【イベントレポート】「がんばろう広島酒蔵の会」~みんなが笑う、広島が笑う、歓声がこだまする日本酒会~
みんな笑った。客が笑った。蔵元が笑った。広島が笑った。
この空間に、もっとずっといたいなあ…。
そんな気持ちにさせてくれる会でした。
笑い声と驚嘆の声が絶えなかった3時間の「がんばろう広島酒蔵の会」の模様をレポートさせていただきます。
どうも、りょーさけです。
先日アップした記事で予告したイベントが、一昨日3月9日の14時~17時に開催されました。みなさん、イベントの名前はもう覚えてくれましたね?
今回のイベントは、「がんばろう広島酒蔵の会」です。
すでに概要は前回の記事で書いたので、この記事では簡単に書いて前記事のリンクを貼りたいと思います。
その後は当日の会の様子や、印象的だった人々などなどを書いて、最後に自分がイベントから感じたことなんかを書きます。
(※いくつか画質があまり良くない画像が混じっていますが、これは写真を撮りすぎて一眼のバッテリーがなくなり携帯で撮影したためです。後で入れ替えられるものはきれいなものに入れ替えます。今は一刻も早くイベントを紹介したいのでこのまま公開します。ご了承ください。)
ではでは、スタートです。
1. ついに開催!「がんばろう広島酒蔵の会」!
今回の会は平成三十年豪雨で大きな被害を受けた広島を「日本酒を飲むことを中心にして支援しよう」という目的で開催されました。
雑誌「dancyu」を作っているプレジデント社が主催し、恵比寿の日本酒酒場「GEM by moto」の千葉麻里絵さんがプロデューサーを務めています。また、このイベントは経済産業省が行っている「HASHIWATASHIプロジェクト」の一部でもあるそうです。詳しくはリンクをご覧ください。
更に詳しい概要を知りたい方は、前回の記事もぜひ見てください。
広島の33蔵の日本酒を集め、それらを4タイプに分類。それぞれのタイプに合った料理を提供してくれる…しかも蔵元さんも参加する…聞いただけでワクワクしますね。ちなみにパンフレットはこんな感じです。
シンプルで美しい。
お酒のタイプ分けと料理についてこんなに詳しく載ってます!これだけで一つの貴重な資料ですね。
では、会の中身に入っていきますか!レッツゴーです。
2. 「まだかな?まだなの?」というワクワク感で溢れる乾杯前までの会場の雰囲気
13時30分、晴天の空のもとを歩き青山スパイラルホールにつくと、さっそくポスターがお出迎えしてくれました。
透き通る青を基調としたデザインが素敵です。さっそく中に入ります。
中に入ると、そこには今か今かと早く会場へ行きたい人々で溢れていました。エレベーターの前に人がたくさん!スタッフさんに誘導されてイベント会場へ。
受付を済ませると、ホワイエで待機となりました。
ホワイエではすでにプチ広島物産展が始まっています。
市の紹介冊子を配る方、広島カープ応援のカツを配る人、様々なプレゼントが当たる抽選を薦める方…まだ開場もしていないのに、早くも空気が温まっていきます。
途中でなぜか会場内のマイクがホワイエのスピーカーに接続されてしまったようで、麻里絵さんが蔵元さんや他のスタッフに指示をする声が聞こえてきました。
「あっ麻里絵さんじゃん。」
「なんか言ってるぞ(笑)」
「早く開けて~!」
などなど、待機するお客さんたちからは期待やワクワクを表す声が飛び交っていました。
ブースの方々と軽くやり取りをしたり、荷物をクロークに預けたり、スタッフさんたちの動きを見たりしてる間についにその時がやってきました。
「それではご案内いたします。」という声で会場が開きました。
(扉の前で待っていたので、一番に乗り込めました笑)
中に入ると、多くの蔵元さんたちと東京の飲食店の店主さんたちがつくるブースが見えます。奥には大きなスクリーンや、トークイベントをするのであろうセットもありました。やや緊張気味(?)の蔵元さんたちがお客さんたちを迎えます。
「乾杯は14時から」とプログラムにあったものの、待ちきれない方が多かったように思います。ブースの傍に行くと蔵元さんがお酒を注いでくれるので、勢いですぐ飲んでしまっている人を何人も見かけました。
プログラムはあるけど、こういう風にフライングできちゃうのもそれはそれで楽しいです。これから始まる祭りで盛り上がるための助走みたいなものですね。
↑こんな感じの容器を片手に持って、今か今かとみんな待っていました。
3. 乾杯。乾杯。乾杯だ!!!
