クラシック初心者のための作曲家紹介シリーズ No.2 ショパン
F・ショパン(1810~1849)。ポーランド出身の作曲家。作品のほとんどがピアノ独奏曲であり、同世代のリスト(1811~1886)と並んでピアノ演奏の発展に貢献した。そんな彼の代表作の一部をご紹介します。
協奏曲編
ピアノ協奏曲第1番ホ短調op11
ピアノ協奏曲第2番ヘ短調op21
ショパンの遺した2つの協奏曲。第1番の方が演奏される機会が多い。作曲順は第2番→第1番となっている。他の作曲家のピアノ協奏曲と比べてオーケストラの扱いが問題視されているが、親しみやすい旋律が功を奏してどちらもピアニストのレパートリーとなっており演奏も多い。
ワルツ編
ワルツ第6番変ニ長調op64-1
「子犬のワルツ」と知られている小品。ピアノを習っていた方はこの作品に手をつけた方も多いのではないのでしょうか。
ワルツ第7番嬰ハ短調op64-2
子犬のワルツとともに出版された晩年の作品。技術的な難しさはそこまでないが、主題はマズルカを採用するなど短いながら創意工夫が詰め込まれている作品。
スケルツォ、バラード編
スケルツォ第2番変ロ短調op31
スケルツォはイタリア語で「冗談」の意味である。ショパンのスケルツォは全部で4作品遺っているが、第2番は特に演奏頻度が高い。ショパンのスケルツォはどれも高い演奏技術を必要としており、時には感情が爆発したような激しい部分が多くみられる。
バラード第1番ト短調op23
クラシック音楽におけるバラードの特徴としては、古い歴史物語を詠んだ詩に基づいていることを暗示しており、この作品はショパンのバラードは作曲家の祖国であるポーランドの詩人、アダム・ミツキェヴィチの愛国的な詩に啓発されたという説もある。ショパンはバラードを4作品遺しているが、第3番を除いて悲劇的な終わり方をしている。第1番はト短調、第2番は始まりがヘ長調だが最終的にはイ短調で終結する。第4番はヘ短調で終わり、唯一第3番が長調である変イ長調での終結を迎えている。
バラードはどの作品も高い演奏技術を必要としており、バラードの中に込められているショパンの思いをどのように解釈しているかも作品の聞きどころとなっている。
ノクターン編
ノクターン第2番変ホ長調op9-2
ショパンの作品の中でも最も有名といっても過言ではないほど聞いたことがある人も多いのではないのでしょうか。ノクターンは「夜想曲」と訳されJ・フィールドによって創始された。初期の作品でフィールドの影響が強く残っており作曲者自身の語法は少ないが、わかりやすい構造で人気高い。
ノクターン第20番嬰ハ短調KKIVa-16
ショパンの死後に出版された作品。1830年の作品であり、ノクターンの題も付けられていなかった。また速度記号の「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ(Lento con gran espressione)」の名でも知られている。
ソナタ編
ピアノソナタ第2番変ロ短調op35
ショパンのピアノソナタは全部で3作品あるが、第2番と第3番が圧倒的に演奏頻度が高くソナタ形式の練習として書かれた第1番はあまり演奏されない。
第2番は第3楽章に「葬送行進曲」を用いていることから「葬送」の題が知られている。
ピアノソナタ第3番ロ短調op58
ショパン最後のピアノソナタ。第2番より構成的な充実度が増し、名人芸的なフレーズも多く、華やかで壮大な作品に仕上がっている。
チェロソナタト短調op65
ピアノ独奏曲の多いショパンにとっては例外的な作品となったもの。生前最後に出版された作品でもある。ショパンはチェロの音を好んでいたのもあり、本作と青年期に作られた『序奏と華麗なるポロネーズop3』と『ピアノ三重奏曲ト短調op8』が遺されている。晩年の作品であり、作品構造的には難解な部分も多く上級者向けの作品。
ポロネーズ、マズルカ編
ポロネーズ第6番変イ長調op53
ポロネーズはポーランドの民族舞曲である。祖国の舞曲であるポロネーズはショパンにとってマズルカとともに非常に大切にしていたのだろうと考えられる。
この作品は「英雄」の名で知られており、ショパンのポロネーズの中では一番演奏頻度も高い作品だと思います。
マズルカへ短調op68-4
マズルカもポーランドの民族舞踊であり、ショパンはマズルカと題した作品を50曲以上遺している。そしてこの作品は1849年、すなわちショパン最期の年に作曲され、しかも清書されたものではなくスケッチの段階で遺されたものだった。半音階的進行による調性の不安定さはもうすぐ迫る死に対しての思いなのだろうか。絶筆ということもあり「辞世の歌」のような悲しい雰囲気に包まれている。
いかがでしたか?
今回紹介したのはほんの一部ですが、まだまだ素晴らしい作品はたくさん遺っています。
これを機にショパンの魅力を感じられることができれば幸いです。
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