎えているらしい。

出典『不安な個人、立ちすくむ国家〜モデルなき時代をどう前向きに生き抜くか』次官・若手プロジェクト、2017

2019年4月から提供を開始した弊社サービス「HafH(ハフ)」は、5つの月額課金プランを自分で選び、世界中の宿から滞在先を選べる宿泊サービス。毎月の支払いを通じて、サービス内で利用できるHafHコインが積み立てられ、貯まったコインを使ってプランごとに決められた宿泊上限まで宿に滞在することができる。

大手旅行サイトであれば日々宿泊費は変動するが、HafHであれば定額の中でタイミングを気にせず旅ができる。大手交通事業者とのサブスク提携もあって注目を受け、2021年には日本サブスク大賞のグランプリを受賞した。

日本サブスクリプションビジネス大賞2021 受賞

サービス提供開始から1年でコロナ禍に陥り苦しい舵取りを強いられたが、おかげさまで利用者は増え続けている。利用者の多くは30代以下で会社員、主婦、フリーランス、学生と様々なバックグラウンドの方が多様な目的で利用している。

興味深いのは、HafHを通じて「人生が変わった」と答える利用者が少なからずいることだ。HafHを通じてたまたま訪れた島暮らしに魅了され、そのまま移住した利用者もいるし「HafHがあるから」と家を捨て、HafHで全国(あるいは海外を)転々とする多拠点居住者も増えた。HafHにはウェブ上のコミュニティもあり、ここでは利用者が「写真部」や「イベント部」といった部活をつくって、見知らぬ利用者同士がHafHを通じて出会っている。

五島列島でHafHを通じて移住した女性と、地元男性がついに結ばれた

ついにHafHをきっかけに結婚したカップルも現れた。コロナ禍で人との繋がりを絶たれた中だったからこそ、HafHを通じて出会い、心を揺さぶられた経験を持つことで、自分なりの生き方にとって大きなヒントになっているのかもしれない。

経産省レポートから5年、頭の片隅のどこかで未来への危機意識を持った若者たちは、働き方、生き方を模索しはじめている。先行き不安で今の会社を辞める勇気はまだないが、複業を探してみたり、オフィスではなくワーケーションで地域に触れ合ってみたりして、自分自身にあったライフスタイルを探しているように見える。無限に広がる未来の選択肢を、どう掴むかは、動いてみないとわからない。

先の見えない未来だからこそ、
未来を掴みに行くのは自らのアクションが必要だ。

旅は、きっと、未来のヒントを見つけられる。
Enjoy your life journey!

本原稿は、一般社団法人ロングステイ財団が出版する季刊誌「LONGSTAY2022 夏号」内特集"ロングステイの新潮流"に寄稿したものになります。


この記事が参加している募集

リモートワークの日常

Thank you for your support!