いよいよ乾杯!…の前に軽いトークイベントがありました。
司会はこの間の記事でも登場しました、恵比寿新聞の高橋ケンジさん。ゲストはプロデューサーの麻里絵さんと広島県立総合技術研究所の大土井律之先生です。
この日に至るまでの過程を語ってらっしゃいました。
夏に広島を訪問して想像を超える惨状を目の当たりにしたこと。
少しでも何かできないかという思いでこの会が企画されたこと。
お店とは違う規模だけれど、酒のタイプ分けとペアリングに妥協は一切ないこと。
ペアリングを大土井先生にチェックしてもらおうと思い広島まで一口分アボカド料理を持っていったら、アボカドが茶色く変色してしまっていたこと。
開場の隅で行われたオープニングトークですが、多くの方がブースを囲うように集まっていました。
こんな流れから、ついに乾杯です!
麻里絵さんや大土井先生もお酒をもって…
乾杯!!!
開幕です。
4. これは楽しまなきゃソン!踊り狂うようにブースを回れ!
乾杯後はもう、勢いがすごいです!
ブースにかじりついて端から端まで酒を飲んで蔵元さんからお話を聞く人、隅にあるお燗スペースで東京の名店店主のお燗に酔いしれる人、会場で出会った知り合いとおいしいお酒、料理を交えながら楽しくトークをする人…いや、もう、ほんとに
欲張らないと楽しめないよ!(笑)
もちろんほかの方に迷惑をかけないのは前提ですけど、あの、
「いやあ、基本じっとしといて空いたブースがあったら行こう…。」とか思ってたら損です!途中までちょっと損してたかも僕!
空いたブース…?
そんなものはありません!
どこのブースも人でいっぱいです。愛情をもって語る蔵元さんの酒を飲みながら、見事に設計された料理を食べつつ渡り歩く酒好きたちの大群がどこへいっても押し寄せる!これはもう迷惑をかけないように、押し合いへし合いはしないようにしながら、
正直に行きたいところへ行くべきだ!この会場に楽しくないところなんてどこにもないぞ!
そう思ってから、会はどんどん楽しくなっていきました。酒が美味いです。
この次は、その中でも特に印象に残ったお酒や人についてお伝えしますかね。
どうせなら自分がしっかり見たものについて語りたいと思います。
(ああ、全方位カバーしてこのイベントを全部伝えたかった!なんていうむず痒い気持ちを我慢しながら、ですが。全方位とか、そんなの無理です!笑)
5. あの酒、あの人、あの料理…気になったものをピックアップ!
5.1 アボカドの西京漬け×雨後の月
お料理はA、B、C、Dのお酒に合わせて各2種類ずつ出てきました。
ああっ!Dも食べたのに写真撮り忘れてる!
くっ…それくらい楽しんでいたと思っていただければ幸いです!
こんな感じで魅力的なメニューが勢ぞろいです。ほんとに迷ってしまう。
アナウンスで「A→…→Dと進むとだんだん味わい深くなっていって素敵ですよ~。」と言われたのですが、場の流れ的にCから始めました。無視してしまった!
