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【ラスアスII考察】終盤のエリーの選択とジョエルの関係

どうもSaRです。前回は、「The Last of Us Part II」を1周目をクリアしたレビューをアップしました。

今回は、回想でのジョエルのセリフの影響もあって、改めて前作をプレイしたため、その上でエリーの終盤での選択について考察を書いていきたいと思います。

エンディングに触れる考察となるため、クリア後に読んでいただくことをお勧めします。






*********以下には「The Last of Us Part II」のエンディングに関するネタバレがあります。*********







はじめに

今回取り上げるのは、終盤のサンタバーバラの浜辺でのシーン。アビーを追い詰めたエリーが、なぜとどめを刺さなかったのかということについてです。

僕は正直、最初は「ジョエルの笑顔が浮かんだから」というような、フワッとした理由ばかりで、エリーの心の動きについて理解し切れていなかったと思います。しかし、(もう何周したか分かりませんがw)改めて前作に立ち返ることで、自分なりの答えを見つけ出すことが出来たと思います。


前作のピッツバーグで語られる「生」

この話で特に重要になる前作の舞台は、ピッツバーグ。ビルの協力で何とか車を手に入れたジョエルとエリーが、ハンターたちの待ち伏せにあってしまう場所です。その中で、二人はホテルを通ります。

ここでエリーは、ハンターに殺されかけていたジョエルを助けるため、初めて人を殺します。「あ、あたしが殺しちゃったんだね」「ムカムカする」と、正当防衛ながらも動揺を隠せないエリー。

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そしてその後、それまで頑なにエリーに銃を持たせようとしなかったジョエルが、初めて彼女に銃を渡します。

いいか ヤバい時にだけ使え

そう念押しします。

ジョエルはパンデミック以降、沢山の人を殺してきたでしょう。罪のない人も殺めたこともあることを窺わせる会話も、ピッツバーグで出て来ます。

ただそれはあくまで生きるため。ピッツバーグでは、他人の命を無闇に奪うハンターと、あくまで生き抜くために戦うジョエルが対比として描かれています。

ジョエルがエリーに銃を渡す前、ホテルの中で、浴槽で自殺した死体を見つける二人。「楽な道を選んだんだね」と言うエリーにジョエルは、

楽なんかじゃない。クリッカーやハンターに殺られるよりはマシってだけだ…ホントだ 簡単じゃない

と答えます。

前作はパンデミックが発生して20年経った時代が舞台。ジョエルは最初にサラを失い、トミーとも一時は喧嘩別れになっています。エリーと出会うまでにも、大切な人との別れが何度もあったであろうこと、そして死を選ぶ道を考えたことも一度や二度ではないことが窺えるシーンです。実際に自殺未遂をしたこともあるかもしれません。


エリーに「生きるために戦え」と説いたジョエルたち

それでも、生きるために戦う道を選んだジョエル。そして、前作では守る対象に、エリーも加わりました。アビーのように大切な人を殺された側には、どんなに修羅のように見えようとも、ジョエルは「生」のために戦い続けました

前作エンディングでも、ジョエルはエリーに、その大切さを説きます。

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一方、エリーの「生」への考えは少し違います。

前作エンディングで、ジョエルに対し、これまで大切な人を失い、「自分の番が来るのを待っている」と語ったエリー。Part IIでも、死んだジョエルの復讐を果たすために戦います。それはジョエルの考えとは真逆の「死」のための戦いです

ですが、ジョエルの死生観や考え方にエリーが影響されていないかと言うとそうではありません。前作の旅で、ジョエルとエリーは、生き抜くために必死で戦いました。

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忘れてしまいがちですが、ゲームの中で僕たちプレイヤーが体験しているのは、あくまでハイライト。たった二人で支え合い、旅をして共に四季を過ごした日々には、プレイヤーの想像も及ばないほど沢山の思い出があります。そして、そこで触れたジョエルの考えは、エリーの心の中に、深く浸透しているはず。ラスアスでは、そうした余白を想像させる丁寧な人間描写がされています。

また前作で、エリーに生きることの大切さを説いたのは、ジョエルだけではありません。

エリーのパートでバッグを開くと入っている母・アンナからの手紙、その中には

あなたの生きる目的を見つけて、戦いなさい。

と書いてあります。

そして、DLC「Left Behind -残されたもの-」のエンディングで語られる、親友・ライリーの言葉。そこでは、エリーが本編のエンディングで語った以上の意味が込められていると思います。

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死にそうになったことなんて何度もあった。明日までに死ぬ可能性だって無数にある。でも戦うの。少しでも長く一緒にいるために。それが2分でも2日でも。絶対あきらめない。あたしはあきらめないよ。だからさ、待ってればいいじゃない。どうせ最後は、みんな一緒におかしくなっちゃうんだから。

エリーは、「残されたもの」として、待っていることを選びます。しかし、「この荒廃した世界で、明日死ぬかもしれない運命だったとしても、大切な人と少しでも一緒に過ごすために、生きて戦い抜く」、この考えはエリーの中で大切なものとなっています。


終盤のエリーの心の動き

そして、Part IIの中で、ジョエルの復讐を果たすため、WLFもセラファイトも、立ちはだかる人々を殺していく中、エリーの脳裏には、それが正しくないのではないかいう疑念が、しばしば頭をもたげます

仇であるアビー、そしてオーウェンとメルが、エリーとジェシーとディーナに対し、三角関係以外にも共通項のあるキャラクターとして描かれているのは、エリーとプレイヤー両方にそれを気づかせるためだと思います。ディーナと同じ妊婦であるメル、そしてジェシーと同じ子供の父親であるオーウェンを手にかけてしまったことで、疑念は更にエリーの中で大きくなります。もう正しさを必死に自分に言い聞かせるしかないんです。

しかし、いざアビーにとどめを刺すとなった時、エリーの頭に浮かんだのは、ジョエルの優しい笑顔でした。二人で支え合った長い旅路、ジョエルの言葉、そして初めて人を殺した時のこと…それらが一気にエリーの頭の中を駆け巡ったのだと思います。

ピッツバーグのホテルで、エリーがジョエルを守るためにハンターの男を撃ち殺した時。あの時も、サンタバーバラの浜辺と似た状況でした。頭を完全につければギリギリ相手を溺れさせられるほどの水深です。

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「最初はジョエルを守るために、生きるために殺していたはずなのに…」エリーが自分自身に抱えていた疑念が遂に爆発したのだと感じました。だからこそ、エリーはアビーにとどめを刺さずに、手を離したのだと思います。

しかし、前回のレビューでも書きましたが、ディーナとJJとの平穏な生活を捨てたとしても、アビーと対峙せずにいることは出来ませんでした。それはプレイヤーも一緒です。ジョエルと本当の意味でお別れするため、自分自身の気持ちにケリをつけるため、全ては必要なことでした。

ストーリークリア時のトロフィーの名前も「やらなければならなかったこと」。数あるトロフィーの名前の中でも、ここまで秀逸な表現のものはなかなかないと感じました。

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終わりに

これが、僕がエリーの選択について、感じたことです。皆さんはどのように感じたでしょうか?

本作について語りたいことはまだ山ほどあります!今回初めて僕のnote読んで頂いた方は、長文ではありますが、もしよろしれば前回のレビューも読んで頂けると嬉しいです。

Part IIはまだ1周しかクリアしてないため、次は字幕版で2周目をプレイし、また新たな気づきなどあれば書いていきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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