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いつかのための詩集

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どこかで酒と出会うための詩集。
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2020年2月の記事一覧

あの日死んだ水槽にフォークを沈めた

あの日死んだ水槽にフォークを沈めた

成長譚がいやになるとコンビニに行った
そこにはパリッとした飲料などがあり
どこまでも夜をきらめかせた
栓を開ければ誰かの幸せなため息があふれる

帰り道は落ち葉が少しだけ舞う道
枯れる月が蘇らせる雰囲気情緒
飽き飽きしてしまって
はい・アルコールで消毒気分

眼前には目尻を世界みたいに歪ませる あなた
ずっと先を見ている舌先は 困らせる

けれど世界は手に負えないので
指先のフォークでパスタを絡め

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グラフィックストーリー003

グラフィックストーリー003

ある夏の日にそれは始まった
ひまわりの根の上に
冷えた瓶のコーラ
注がれる視線たち
裂け目から入るいやらしさなど
捨ててしまえ 後輪の鍵
健やかな朝にはよく似合うもの
舌を出すきみ
受け止めるクッション
わたしの後ろ
ひまわりの根が
生えている
隣人の幼子に永久歯
へし折ってやった
(このことからとわなど信用がならない)
紡がれていくもの
視線の折り目をたどって
一番奥底にいる
おまえを引きずり出

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あなた-春夏冬=2

あなた-春夏冬=2

片手からすべり落ちたものが
いまや両手からすべり落ちそうなのだ
涙のように
あるいはあの日の階段のステップみたいに

た た た た と踏むステップ
ステッキもないのに
あごがリズムを取る
手が不自由になったようで

視界がひらけていることが
これほどまでに胸を打つ
すべり落ちそうなのだ
ドアノブを開けると 白

そこではものものが完璧に配置されていて
タキシードが式典をおこなう
首筋のないタキシ

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シール剥がしの夜に

シール剥がしの夜に

目の前にある糸を
ずっとたぐっていく
自発的で運命的な旅路だった
星を巻き込んで アイロニー day1

深く潜ること 高く登ること
そしてとどまることの
崇高さを知った
タバコの煙と レモンサワー day2

関係ない者どもの夜会へ
たどり着くものも そうでないものも
声を上げる今 今 重なりは
縦糸横糸コントラスト カラー day3

あくびをしながら慰める感傷が
過ぎ去ってささくれ立ち
右手

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