僕はAが好きでした。アボカドの西京漬けと雨後の月!料理をとって、そのまま陽気に酒をふるまう雨後の月の蔵元さんのもとへ。
アボカドと酒が溶ける、まじわる、ともに消えてゆく…あとには味噌の風味が優しく残る。素敵だ。
ほんとにちゃんと設計されてるんだなあ、と実感したひとときでした。
5.2 賀茂鶴×蒼穹 多田さん
ここからお燗酒の紹介×2と続くのですが、本当に人選が豪華です。これは驚きました。
まずは神楽坂の名店「蒼穹」の店主・多田正樹さんのお燗ブースへ。
多田さんはお客さんと砕けた会話をしながら飄々とお燗をつけてらっしゃいました。その自由闊達かつ奔放としたスタイルが見事に表れていたように思います。
お燗はまるで露天風呂に使っているような気分に浸れます。
賀茂鶴さんのお酒をいただきました。夢心地で宙を見つめていると、ほかのお客さんとの会話が聞こえてきました。印象的なフレーズだけ紹介します。
「お燗はこの料理に合わせるなら(ジェスチャーを交えて)ココを通過していてほしいなってところを狙ってつけてます。」
「○℃単位で燗つける~とかってあるけど、ぶっちゃけ飲む人が疲れちゃうから自分はやりません!」
「(りょーさけが「非常に心地よくておいしかったです。」と伝えると)ありがとうございます!蔵元さんに言ってあげてください!」
これだけのお燗をつけながらの謙虚な姿勢を見て、思わず幸せなため息が出てしまいました。
(オーラに圧倒されてカメラを向けられませんでした。写真なし!残念であります。)
その後すぐに賀茂鶴さんのブースへ。
冷えている状態では、爽やかさと味わい深さを両立している名酒でした。
注いでくれた蔵元さんのお写真を撮らせていただいたのですが、インタビュアーが下手すぎて表情が堅い!(笑)
もっと楽しそうな表情で突撃すればよかったです。反省ですー。
5.3 白牡丹×JOE'S MAN2号 丈さん と…?
多田さんのお隣でお燗をつけていたのがこちら、三軒茶屋のJOE'S MAN2号というお店の店主・高崎丈さんです。先日の「マリエ会」でも見事なお燗をつけてらっしゃいました。
いただくお酒は白牡丹です。
丈さんのお客さんと朗らかにしゃべっているモードからキリっとお燗をつけるモードへの表情のスイッチングがかっこいい。
いただいたお酒は、甘さを引き出しつつ酸味がそれをキリリとまとめて横から支えているような技巧的なお燗でした。
「燗酒は違ったコンセプトに基づいてつけられているようです。」という会場アナウンスは確かにあったけれど、こんなに違うものだとは…。多田さんのお燗とはまるで違う、狙いすました、設計された美を感じました。
この強烈な個性を同時に楽しめるって、ものすごく今日のお客さんたちは恵まれているんじゃないかなあ…。
とか思っていると横から、
「こういう甘いお酒がもっと再評価されるといいのにね。」
という声が。どこかで見たことがあるようなオレンジ色の上着を着た方がそうおっしゃっていたのですが…あれ?
ふと横を見ると宇都宮仁先生ではないですか!
宇都宮先生は東京国税局鑑定官室長を務めていらっしゃる方で、麻里絵さんの本『日本酒に恋して』にも登場しています。言わずと知れた日本酒の専門家です。今度麻里絵さんと共著を刊行するそうです。
会場で行われたいきなりインタビューでも話してました。楽しそうです。
丈さんの元にもインタビュー部隊が来ていたのですが、「あ、今ちょっと(お燗が)大事なとこなんです…。」と丈さんが言うとササッと退散していました(笑)
5.4 柄酒造 於多福 純米×GEN GEN AN丸若裕俊さんの白茶
文章が長くなってきましたね。今更かな…。
ここらへんでティーブレイクしましょう。
ネット予約した人限定のプチイベントが途中でありました。広島酒とお菓子・カクテル・お茶のコラボです。
これらのうちマカロンはみんなが受け取れます。しかし、お茶とカクテルはどちらか1つ…めちゃくちゃ悩みます。悩んでたのは会場の皆さんも一緒でしょう。
酒蔵さんとコラボ先の方々の魅力を伝えるトーク、お茶とカクテル双方の提供者の「ただ者でない」感じのいでたち、注がれるコラボカクテルの美しさ…。丸若さんと野村さんが、かっこいい。
