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和声における連結② 一歩進んだ和声学 Part 6

前回では様々な和音の連結を行ってきました。今回では例外的な連結についてご紹介します。

1 II→Vの連結

IIからVへの連結の場合はレ(D)の音が共通音ですが、この時は保留せずに後続和音(V)に最も近い音に下行させて、配分を一致させます。すなわち、ここではの音をシ(B)の音に下行させます。

その後、残りの声部を配分一致させるように配置します。

開離配分でも見てみましょう。

もし共通音を保留した場合はこのようになります。

こちらは禁則を破っているわけではないので、理論上は問題ありません。この場合はテノールを除いてすべて並行しています。和声ではできるだけ反行することが望ましいので、この場合は共通音を保留しない方が上3声がバスに対して反行する(バスが上行、上3声が下行)ので、響きの面で良いと考えられています。

2 IV→IIの連結

IVからIIへの連結の時、IVが第3音高位の場合は共通音を保留せず上3声を全部上行させ根音高位のIIへ導くことが多いです。

この場合もバスと上3声が反行しています。
この場合は長調のときのみ有効で、短調ではできません。

短調の場合はラ♭(A♭)からレ(D)の音に向かう際に増音程(ここでは増4度)を発生させてしまいます。増音程は増1度を除き禁止させられているので、短調では使えないのです。

3 V→VIの連結

VからVIへの連結の時、両者には共通音が存在しないのでバスに対して上3声を反行させるべきなのですが、ここで問題になるのが導音の存在です。一般的には導音は音階の7番目の音のことを指しますが、和声学においてはVの和音において、短2度上行し主音へ導く音のことをいいます。かつその音はトニック和音(I、VI)に進むときのみに限定されます。

IIIやVIIの和音にもその音は含まれていますが、導音としては機能しません。

実際にV→VIの連結を行いましょう。

ここではシ(B)の音導音として機能します。なのでまずは導音を短2度上行させます。

残りの声部は後続和音の最も近い音に下行させます。

この場合だけは配分が一致しません。これを標準外配置といいます。連結の必然性によるものでこの場合は許容されます。

なお標準外配置のVIの和音の先行和音、後続和音の配分は必ずしも一致させなくてもかまいません。現段階ではVIの和音に継続する和音は標準配置に戻しましょう。

このV→VIの連結の後にIIの和音が来る場合、アルトとバスの間に生ずる連続5度は例外的に許されます

このように例外的に禁則が許される事例がいくつか出てきます。

4 まとめ

まだ出てきていないIIIとVIIの和音は、しばらくは登場しません。まず和声の連結の際にはI、II、IV、V、VIの和音を中心に扱います。連結の基本事項はこれで一通り紹介しました。実際に連結を行い、音を出して確認しましょう。慣れたら他の調でも連結の練習を行ってみるのもよいでしょう。

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