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初心者のための作曲家紹介シリーズ No.8 ラフマニノフ

S・ラフマニノフ(1873~1943)。ロシアのピアニスト、そして作曲家。彼自身卓越したピアノ奏者であったため遺された楽曲は超絶技巧を求める作品が多い。年代的には無調音楽が現れ始めた時代だったが、ラフマニノフはロマン派的な作風を貫き通した。彼の遺した作品はどのようなものなのか、見ていきましょう。

管弦楽作品編

交響曲第2番ホ短調作品27

ラフマニノフは交響曲を3作遺しているが、この第2番が圧倒的な知名度を持ちます。
自身のピアノ協奏曲第2番の成功により、交響曲第1番での失敗を乗り越え作曲家としての自信を取り戻した後の作品です。
第3楽章は日本では缶コーヒーの「ジョージア」のCMにも使われており、この作品の楽章の中では知名度が最も高いです。
第1楽章0:00
第2楽章18:52
第3楽章28:57
第4楽章44:12

交響的舞曲作品45

ラフマニノフ生涯最後の作品。完成されたのは死の3年前、1940年のことだがこれ以降彼はピアニストとしての活動に重きを置き、亡くなる直前まで演奏活動を行っていました。まず2台のピアノのための版が完成し、その後オーケストレーションを行いました。1940年の作品にもかかわらず、作風は現代音楽風な楽曲ではなくロマン派音楽の延長のようなものになっています。3つの楽章からなります。
第1楽章0:00
第2楽章11:09
第3楽章21:02

ピアノ協奏曲編

ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18


ラフマニノフの出世作となった作品。ピアノ協奏曲全体としても特に知名度の高い作品です。交響曲第1番の失敗による精神的ショックから立ち直り満を持して発表された作品で、好評をもって迎えられ作曲家のとしての名声を確立しました。彼のピアノ作品すべてに言えることですが、超絶技巧を要求する楽曲が多く、しかもラフマニノフ自身手がかなり大きかったのもあり、手の小さい人は抑えきれないほどの和音も出てきます。この作品も例外ではありません。
第1楽章0:00
第2楽章11:14
第3楽章22:20

ピアノ協奏曲第3番ニ短調作品30

ラフマニノフはピアノ協奏曲を4作遺していますが、なかでも2番、3番はよく演奏されるものです。3番は他の作曲家のピアノ協奏曲も含めて、もっとも難しいといわれていたほど難易度の高さがうかがえます。第1楽章のカデンツァ(独奏楽器における即興的なオーケストラの伴奏を伴わない演奏部分。しかし、ここでは即興性はなくすべて楽譜に記載されている)は2種類あり、その違いも楽しめる作品となっています。
第1楽章0:05
第2楽章16:53
第3楽章28:24

パガニーニの主題による狂詩曲作品43

イタリアのヴァイオリニスト、作曲家のパガニーニ(1782~1840)の作品『奇想曲第24番』の主題を用いた作品です。

パガニーニ。ヴァイオリンのヴィルトゥオーソだった。

『奇想曲第24番』は他の作曲家(ブラームス、リスト)もこの主題を用いた作品を遺しています。狂詩曲(ラプソディ)と名付けていますが、内容は変奏曲となっています。

ピアノ作品編

前奏曲嬰ハ短調作品3-2

元々は『幻想的小品集』という作品のうちの1曲。この作品集のうち、この曲にスポットが当たり初期の名作としての地位を確立しました。最後ではピアノが4段譜になって記譜されています。コーダ(終結部)では自身のピアノ協奏曲第2番の開始部分と似た音型が出てきます。

前奏曲ト短調作品23-5

『前奏曲集』の中の5曲目で、この曲集の中で特に人気が高い曲です。行進曲風の作品です。

ピアノソナタ第2番変ロ短調作品36

彼はピアノソナタを2作遺しており、こちらの第2番の方が演奏頻度が高いです。当初は評判があまりよくなかったらしく、1931年に改訂版を発表しています。現在は1931年の版で演奏されることが多でしょう。
第1楽章0:05
第2楽章7:16
第3楽章13:14

その他の作品


チェロソナタト短調作品19

ラフマニノフがピアノ以外の楽器で遺した唯一のソナタ作品。ピアノとチェロは対等に扱われているが、時にはピアノがチェロをくってしまうようなフレーズも見受けられます。それは彼が卓越したピアニストであることと無関係ではないと思われます。
第1楽章0:00
第2楽章13:01
第3楽章19:23
第4楽章25:04

ヴォカリーズ作品34-14

元々は歌曲集に最後に追加された曲であり、「ヴォカリーズ」とは歌詞がなく母音のみで発声される曲のことです。ソプラノもしくはテノールのために書かれた曲でした。
今日では様々な編曲が成されており、ラフマニノフの作品の中でも時に有名になった作品です。

元の歌

いかがでしたか?
作品数はそこまで多くはないもののたくさんの傑作を遺しました。当時の時代背景としては保守的な作風であったため批評家からの批判も多かったですが、今はすっかり大作曲家の一員としての仲間入りを果たしました。これを機にラフマニノフの魅力に触れていただければ幸いです。

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