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どうやらこのパズル、容易でない

蒸し暑いと汗が流れる。吹かないと流れが止まる。仕方がないから服で拭く。そのうちに吸収できなくなって、全体がだる重くなる。残暑とはこのことですか。こんにちは、お散歩でもするザンショ。こんな喋り方は現実には存在しないのだろう。残暑があるザンショ。蒸し暑いのに寒くなってきた。少しばかり冬までが吸い寄せられただろうか。気がついたら寒いザンショ。(どっち)

相変わらず洗い物をしている。酒造りにつかう器具を洗っている。一般の方がご存知かどうかは知らないのですが、実は酒造りの器具は石鹸とかでは洗わない。基本水洗いかお湯洗いである。付着した洗剤の成分が発酵に悪影響だったりするのですね。目に見えない生き物たちはデリケートだ。カビやらなんやら、家の水回りに生える彼らもちょっとはデリケートなところを見せてほしいものだ。増えないで。お呼びでないんです。ああ彼らに耳があったらなあ。あったところで、どうするんだろ、とも言えるけど。

ということで水かお湯で洗っている。そうやって汚れを落とした後に専用の殺菌剤を使って仕上げをする。しばらくおいて、水で流して、かわかして。こんな単純なことをしているだけで、おい、実はおまえに水をかけていたんじゃないのか、というくらいにシャツが水浸しになる。ビシャビシャとかじゃない。もはや布か水なのかもわからないくらいに濡れきっている。ザンショがもう少し乾いた風を絡ませてくれたらそのままでもいいのだけれど、どうにも湿っぽい。嫌になっちゃうぜ。昼間っから湿っぽくてよ。マスター、ウィスキー、おかわり頼むよ。ストレイト・ノー・チェイサーでほら、この憂鬱なザンショから夢の世界へひとっ飛び…。できたらいいのに。実際は冷たいだけの水をかっくらって、一息ついては洗って干して畳んでしまってを繰り返している。(ストレイト・ノー・チェイサー=加水なしでウィスキー飲むやつ)

こんなに汗が出る原因の一端は体質にあり、それが主原因だと信じて疑っちゃいないのだけれど、副原因で体型もあると思う。小さい頃から非常に代謝が良くて汗ダラダラの濁流の中で野球をしていたのだけれど、していた頃から米袋(大)ひとつ分くらい成長してしまった。米袋(大)は新生児10人分くらいの重さです。いやあわたしも成長しました、感動した。涙が出そうで出なくて、代わりに汗を出す。これが副原因だ。ずいぶん影響の大きそうな副原因さん、こんにちは。たまには汗を出すの、やめませんか。エコじゃないから。疲れるし。きっと、やめてくれないだろうけど。

テレビとSNSがない生活が続いています。生活見直し中。こんまりのスパークジョイでも変われなかった家が、少しずつ変わっていく。重めの動機がないと人間って、変われないんですか、どうですか。変われる人は、たぶん、意志だけでガラッと変わってしまえるのだろう。なんと羨ましい。何周回ったらあなたのようになれますか。ブッダに頼んで現世での解脱(?)は見送ってもらって、わたしは2周目くらいで変われたらいいな。本もお金もその他の理由もなしに。ぱっと変わっちゃいたいぜ。身軽に行こう。

ひとつピースを替えるとそれで全部片付く、ということはわたしの人生においてはほとんど見られない現象で、ひとつピースが替わるとその周辺のピースたちも「おいおれらも替えてくれよ」と言ってくる。テレビがなくなればそれで終わりにならない。ようだ。本に手を伸ばす。家族とのコミュニケーションに手を伸ばす。最近は妻とロード・オブ・ザ・リングの劇中に出てくるスメアゴルというキャラの真似を突然始めるゲームにハマっている。妻のことをいきなり「バカなホビットがゲラゲラ笑ってるよォ…」とか言ってバカにする夫は、きっと傍目から見たらさぞ滑稽だろう。われわれは笑うけど。妻はこれがツボらしい。読者がそのやり取りを想像して笑えなかったら、これはツボの違いである。きっと。これは、面白いんだよォ…いとしいしと…。(いとしいしと=読者)

そんなこんなで、今はピースを替えていくうちに副原因にメスが入るのでは、とひと夏の恋よりあわい思いを抱いている。生活の変化に恋している。恋しているけれど、自ら食生活を変えようとはしていない。向こうから声を掛けてくれるのをじっとラーメンをすすって待っている。大丈夫。時はきたれり、みたいな感じでひらめきの使者がやってくる。天啓というやつだ。その時食生活のピースはオセロがひとつぶで白を黒に黒を白にしてしまう感じで、もうかわる。大丈夫だ。わしが旦那さんの面倒をみるよォ…大丈夫だよォ…いとしいしと…。

↓宮城県の新澤醸造店が醸すお酒、あたごのまつ「ひと夏の恋」。開けたては酒全体が非常にしまっていて、かための芯を感じる。ちょっとそっけないかもしれない。だけれど、2日目になるとちょっとこちらを振り向くかのようにキュートな甘さと酸味が顔を出す。いちど声を掛けて振り向いてくれないからと言って、そこで終わるのか。終わるな、突っ込め。その先はある。あるはずだよォ。部活の昼休み、あの子から分けてもらったお弁当のマスカットの味。わたしにそんな経験はない。ある方はぜひ。


酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。