見出し画像

ロンドンで困った日本人学生を助けたら、私には何が返ってくるのか

若者、意を決して声をかける。お金を貸してくれませんか?

ヒースローの朝、荷物超過のフィーが払えずで飛行機に乗れない、という若者に出会った。というか多分、誰かに助けてもらおうと待ち伏せしてたのかな(笑)

空港ですれ違うときに、曇った顔してて。じーっと見てるなぁと思ったら、やはり声をかけてきた。

ちなみに我々は、二人。二人とも決して「見るからにいい人」ではない(笑)どちらかというと客引きですらちょっとたじろぐ位、ほっといてくれオーラを出すことが多い。それでも声をかけてきた。相当、不安だったんだろうなぁ。背に腹変えられないってやつだ。しかも朝早くて、空港にほとんど人いないし。

「お金を貸してほしい」

聞けば、トラブル続きだという。かくかく云々。ふむふむ。まぁ、そりゃー金なくなるわなぁ。

うん、そうね。トラブルではなく、たぶん、準備不足。そんで想定が甘かったんだと思う。時と状況による。でも、私達に余力がないわけではない。おそらく、私が断れば、次はフライトまで絶望的な時間だろう。

でも、大学生で海外に来て、そういう「あ、俺、このままだとマジでやばいかも。。。」と思える洗礼を浴びることは悪いことではないよなぁ。

かくいう私もチェックインのときに色々とゴタゴタする。こちらもいわゆる想定外。準備不足。私の認識が甘い。(まぁ、こっちの方は大したことないもの。)というか、もっとゴネても良かったけど、その時間がもったいない。だから、この若者を、若いし、甘いよねー、なんて鼻で笑うことはできない。

選択肢があるということはその場での行動を冷静にさせるし、アグレッシブにもさせる

私のゴタゴタには、いくつかの切り抜けられる選択肢がある。オトナになると、この辺が用意周到になる。まさかのとき、もしものときに備える能力を身につけていたりする。

でも、大学生の彼にはほとんど選択肢がない。金も、経験も、信頼も、信用も、ほとんど何もない。

しかし、彼は切り抜けた。日本に戻ったら返します、というなんの保証もない確約で。誰かに頼る、という頼りないことこの上ないソリューションでその場をつないだ。

このあと、返答しなければならない、寺っちの問題提起にもつながる人生の豊かさにつながる問いだ。

人生は旅と似ていて、旅は今ここではない何処かに向かうワカラナイモノである。

人生も、旅も、計画通りには行かない。どんなに計画を練っても思い通りに行かない。だからといって無計画では人生を自分のものにしているとは言えない。だからこそ、想定して、できる限りの準備をする。それでも想定どおり行かず準備が足りないことを痛感することを見越して、できる限りのことをして。その後はもう、その場で起きたことを自分の直感で切り抜けるしかない。

お人好しの国であり続けるために、必死でこの国を良くする人たちが、増えると良いな

返ってこなくてもいいや、と思えなければ他人の手数料など払えない。ギャランティーは?信用は?まぁ、いいんじゃない。

もちろん、最低限の審査はした。内容は秘匿にするが、最悪おっかければおっかけられるギリギリの担保だ。

でも、踏倒そうと思えば、踏み倒せるレベルのものだ。この時点で私はお人好しかもしれない。規模や内容による。お人好しで済まされない類のものもある。でも。

何の繋がりもなく、何の約束も義務もない若者に、(あえて言うが)たった数千円のお金を肩代わりしてあげられない。そんな仕事しか出来てないのだとしたら、偉そうに日本をあーだこーだ言う資格なんて、ない。たとえそれが、仲の良いメンバーで居酒屋での熱いトークだったとしても。

上手く切り抜けられたことに安堵し、例え彼が、返済が面倒だと思うルーズな学生であったとしても、お金が私の手元に戻ってこなかったとしても、彼が困ったときに助けられた記憶は何処かで次につながる。

そして、もしもお金が返ってきたら、日本はまだ捨てたもんじゃないって一人自己満足に浸れる。

捨てるつもりで他人に渡せる金。そういう金を作るために私は働いてる。

自分の子供にも、関わってくれる自分より若いチャレンジャーの社会人のみなさんにも、見ず知らずの空港で困ってた大学生でも。この国で私の限られた能力から生み出した価値、対価から頂いたお金で、この国を担うかもしれない人たちに配る。

それができるのは、この国がお人好しの私にお金を渡せる余力があるからだ。私に余力がなければ、彼はヒースローから、移動できなかったかもしれない。

お人好しの国でいいんじゃないか、と思う。余力さえあれば。国が、余力を生み出せる能力のある人が、しっかりとこの国をお人好しであり続けるために努力することが出来れば。

…オチになるけど、だからといって、お人好しを騙したり、偽ったり、そこに付け入って上手く甘い汁を吸い続ける、って構造は違うと思うから是正してかないとね。その行為そのものが、お人好しな国を維持できなくさせてる元凶だし。

さて、テルアビブについたら、寺っちのへの返信書くかー。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?