ぼくがメイクをはじめたわけ
「男らしくは自分らしく、だよね?」
「男らしくねえなあ」と言われ、そう言葉がついて出た。
今まで思ったことも、口に出したこともないが浮かんでびっくり。
「言葉を声に出すと全然違う」とはよく言ったもので、その言葉はさまざまなシーンでぼくを助けた。
自分を認められなかった2019年
現在社会人4年目のWebエンジニア。
2019年初頭の転職を契機に、自分の世界が一気に広がった。
思い返すと、向上心と自己肯定のコントロールが難しく、自分で自分を追い込むことがあった。
いわば、自分を認められない1年だった。
美容に興味を持ったきっかけ
2020年は「自分を好きになる」取り組みをしよう。
成果を出すのもそう、筋トレもそう、物事の捉え方を変えるだけでもいいかもしれない。
でも、もっと自分に合いそうなアプローチがある気がする。
ある日会社の子に何気なく、月1でネイルを変える理由を尋ねた。
「これを見るだけで1日がんばれるから!」
そう彼女は答えた。
衝撃だった。
自分のために美しさを追求する発想が、そのときぼくにはなかった。
これだ。2020年は美容に気を遣おう。
このほかにも、美容に取り組もうと思った理由はいくつかある。
1. 体の変化
25歳くらいから、寝起きの顔がサラサラするようになった。皮脂の質が変わった感じ。「若さがなんとかしてくれる時代」の終焉を感じた。
2. 視点の変化
主観だが、身なり・外見に気を遣っている人に自尊心やプライドを感じるようになった。自分に誇りを持って仕事ができれば、もっと素晴らしいものになると思った。
3. 「働く」という認識の変化
こんなことを思った。
もっと自分のために時間を使おう社会!と思うようになった。
社会人としてなにかを成し遂げるために、自分を好きになり、高めていこう。
コスメに詳しい友人が、ボーダーレスコスメの存在を教えてくれたのも大きい。
例えばFIVEISM × THREE。
(FIVEISM x THREEコンセプトより抜粋)
メイクはもはや、社会のマナーではなく身だしなみ 。自己実現のためのもの。
メイクを通じた自己表現に性差はない。この素晴らしいコンセプトに勇気付けられた。
ほかにはカネボウの「I HOPE」。
(I HOPEコンセプトより抜粋)
「化粧は女性のもので、マナー的なもの」と心のどこかで感じていた自分を心の底から恥じた。新しい自分を見つけたい。
「もっと自分を好きになりたい」という思い、様々な認識の変化、そして素晴らしいメッセージ。
いてもたってもいられない気持ちになった。
初めてのスキンケア
THREEの化粧水、乳液、洗顔、クレイマスクを購入。
摩擦はNG!と聞いていたので、コットンも購入した。
左から化粧水、乳液、クレイマスク
スキンケアの効果を実感するのに時間はかからなかった。
肌が綺麗になったのはもちろん、必然的に自分と向き合う時間が増えた。
鏡の自分と向き合うことで、雑多になりがちな思考がシンプルなものに収束した。
コスメ購入の旅
次の週、THREEを教えてくれた友人とともにアットコスメトーキョーに繰り出した。ちょうどオープンしたての頃だった。ここでの体験も忘れない。
自分をよりよく見せようとトライを続けるひと、あーでもないこーでもないと感想を共有し合うひと、恋人に手を引っ張られて試すひと...
そこにはネガティブなものは一切存在しない。
自分を高めようとする、どポジティブな空間。
今まで足早に通り過ぎたきたデパートの1階は、こんな素敵な空間だったのか。美しさを求める人はなお美しい。
下地、ファンデーションなど、ベースメイクを中心に購入した。
左から下地、ファンデーション、チークブラシ、コンシーラー、眉マスカラ、チーク
メイクは楽しい
どうやったら良いかわからないので、InstagramやYoutubeのメイク動画を見ながら研究。1日1箇所何かしら変えてみたり、休日はちょっと冒険したり、この朝の時間が本当に楽しくなった。外に出るのがワクワクするようになった。
「自分をどう見せたらよいか」を考える機会が格段に増えた。それはメイクだけでなく、話し方、振る舞い、表情あらゆることに。
メイクをはじめて見えたもの
1. メイクをする人々はすごい
美の探究心が凄まじい。いろんな化粧品を試し、自分に合うものを見つけている。自分の活かし方を知っている。
お金もたくさんかけているだろうし、何十本もリップを持っているだろう。その気持ち、いまならすごくわかる。
2. 自尊心は育つ
スキンケア/メイクを通じて「みんな違ってみんないい」を感じることができた。全部が自分に合ったものではないし、自分の活かし方はそれぞれ違う。自分の嫌だなと思うところにぶち当たるかも知れないが、それも含めて自分なんだという考えができるようになった。
3. 批判の声
ストレートに「気持ち悪い」と言われたこともある。「男がメイクなんて」という人もいる。そう思う人がいるのも、ごもっともかも知れない。
自分らしさの追及に気持ち悪さなどあろうはずがない。
自分の表現にメイクを利用することに性別差などあろうはずがない。
メイクを始めてそう確信した。
自己の表現、自分磨きの選択肢の1つとしてメイクがあることを伝えていきたいし、それを選んだ人たちを後押ししていきたい。
メイクを自己表現の選択肢に
ぼくはメイクを始めたことで、考え方や生活に大きな変化をもたらした。とってもいい方向に。
お金と時間と勇気ほんの少しで、新しい自分に出会い、"自分らしさ"を見つけ、育てることができた。
「男はメイクしなくてもいい」という人も今はいる思う。
しかし、これからやってみたい人のブレーキとなるべきではない。
"自分らしさ"の表現は自分で決めよう。
そこにメイクという選択肢があるのなら、是非一歩踏み出してほしい。
メイクには自分の可能性を切り開く力がある。