僕はお茶にしました。理由は後述です。
いつの間にか半分以上飲んでしまった…。
おじいちゃんちの縁側から広島の景色を眺めたら、こんな気持ちになるのかな。ホッとします。
甘さ控えめな和スイーツをお茶に溶かしたような風味で斬新さも感じるのですが、不思議と落ち着きます。
騒がしさを吹き飛ばす清涼感でしばし休憩です…。
コラボをした柄酒造さんも飲んで「酒の味を生かしていただいて…(ありがとうございます)」と仰っていました。
こちらのコラボをした3蔵は特に被害が大きかったそうです。1日も早く元の環境以上の環境になって、傷がいえますよう。
6. イベント前日のGEM by motoにて
はい、休憩パートその2です。
嘘です。関係がないようであるので、流し読んでください。
また嘘です。
こここそ読んでください(「こここそ」って読みづらい!)。
僕にとって東京に行くことは恵比寿に行くことと同義なので、今回も会の前日にGEM by motoに行ってきました。お参りのようなものです。
閉店間際だったのですがお客さん数名が盛り上がっていました。その中になんと前述の丸若さんもいらっしゃって、翌日の流れを打ち合わせながらお酒と料理を楽しんでいるようでした。
↑コラボドリンクになる前のお茶とお酒。と、お茶を注ぐ丸若さんです。
大体夜の11時くらいだったと思うのですが、なんとこれから4時間程度かけて5リットルのドリンクを作るそうな。なんて労力なんだ。
ということで、そんなお二人を見ていたからお茶コラボのドリンクを選んだ僕でした。経緯を知っていると、やはり味を、その先を知りたくなりますね。コラボドリンクを味わうことができて本当に良かったです。
そういえばこの日GEMで飲んだ酒と料理はいつもと違ったなあ、と感じました。閉店間際に行ったせいもあるかもですが。いつもはお刺身が出てきて、そのトロっと溶ける脂感や、やや香ばしく苦旨い皮の風味をよりよく楽しめるお酒が出てくることが多いのです。
この日は言わずと知れた名酒「而今」と、卵がゆが出てきました。
而今はもう問答無用でとてもおいしかったな。かゆは温かかった。
7.名残惜しくもフィナーレへ
時が経つごとに会場の熱気はどんどん増していきました。
途中からは蔵元さんたちがブースを飛び出してお客さんに自らお酒を注いだり、思わず目を引くような登場人物が現れたり…。
↑皆さん楽しんでらっしゃいました。
↑この春公開される「カンパイ!日本酒に恋した女たち」の主要キャスト3人がいきなり揃い、驚きでブレブレです。いや、酔いか?
しかしそんな素晴らしい会にも終わりはあります。
フィナーレが始まりました。
蔵元さんたちが会場の前のほうに呼ばれて、一言ずつコメントをしていきました。
「雨後の月の相原さんが今日は非常に感極まって見えたのが意外だ!」とのコメントが聞こえてきました。なんだかんだで一番存在感があったように思います。飲んだ酒の中で僕が一番雨後の月をいいなと思ったからかもしれませんが、とても楽しそうでした。
そのあとで、麻里絵さんが協力を呼び掛けた東京の飲食店の方々も、一言コメントを述べてらっしゃいました。
東池袋にある「稲水器あまてらす」の店主・古賀哲郎さんが「これからも酒の外にある蔵元の思いやネットに載っていない情報をお客様に注げるよう精進したい。」という旨のコメントをしていたのが非常に印象的でした。
このように語り、実際に現場で自分たちの思いを代弁してくれる飲食店の方々がいるというのは、蔵元さんたちにとっても大切なことなのだろうなあと感じました。
かくして、「がんばろう広島酒蔵の会」は大盛況と興奮の中、幕を閉じました。最初から最後まで会場の端から端まで楽しめて、発見が多くあり好奇心を刺激され続ける会となりました。
お酒のイベントによく参加されている知人何人かに「この会はどんな感じだった?」と聞いたのですが、「酒のイベントとしては小規模だけれど、でもそれなりの規模でここまで酒と料理に趣向が凝らされていて、かつ蔵元さんや飲食店の方々と接することができる会、こんなにみんなが楽しそうなイベントはなかなかない!」というのが総論でした。
ともかく。
「おいしい!」「楽しい!」「面白い!」の声と、笑顔がたくさんでした!!!!!
