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虹の彼方に 第5話 悩む沙樹と尊敬する人物

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 ライブ喫茶っていうくらいだから、薄暗い店内を想像していた。でも予想に反して、中はちょっと広めのごく普通の喫茶店だ。
 奥には小さなステージがあり、左端にグランドピアノがおかれている。生演奏が入ることもあるのだろう。ステージの上にはドラムやキーボード、そしてスピーカー、中央にはマイクスタンドもあり、ライブの準備はすっかり整っている。

 なのに……。
 あたし以外のお客さんって、窓際のテーブルに男子が三人いるだけだ。どうしてこんなに人がいないんだろう?
 あたしに声をかけたくなるのも理解できるな。

「チケットを買ってくれた友達は、ギリギリにならないと動かないやつらばかりなんだよ。そのうえ出不精が多いんだ。今みたいに雨が降ってると、来てくれるか怪しくてね。
 これはヤバいなってみんなで話していたところに、きみの姿を見つけたんだ。神がわれらに使わした天使かもしれないって思ったら、声をかけずにいられなかったんだよ」

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3,259字
全部で10話ほどですが、1話は短めです。原稿用紙100枚を目処に書いた中編小説を改稿したものです。文字数換算すると、3万字強になります。

メンバーシップ特典マガジンと同じ内容ですが、会員以外の方に単独で販売するように設定しようとしたところ、うまくいかなかったので、改めて単独の…

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