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僕はそんな世の中に生きる自分の人生に、大きな希望を持っていたいと思う。

さっきまで降っていた雨が、地球にある様々な汚れを洗い流してくれた。
今夜の星空は、そんな風に思わせてくれる綺麗な星空だ。
年が明けてからの東京には、雪が降ったり、雨が降ったりしている。
雲ひとつない晴天の日の次の日には大雪が降り、雪が終わるとまた晴天になり、そしてすぐに雨が降った。そして今夜また晴れた。

天候というものは本当に気まぐれだ。
現代には天気予報という便利な情報があって、
僕は毎朝その天気予報を確認する。
そしてその情報から大体の予想をして、今日は傘を持って行こうか、
ヒートテックをもう一枚着て行こうかということを決めて、外に出る。
でも100%予報が当たるとは限らない。急な雨や風などがあり、また急に晴れることもある。
年が明けてからの東京の天気もそんな感じで気まぐれなままだ。

毎日変わる天気の中で生活し、毎秒変わってゆく雲の形をぼーっと眺めていると、僕たちの人生もこんな感じなのかなと思い始めた。
晴れている日や曇りや雨の日があるように、人生にも良いとき悪いときがある。まぁ良いとか悪いと言うのは、その人の主観でしかないのだけれど、
僕は、人生にはそういう波のようなものがあると感じる。 
諸行無常なのだ。

そう考えると、良いことも悪いことも永遠には続かない。
いつかは必ず変わる。
良いこともいつかは必ず変わる。
一度、良い状況や良い環境を手にしてしまった人間は、
それに執着してしまう。そしてその状況が崩れてしまうことを恐れて、身動きが取れなくなってしまう。僕はそういう経験が今まで何度もある。
でも必ず雨の日がいつかやってくる。だからその日の為に、傘を用意しておかなければならない。晴れの日に履きたい真っ白なスニーカーから、
黒のスニーカーに履き替えておかなければならない。 

そんな僕は、雨上がりの今夜、白いスニーカーを履いている。
地面に残っている水が歩くたびに跳ねる水滴となり、僕の靴の上に落ちる。
気づけば僕の白いスニーカーは、その泥を含んだ水滴のせいで真っ黒だ。

「去年はこの靴で色々なところに行ったな」と、汚れた白いスニーカーを見ながら思う。暖かい場所、太陽が出ている場所を追いかけ、去年も旅をした。旅先ではたくさんの夕日を見た。人生で初めて、地平線に沈む大きな丸い太陽も見ることができた。

いったい僕は何で旅をしているのだろうか。旅に何を求めているのだろうか。地平線に沈む夕日や、何兆個もある美しい星空に何を求め、
そこにどんな答えを見出そうとしているのだろうか。
そして僕はなぜ天気の気まぐれさに、人生の真理のようなものを見出そうとしているのだろうか。
なぜ?


僕の意識は今夜のオリオン座に戻った。
僕はたまに、これ以上考えると何かがおかしくなりそうな感覚になることがある。前に進もうとしている思考の力を全力で止める何かがあり、
その止める力に勝とうと、もっと集中して思考を前に進めようとする。
でもそうすると身体がその力に耐えられなくなり、これ以上力を使うと身体が震えてしまうような感覚だ。 
わけがわからないかもしれないが、僕はそういう感覚を経験することがたまにある。今夜もその感覚になった。そして瞬時に防衛本能のようなものが
働き、意識を目の前のオリオン座に戻した。

坂本龍馬やスティーブ・ジョブズが若くして亡くなったように、
地球には、成長のスピードの限界というものがあるのかもしれない。
一人の人間の思考もそれと同じように、限界があるのかもしれない。
思春期によく起こる膝の成長痛と同じように、
急激に成長してしまうと痛みを感じてしまうのかもしれない。 

もしそうだとしたら、ゆっくり人生を歩めばいいのではないだろうか。
現代に生きる僕たちは、たくさんの情報に振り回され過ぎている。
インターネットには情報がたくさんあるけれど、
それは僕たちを不安にさせたり焦らせたりするものがほとんどだ。
人生にはタイミングがあり、そのタイミングで自分がやれることをやればいい。それ以上もそれ以下もなく、ただ自分の目の前を生きればいい。
周りがどうなっていようと何を言われようと自分には関係がないことなのだ。だから何も焦る必要はない。
じっくりと自分の人生を観察し、雨が降りそうなら傘を用意して、
晴れそうならば、外でできる活動を考える。
それだけで良いはずだ。


毎日変わる自然の姿を観察しながら、同じように毎日変わる自分の内側も
観察し、今夜もまた散歩に出かけてみようか。
そして今日経験したことを振り返り、良いことがあったら感謝してみようと思う。幸せは過去に感謝するときに感じる感情だと思うからだ。
そしてその幸せは明日には持ち越さない。悪かったことも明日には持ち越さない。明日には明日起こることがある。

良いことも悪いこともいつかは必ず変わる。雲の動きと同じように、
常に変わってゆく。
この世の全てが常に変わってゆくならば、僕はそんな世の中に生きる自分の人生に、大きな希望を持っていたいと思う。


Ryoma Kobayashi


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