このポスターに写っている景色を実際に見に行きたくなります。妻が非常に広島に興味を持っているので、いつか必ずゆくことでしょう…。
尽力なさったすべての方に感謝いたします、素晴らしい会をありがとうございます。
8. 結びに、「結び」が繋ぐ人の縁について
余計なことかもしれないのですが、最近それを書くのが自分の役目かもと思い始めたので書かせてください。
先ほど「規模が大きくなっても、最初から最後まで手抜かりなく多くのお客さんをもてなしていた会だった」という旨のことを書きました。
当たり前かもしれませんが、これは一朝一夕でできることではないと思います。イベントの骨子を考えた方が、来る日も来る日も「日本酒や食べ物を用いて、どうやったらもっともっとお客さんをもてなすことができるか」を考えている、考えてきたからこその賜物です。
そして一人一人のお客さんと、向き合ってきたからこそ。それがあったからこそこれだけのイベントを盛り上げることができたのだと思います。
それを感じた出来事を最後に紹介して、イベントレポートを終わろうと思います。
前日のGEMでのことです。
「いつもと違った酒と料理が出てきた。」と僕は言いました。それにもきっと理由があったのだと思います。
卵がゆがでてきたのは、入店前に僕が10分程度外で待っていたからなのではないだろうか。春が近づいたとはいえ、それなりに寒かったです。
つまり「これで温まってね。」というメッセージだったのではないか。ご飯少なめで汁が多めだったのも「この時間だからもうなにか食べているだろう、温まってもらうために汁多めにしよう。」という気遣いだったのではないか。
考えすぎでしょうか。
しかし、人を感激させるようなものをつくる人というのは一般人が考える以上に考えているものなのです。GEMに限らず、本当にそうです。
而今が出てきたのは、ペアリングは少し度外視で「ともかくおいしいやつを飲んでいってね。」というメッセージだったのではないか。(これペアリングだったらごめんなさいとしか言えないんですけどネ。)
そんな風に感じました。
いつもと比べて短い滞在でしたが、非常に満足しました。
以前も書いたかもしれませんが、GEMではお客さんが帰る時に誰かが必ず見送りをします。今回は麻里絵さんが送ってくれました。
外に出て少しお話をしてから、「では明日!」ということで店を後にしました。少し歩くと角があって、そこを曲がって恵比寿駅に向かいます。
角を曲がる前に少し横道にそれますが、かつて勤めたパン屋で僕は「接客は結びが大切だ」と教わりました。顔を合わせている時に手厚くもてなすことは頑張れば比較的たやすい。
「問題はその後だよ。」と上司に言われました。
その言葉が印象的だったので、僕はお店でお客さんに「ありがとうございました。」といった後お店を出てゆくお客さんの背中を見つめていました。
それがちょっと好きだったし、何となく大切な気がしました。もし彼らが振り向いて、こっちがそれを見ていなかったら、それは最後の瞬間を空白にしてしまうことになる、と。
だからでしょうか、不意にそれを思い出して角を曲がる前に後ろを振り返ってみました。
すると、麻里絵さんがこっちを向いて手を振っていました。
ほら、やっぱりそうだ。
やっぱりそういうことなのではないかな。
派手な売り文句に踊らされてはいけないのです。
「日本酒と料理の究極のペアリング」とか「お客さんの好みを知り尽くした提供方法」とか。いや、もちろんそれはそうなのでしょう。
でも、お客さんのことを思って当たり前なことをとんでもなく当たり前以上にやるから、この人は凄いのです。それを忘れてはいけません。
9月の記事でGEMの料理長・深津さんが「千葉はサービスマンとしてお客さんに対して誠実だからすごいんです。」と語っていたのを書きましたが、まさにそれです。
美味しいお店が数多あり、魅力的な娯楽が多い東京でこういった「結び」を大切にしているからこそ、簡単には離れない縁が結ばれるのではないでしょうか。そうやってまた人々はこの人のもとを訪ねるのです。
この時点で明日の大盛況、大成功を予想しました。この人がやることなら、素晴らしいものになるに決まっている。
決まって、いたのです!
僕は少しだけ冷たい3月の恵比寿の風を、そっと抱きしめて駅に向かいました。この上なく楽しい明日を予感しながら…。
本当に長い文章になってしまいました。
読んでくださったそこのあなたに、最大限の感謝を。
ありがとうございました。最後に、今日の麻里絵さんのツイートを引用しておきます。
酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。